150 成敗
わたしたちは悪徳商人マニーの商館前に立っています
「みんな、これから悪党退治でござる、覚悟は宜しいか?」
「覚悟って、するのは相手の方でしょアオイ」
レッド、ここは気分の問題でござるよ
「そうでござるが我らとて危険な敵地、覚悟は必要でござる」
「そうだな、いついかなる時も覚悟は必要だ」
同意してくれてありがとうブルー
「それではおのおのがた、討ち入りでござる!」
レッド、呆れた目で見てはいけないでござる
わたしは商館へ入っていく
わたしのあとにゾロゾロと付いてくるガイド精霊たち
気配遮断で館内の人たちには気づかれません
堂々とマニーのいる地下施設へ向かいます
「隠密チーム心得、わが命わが物と思わず
あくまで陰にて己の器量を伏し
御下命、如何にても果すべし
なお、死して屍拾う者なし、死して屍拾う者なし」
「アオイ、なにを言っているの? 大丈夫?」
言いたかっただけでござる
その可哀想な子を見る目はやめるでござる
マニーはワインを片手にくつろいでいた
「もう捕まえておる頃だろう、待ち遠しいのう、くくく」
ベッキーが連れて来られるのをワクワクしながら待っていた
「もうそろそろ到着するかも知れん、裏口へ迎えに行くとしよう」
立ち上がり、商館の裏口(地下施設への入り口)へ向かうマニー
「うわあ!」「なんだ!?」
(騒がしいな?)
裏口で数人の護衛が倒れていた
裏口に立つ一人の少女の影
「ひと~つ、人の世、生き血をすすり」
「なんだ?」
その少女がなにやら言い出す
「ふた~つ、不埒な悪行三昧」
「はあ?」
マニーと護衛たちはなんだコイツと首をかしげる
「みぃ~つ、醜い浮き世の鬼を、退治てくれようくノ一アオイ!」
「アオイ・・・」
レッドがものすごーく憐れんだ目で見ていた
だがアオイは気持ちが昂っているので気にしていなかった
気にしましょう
地下施設の入り口まで来ました
ここで気配遮断を解きます
「なんだ? どこから来やがった!」 ビシッ!
手刀で倒します
やはり敵地、地下施設を守る護衛たちがうようよいます
「ガイド精霊のみなさん、懲らしめてやりなさい!」
「はいはい」
レッドがなにやら諦めた感じでござる
どうしたんだろう?
サスケたちも姿を現し護衛たちを叩きのめしていきます
「ま、魔物!?」
「ちがうよー」 ガブリ
ポチャに噛みつかれる護衛
護衛たちが応戦するけどガイド精霊たちには敵いません
そうこうするうちに悪徳商人マニーがやって来ました
わたしは悪人退治で言いたかったセリフを言いました
「醜い浮き世の鬼を、退治てくれようくノ一アオイ!」
レッドがなにか言っているけど気にしないでござる
「貴様は誰だ! それにその魔物たちは何だ!」
マニーが叫びます
「わたしの顔を見忘れたか!」
「知るかっ!」
そりゃ知らないでしょうね
でも言いたかったんだもん
「わたしはアオイ・キリガクレ
わたしの名前は引導代わりだ
迷わず地獄に堕ちるがよい!」
「この娘、頭おかしいのか?」
首をかしげるマニー
くっ、この悪党め! 許さないでござる!
「あなたの悪事は明白、潔く罪を償うでござる」
「馬鹿な小娘だ、さっさと捕まえろ!」
悪党の親玉だけあって反省の色なしでござる
「仕方があるまい」
わたしはケンタ殿から授かった刀を手にする
「成敗っ!」
刀を構えて向かってくる敵たちを峰打ちします
ガイド精霊たちも敵たちを無力化していきます
「くっ、なんなんだこいつら!」
マニーが奥へ逃げて行きます
さすが悪党の親玉、自分だけ逃げるのでござるな
でも逃がさないでござる!
護衛たちはガイド精霊たちに任せてマニーを追いかけます
すると一人のごつい大男が立ち塞がります
「わはは、そいつは護衛長だ! ゴエー、やってしまえ!」
ゴエーって名前なの? さすがFPOでござる
「悪いがマニー様はやらせん」
ごつい腕で鉈を振り回してきます
軽くかわしていきます
「ちょこまかと鬱陶しい!」
左からの横薙ぎをかわして懐へ入り込みます ズバッ!
「うおっ!」
ゴエーの胴を斬りましたが傷もつかず血も出ません
でもこれで当たり前なのです
この刀は天誅剣、剣だけどわたしは刀と呼びます
忍者でござるから!
天誅剣は身体を傷つけるのではなく相手の悪しき心を斬るのです
そして斬られた相手は
「う、うおおおっ!」
「ど、どうしたゴエー!?」
ゴエーが膝をつき号泣する
「俺が悪かったよう~! 俺はなんて酷いことをしてきたんだあっ!」
「罪を認め悔い改めるでござるか?」
「もちろんだあ! 俺はたくさんの人を殺してしまったあ!
マニー様の命令とはいえ笑いながら殺しを楽しんでしまっていたあ!
なんて酷い奴なんだ俺はあっ! どうか俺を裁いてくれえっ!」
「馬鹿、私の命令とか言うな!」
自身が命じたことをバラされて焦るマニー
このように天誅剣で斬られた相手は改心して罪を悔いる
「くそっ、役に立たん奴だ!」
マニーがゴエーを放って逃げ出す
どこまでも腐った悪党でござる
もちろん逃がさないでござる
「遅いでござる、忍者の足から逃げられると思うな!」
「ひっ!?」
一瞬でマニーの背後へ追いつく
そしてそのまま天誅剣で叩っ斬る
ズバッ! 「ぐはっ! あれ? 痛く、ない?」
「またつまらぬものを斬ってしまった」
マニーが顔面蒼白になりガックリと膝をつく
「あああ、私はこれまでなんと非道なことを・・・
謝っても謝りきれない、謝って済むことでもないほどに」
これまでの悪事に心がしめつけられているようでござる
「教えてくれ、私はどうしたらいいんだ、どうすれば償える」
すがるように問いかけてくる
「今この場でこれまでの罪を吐き出せ
まずはシッドさんのことから話すでござる」
わたしはサクラ殿から預かった魔道具にチャクラ(魔力)を流す
「ああ、あの男か、それなら・・・・・」
マニーはベラベラとシッドさんやベッキーちゃんのことを語り出す
聞いていて怒りがわいたが落ち着いて自白を聞いていく
シッドさんの件以外の悪事もマニーに語らせていく
するとサスケがやって来た
「どうしたのサスケ、護衛たちは全員倒したの?」
「はい、それで捕縛、連行してくれています」
「え? 誰が連行しているのでござるか?」
ガイド精霊たちが連行なんてしたら騒ぎになるでござる
「領主様と私兵の方々が来て下さいました」
どうして領主様がここへ?
とりあえずマニーを捕縛して連れて行きます
入り口付近へ行くと私兵さんたちが護衛たちを捕縛して連行していました
「おおアオイか」
「領主様、なぜここに?」
「マニーの悪事を摘むためだ」
シシリーちゃんからマニーの件を聞いて独自で調査してくれていたようです
そして充分ではないけどそれなりの罪状が上がったのでやって来たそうです
「来たらお前たちの聖獣たちが暴れていたから驚いたぞ
だがおかげで捕縛が楽にできた、礼を言う」
「いえ、こちらこそ連行方法に迷っていたので助かりました」
領主様がわたしのうしろにいるマニーに気づく
「マニーも捕まえてくれたのだな」
「はい」
捕縛した縄の先を私兵さんに渡す
「・・・・・はっ!?」
さっきまでうな垂れていたマニーが顔を上げる
「なんだこの縄は! 貴様、離せ、私を誰だと思っている!」
私兵さんに凄むマニー
天誅剣で斬ったら改心するけど一時的なのでござる
ある程度時間が経ったら元に戻ります
「マニー、貴様の悪事もここまでだ」
「あん? 誰だ? ってペンペラン伯爵様!?」
領主様がいることに驚くマニー
「なぜ伯爵様がここに? そうだ、この暴漢どもを捕まえて下さい!」
「悪党はお前だろう? これからお前は裁かれるのだ」
「はあ? 私が何をしたというのですか!」
「罪状はすでに用意してある、法廷で教えてやる」
「証拠もないのに罪状だと? ふざけるなっ!」
爵位が上の相手によくもまあ悪態がつけるものだ
「貴様こそふざけるなっ! 無実だというなら大人しく法廷へ立て!」
「うぐ・・・」
領主様に一喝されてたじろぐマニー
「私の大事な領地で悪事を働いたこと、後悔するがいい」
マニーはそのまま連行される
ガイド精霊たちと一緒にわたしも商館から出ます
「やっと終わったわね」
「うん、でも裁きはこれからでござる」
「それは領主様たちの仕事ですけどね」
「そうね、とりあえず」
わたしは夕焼け空を見上げて
「これにて一件落着!」




