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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
4 俺たちの戦いはこれからだ

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158/159

158 家族なのだから

慌ただしくて俺自身が忘れていた誕生日

ベンケイさんたちが祝ってくれて嬉しかった

おかげで目覚めが気持ちいい


もらったフィンガーレスグローブを装着

姿見の前で両腕をクロスさせる


「ウィッシュ!」


かっこつけてやってみる

ちょっと恥ずかしいがやりたかったので満足顔をする


ぷっ


吹きだした声が聞こえたので振り向くとアンナがいた


「・・・・・」

「お兄さん、うひっ♪ 朝から笑い殺すつもりですかあ? ぷぷぷ♪」


顔面が蒼白、いや絶紅潮していく感覚がわかる


「てめえ、あっちいけよ~」


両手で顔を押さえてベッドに潜り込む俺


「あはは♪ 朝食の時間ですよお~♪」


つんつんと布団の上からつついてくるアンナ

しばらくいじられてから朝食を食べた

くそう、アンナめ




今日はおのおのくつろいでいた

ようやく落ち着いたからな、ゆっくりしよう


そう思っていた時期が俺にもありました


「ごきげんよう、ケンタ様、みなさま」

「当たり前のようにやって来るなシシリー」


シシリー襲来である


「良いではありませんか、私とみなさまの仲ですもの」

「まあ今回の一件や色々世話にはなっているからな」


俺たちに感謝してくれて色々便宜を図ってくれている


「それで今日はなんの用だ?」

「マニー騎士爵たちの件がある程度落ち着いたので報告がてら来ましたの」

「まだ3日しか経ってないのに処罰とか決まったのか?」


「いえ、それはこれからですが裁判の準備が大方完了しましたわ

 あとは裁判当日にお父様が動くだけです

 お父様も今日はゆっくりくつろいでいます」


まだ3日しか経ってないのに諸々の準備がすでに終わったのか

やっぱり仕事の早い領主様だ


「だったらシシリーも来てないで家でくつろいでいろよ」

「あら、こちらも私の家のようなものですから良いではないですか」


おまえんちじゃねえよ


「おじさん、こちらの方は・・・」


ベッキーたちがリビングに来た

ベッキーは厨房でサクラさんと昼食の準備をしていた

トムとハックは部屋で遊んでいた


「あなた達がケンタ様が助けたかった子たちですわね

 元気なようで安心しましたわ」


「えっと、はい、ありがとうございます?」


ベッキーが説明を求むといった感じで俺を見る


「ベッキー、このお嬢さんは領主様のご息女でシシリー様だ」


「まあ、様付けなんてしなくてもよろしいですわ

 ベッキーさん、私はシシリー・ペンペランと申します

 以後よろしくお願いしますわ、気軽にシシリーお姉様と呼んで下さいな」


「ベッキーです、よろしくお願いします、、、」

「トムです」

「ハック、です」


ペコリと一礼するベッキーたち

そして俺の後ろに隠れる


「どうしたお前ら」

「だって貴族様、しかも領主様のお嬢様」

「なにかあったら殺されちゃうよ」

「こわいよう」


貴族に対する平民の子の正しい反応なのかも知れない


「あらあら、そんなことはいたしませんわ

 私もお父様も領民に対して非道なことはいたしません

 ましてやケンタ様たちの家族であるあなた達なら尚更です」


「あれ? ベッキーたちが家族になったこと言ったっけ?」

「屋敷に上がらせてもらうときにポチャから聞きましたわ」


ポチャよ、あとで言い聞かせておかないといけないな

なんでもかんでも話すなと


「ポチャから聞いたってどういうこと? 犬でしょ?」


「気にするな、シシリーはきっとアンナから聞いただけだ

 ポチャに話しかけて会話したと思っている妄想だ」


「失礼ですわねケンタ様、不敬ですわよ」


おのれシシリー、ポチャたちがしゃべることはまだ秘密なんだよ!

俺はシシリーを連れて廊下へ出る


「あいつらにはまだ秘密なんだよ、混乱させてしまうだろ」


小声でシシリーと話す


「ケンタ様、彼女たちは家族なのですよね?」

「そうだよ」


ふう、と軽くため息をつくシシリー


「ポチャたちも家族ですわよね」

「当たり前だろ」


「でしたら、同じ家族なのですから隠すのは駄目ですわよ

 驚かれても混乱されてもきちんと伝えてわかってもらうべきです

 ケンタ様はポチャたちと彼女たちを別々の家族にしたいのですか?

 違いますわよね、ならば隠さず話すことをおすすめしますわ」


シシリーの言うとおりだ

それこそ当たり前のことだった

同じ家族なのになぜ分けていたのか


ベッキーたちはともかくポチャたちに対して酷いことをしている

隠すなんてまるでお前らは家族じゃないと言っているようなものだ

違う、ポチャたちも俺たちの家族だ!


「ありがとうシシリー、目が覚めたよ」

「ふふ、わかっていただけたようですね」




それからポチャたちガイド精霊を全員呼び出した

ベッキーたちはやはり驚き混乱する


アンナたちも一緒に説明したりして理解してもらった

シシリーに言っているように聖獣だと説明した

もともと賢い子たちなのですぐに混乱は落ち着く


ポチャたちも嬉しそうだった

やはり隠されたり言葉を話さないようにするのは辛かったようだ

ごめんな


「すげー硬いやブラック」

「硬くても小突くな坊主」


ブラックの甲羅をコンコン叩くトム


「なんか変な顔だねブルー」

「小僧、躾が必要だな」


ブルー、6歳児相手に凄むな


「焼き鳥?」

「ベルと同じ反応しないでくれるかしら」


ベルさん、レッドを焼き鳥呼ばわりしたのかよ

ベッキーもそういうこと言っちゃダメだぞ


「ではそろそろお暇しますわ」

「ありがとうなシシリー、おかげで自分の間違いを正せた」

「どういたしまして」


そうですわ、といった感じで振り向くシシリー


「私もケンタ様の家族予定ですのでよろしくですわ♪」

「はあ?」


「なんですのその反応、私が家族になるのはいけませんか?」

「まあすでに家族のようなものだからな、構わんよ」

「あら、嬉しい言葉をいただけましたわ♪」


少し照れ笑いをするシシリー

妹のようなものだし、しょっちゅう家に来てるからな

家族と言っても問題ないさ


「あ、そうですわ」


馬車に乗りかけてシシリーがなにかを思い出す


「明日、私の屋敷へ来ていただけますか?」

「なんで?」


「お父様もケンタ様たちも落ち着いたようですし

 以前から伝えているようにそろそろ挨拶へ来て下さいな」


そういやベッキーの件でそれどころじゃなかったからな

そうだな、そろそろきちんと挨拶に出向くか


「わかった、みんなで明日伺うよ」

「楽しみにお待ちしておりますわ♪」


シシリーは徒歩10分のところを馬車で帰っていった、歩けよ


屋敷に入り明日のことをみんなに話す

明日はみんなで領主様への挨拶だ

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