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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
1 愚者の楽園

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15/159

15 ハジメノ街

馬車に揺られてハジメノ街を目指す俺たち

ラインハルトがアンナに話しかける


「アンナに聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


「答えられる範囲ならいいですよ

 ですが私はもうお兄さんのガイド精霊です

 パートナー以外の方への情報公開に制限があります」


「それで構わない」


何を聞くつもりなんだろう


「ケンタが一位で俺が二位なんだよね」

「はい」

「プレイヤーのランクごとにスタート地点が変わるって言ったよね」

「言いました」


「俺とケンタはサイショノ村がスタート地点だった

 とするとトッププレイヤーはサイショノ村からってことかな?」


「そうなります」


なるほど、だとすると、、、


「トップって三位までなのかい?」

「はい、三位の方までがサイショノ村からスタートです」

「だったら三位のプレイヤーもあの村にいたってことだね」


「その人もアシュラ戦には来なかったな

 ラインハルトと同じく村長探しで手間取っていたとか?」


(なんで村長さんを探すのかしら? アシュラも・・・・・)


なんかまたアンナがブツブツ言っている


「ツギノ村へ行く馬車にもいなかったよね

 サイショノ村で停滞しているのかも」


「それならサイショノ村へ戻った方が良かったかな?」


他のプレイヤーにはできる限り会いたい

あと三位がどんな人かも気になる


「その人の都合で動いていると思います

 だからあまり干渉しない方がいいですよお兄さん」


「それもそうだな、俺だってあまり干渉されたくないしな」

「四位以下のスタート地点とかはわかるのかい?」

「把握出来るのはトップの三人だけです」


トップ3人はチュートリアルからやれってことかな?


「まだ質問していいかな」

「どうぞ」


「他のガイド精霊たちの名前とかは把握しているのかい?」

「上位個体には名前がありますがそれ以外は名前がありません」

「なんで?」


「本来はパートナーが名付けるの

 上位個体は特別なので名前が付けられています」


そうなんだ、俺がアンナに付けるとしたら、、、


「お兄さん、変な名前を考えないでね」

「なんでわかった!?」

「何か企んでいる顔をしていましたから」


くっ、ポーカーフェイスは苦手だ


「上位個体序列二位の特徴とか教えてくれないか?」


自分のパートナーのことを知りたいんだなラインハルト


「それは答えられません」

「ええっ、ダメなの?」

「ごめんなさい」


「謝らなくていいよアンナ、こっちこそごめん

 そうだよね、見つけて直接確認するよ

 よし、絶対見つけ出すぞ!」


ラインハルトが気合いを入れる


「そうだ、俺も聞きたいことがあった」

「なんですか?」


「なんでフールズ・パラダイス、愚者の楽園なんだ?

 ゲーム名としては悪くないけど意味が謎だ

 ゲーム内で愚者を意味するものが出てないし

 世界設定にもボスにも関連がなかったんだよ

 この世界の名前にしても変だよな」


「そうだね、SNSでもその話題が上がってたよ

 俺たちプレイヤーが愚者なのかとか

 でもプレイヤーの背景設定にそれらしいものがない」


「愚者はプレイヤーさんたちのことで合っていますよ」


「俺たち愚者かよ!」

「どうしてだい?」


「神様曰く、『現実より虚構に現を抜かす愚か者』だからだそうです」


神、酷くね?

でもなるほどと納得してしまう自分が悲しい


「そういう方たちの楽園だから愚者の楽園と言うことです」


その愚者共にこの世界を任せる神様も愚者だろ

天罰が下ったらイヤなので口には出さない


いいよもう愚者でもなんでも

この愚者の楽園を楽しませてもらうさ




馬車は夜通し走る、乗客は揺られながら眠る

そして明け方、ハジメノ街に到着した


つんつん、つんつん、、、 なんか頬をつつかれている


「お兄さん、起きて下さい、着きましたよ」


「むにゃ、あと5分、、、」


「起きないと額に肉って書きますよ」 キュポン


「・・・・・ヤメロ」 俺は起きた


危うくマッスルヒーローになるところだった

アンナの手にはキャップの開いたマジックが握られていた

マジで書くつもりだったのかよ!



馬車から降りて身体を伸ばす


ハジメノ街、やはり村とは比べ物にならない広さだ

人も多く活気がある


「俺はこの街を隅々まで探索するからここでお別れだ

 街にいることには変わらないけどね

 どこかで出会えたらよろしくな」


「精霊探しするんだなラインハルト」

「俺の今の最優先事項だからな」

「頑張って下さいラインハルトさん」

「ありがとうアンナ、ケンタもありがとうな」


ラインハルトは雑踏の中へ消えて行った


「俺たちも行くか」

「はい」


まずは宿屋を確保しないとな

宿屋を探しながら街を見て回る


「お、宿屋発見」


見つけた宿屋に入り宿泊手続きをする

もちろんツインルームだ


宿屋の主がアンナを見る

そして俺を見てフッと笑い目を逸らす

その態度はどういう意味だ!


とりあえず部屋に入りくつろぐ


「まだ寝足りないから昼まで寝る」

「添い寝しましょうか?」

「いらん、お前もゆっくりしとけ」

「お前じゃなくてアンナですよ」

「別にいいじゃん」

「駄目です、名前で呼んで下さい」


何かこだわりでもあるのか?

眠いから言うとおりにする


「わかったよ、アンナもゆっくりしとけ」

「はい♪」


俺はそのまま眠りについた






お兄さんが寝たのでヒマです

やっぱり額に肉って書いちゃおうかな?

・・・・・やめとこ


お兄さんの寝顔、うん、可愛くない

別に不細工ではありません、普通です


「まったく、来るならさっさと来て下さいよ

 ずっと待ってたんですからね」


私たち上位個体の三人にゲームでは名前がありませんでした

私がナンバーワン、二位がナンバーツー、三位がナンバースリー

ただの番号です、安直の極みです


この世界に放り込まれたときに名前が与えられました


野良精霊になったのは悲しかった

でも名前が与えられたことは嬉しかった


だから、「おい」とか「お前」とかはイヤです

せっかく名前がもらえたんだから名前で呼んでほしい

自分が存在しているんだと実感できるから


まあお兄さんには言いませんけど

だって子供っぽい理由だから笑われそう

まあ笑ったら殴りますけどね


・・・・・でも、優しい人で良かった


強制的に同位同士で事前契約されるので私たちが選べません

酷い相手であっても私たちには拒否権がありません

お兄さんみたいな人で良かった


言いませんけどね






「ふわぁ、よく寝た、、、」


時間を確認すると13時ちょっとだった

ちょっと寝過ぎたか


「アンナ?」


アンナがいない

あいつどこ行ったんだ?

まったく世話の焼ける


俺は一階へ降りる

アンナがいた


椅子に座り何か食べていた


「アンナ、勝手に出歩くなよ」

「あ、お兄さん起きたんですね」

「何食べてんだ?」

「昼食ですよ、お兄さん起きないから先にいただいています」

「そうか、じゃ俺も食べるか」


俺も席に座り昼食をいただく


「このあと冒険者ギルドへ行くからな」

「登録ですね」 モグモグ

「ああ」 パクパク


村の宿屋の料理より美味しいから食べる手が止まらない


食べ終わりお茶を飲んで一息つく俺とアンナ


「「ごちそうさまでした」」


「さて行くか」

「はい」


宿屋を出て冒険者ギルドへ向かう

だがすぐに足を止める


「どうかしましたか?」

「ギルドってどこにあるんだ?」

「お兄さん・・・・・」


そんな可哀想な子を見る目で見るな


「こっちです」

「え、わかるのかアンナ」

「私はガイド精霊ですよ」

「あ、そうか、そりゃわかるよな」

「忘れてたんですか?」

「だって普通の女の子だから精霊ってこと忘れるよ」

「・・・・・ふーん」


スタスタ足早にギルドへ案内してくれる

忘れてたこと怒ってんのか?

今回は愚者の楽園の意味

アンナの名前呼びにこだわる理由

額に肉! のお話しでした♪


次回、冒険者ギルドでお約束の展開


アンナの名前を考えるケンタ

ケンタ「虹色の羽が付いてるから、、、 レインボーマン!」

アンナ「しばいていいですか?」 ニッコリ

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