152 ケンタ対サジン
サジンから必要なことを聞きだせた
ベラベラと白状したのは俺を格下と侮っているからだ
知られても殺してしまえばいいと思ったのだろう
ガキィン!
サジンの剣と俺の銀の短剣がぶつかり合う
すぐに離れるがすぐにまたぶつかり合う
左右上下、様々な角度から斬りかかってくる
動きは柔軟で速さもある鋭い剣が襲いかかってくる
Sランクというのは伊達ではないようだ
「ほう、やるじゃないか」
「大したことねーよ」
俺はサジンの剣をすべて受け流していた
「だが防戦一方だな、いつまで受け流せるかな?」
ニヤニヤしながら見下してくる、うぜえ
「そら、まだまだいくぞ♪」
攻撃の手を緩めず斬りかかってくる
そろそろこっちも反撃するか
ガキィン!
剣と短剣が重なるが今度は押していく
「力比べか? いいだろう」
サジンが押し返してくる
俺も力を込めて押していく
「ところでサジン、聞き忘れていたことがある」
「余裕だな、言ってみろ」
押し合いながら俺は聞く
「風の戦士団で一番強いのはお前だよな?」
「当たり前だろ、Sランクは格が違うんだぜ」
「そうか、それを聞いて安心した」
「はあ?」
銀の短剣をぐっと押し込む
サジンも応えるように押し返そうとする
「決壊死」
サジンの剣と銀の短剣が消滅する
「なに!?」
俺はすぐに新しい銀の短剣を手にする
サジンは剣の消滅と同時に俺から距離を取った
ちっ、さすがSランク様だぜ
「今のはお前の固有スキルか?」
「そうだ」
サジンは収納袋から剣を取り出す
「剣ならまだいくらでもある、消されないようにすればいいだけだ」
「そうかよ」
俺はサジンの剣に銀の短剣を当てに行く
もちろんサジンは短剣が当たってもすぐに剣を引く
「くっついていなければ消せまい!」
「まあそうなるよな」
サジンの言うとおり当たっているうちでないと使えない
「じゃ離れる前にやればいいだけだ」
「お前の剣速じゃ無理だぜ♪」
「それはどうかな」 ガッ!
「は?」「決壊死」
一瞬で懐に入りサジンの剣に短剣を当てる
サジンが予想外の俺の速さに対応できず離れられなかった
そして剣と銀の短剣が消える
「くそっ!」
すぐさま新しい剣を出して構えるサジン
ガキン! 「決壊死」
「バ、バカなっ!?」
また剣を出すがすぐに俺が消す
何度かそれが繰り返された
サジンが思いっ切り俺から距離を取る
「なんだその速さは! 最初と全然違うじゃないか!」
「そりゃさっきまでのは基本能力の速さだしな」
「はあ?」
「身体強化で速さを上げただけだ」
「それじゃお前の基礎の速さは俺と同格ってことなのか」
「そういうことだな」
納得できない顔をして悔しそうにしている
俺たちFPOプレイヤーの基本能力値はチートだからな
それをさらに身体強化で上げたんだ
お前如きじゃ対応できるわけがねえんだよ
「くっ、だがこの剣は消さない方がいいぜ」
「なんだ?」
サジンは新しい剣を取り出した
一見普通の剣だが鑑定で見たらミスリルだった
それなりの剣だが材質に関係なく決壊死なら消せる
「その剣に何かあるのか?」
「消したらあのガキどもが泣くだろうなあ♪」
「んん?」
「シッドの剣だよ!」
そう言って斬りかかってくるサジン
ガキィン!
銀の短剣で受け止める
「消してみろよ、シッドの形見がなくなっちまうけどな♪」
「お前、シッドさんの形見はないとか言っていたよな」
「ああ、ミスリルだから売ろうと思っていたんだがな
残しておいて正解だったぜ♪」
シッドさんの形見を物質にしやがった
たしかにあいつらにとって父親の大事な形見だから消せない
もちろんサジンの嘘かも知れないが本当だったら困る
「まったく厄介な」
「どうした? この剣には手出しできないだろ!」
サジンは形勢逆転とばかりに斬り付けてくる
「まったく、風の戦士団で一番強いのがお前で良かったぜ」
「負け惜しみか?」
「お前より弱い奴らが相手なら俺の仲間は全員余裕勝ちできるからな」
「はあ?」
サジンが振り下ろした剣をすり抜けて背後に回り込む
「なにっ!?」
「フレイムランス」
ズドンッ!
「ぎゃあぁっ!!」
炎の槍がサジンの背中に突き刺さる
熱と痛みで転げまわるサジン
「ウォーターボール」
少し大きめの水の球をぶつけてやる
熱は冷めたが大火傷の痛みで苦しんでいた
アオイくんから貰った鎖縄で縛り上げる
「うぐぐ、俺が負けるなんて・・・」
「俺の速さがあれば背後をとるなんて容易いことぐらいわかるだろ
別に剣を消さなくてもお前を倒せるんだよ」
相手を侮り驕って油断しているから負けるんだよ
シッドさんの剣が放り出されていたので拾っておく
鞘もサジンの収納袋から回収する
あとでベッキーたちに渡そう
「あとはお前ら風の戦士団とチンピラどもを警備兵に引き渡すだけだな」
「そう上手くいくかよ」
サジンがまだまだ強気だ、めげない奴だな
「お前の仲間の女どもを捕まえてこっちへ来るはずだ
そうすればお前は手も足も出ねえだろ♪」
「ふっ♪」
「なにが可笑しい?」
思わず笑ってしまった
「言ったろ、お前より弱い奴らが相手なら俺の仲間は全員余裕勝ちだと」
「それを言うなら仲間の女どももお前より弱い奴らだろ」
「わかってねえな」
「なにがだ?」
「ここに来ている仲間たちは俺より断然強い
四人の中で俺が一番最弱なんだよ!」
四天王の中では奴が一番最弱、それが俺
あ、なんか泣けてきた
「俺より強い奴らがお前より弱い奴らを相手にするんだ
余裕で勝てるに決まっているだろ」
「最弱に、俺は負けたのか・・・」
最弱ゆーな! 事実だけどお前に言われたくない
サジンの鎖縄を近くにあった木にくくりつける
「そこで大人しく待ってろ」
「・・・・・」
最弱の俺に負けたことがかなりショックだったようだ
なんか釈然としないが大人しくなったので良しとしよう
俺はベッキーを迎えに行く
「ベッキー、もう出て来て大丈夫だぞ」
「おじさん!」
隠れていた廃屋から飛び出して抱きついてくる
「無事だったんだね、良かった・・・」
「心配かけたな、でももう大丈夫だから」
ベッキーは少し震えていた
一人で隠れていて不安だったのだろう
落ち着くまで待ってやることにした
ベッキーが落ち着いたので縛り上げたサジンのところへ行く
「ベッキー、こいつがシッドさんの仇だ」
「・・・この人、家に来た人だね」
「どうする、殴っとくか?」
「しないよ、意味ないから」
こいつを殴っても殺してもシッドさんは戻らない
ベッキーはサジンを恨めしそうに見ているがなにもしない
「そろそろアンナたちもやって来るはずだ」
みんなも戦い終わって合流しようとするはずだしな
恐らく俺のところへ来ようとすると思う
そう思っていたらほら、やって来た、って・・・




