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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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144 地獄で会おう!

遠目に廃村が見えてきた

三つの橙色の点で動ていないのは恐らくベッキーだろう

トムとハックが囮になって動き回っているというところか


「カブのライトや音に気づかれたらいけないから降りよう」


俺たちは早足でコソコソ向かう


「バラけているから私たちも別れた方がいいよな」

「そうだねベンケイさん」

「どう別れますかお兄さん?」


「動いていない点はベッキーだろう、ここは俺が行く」

「わたしもベッキーちゃんのところへ行くわ」

「そうですね、ベッキーさんはお兄さんとサクラさんがいいでしょう」


他のメンツよりベッキーはサクラさんに懐いてくれている

俺はどうだろうか? うん、恐いから考えないようにしよう


「なら私はこっちの点に行くぜ」

「では私はこちらの方へ行きますね」


「じゃ拙者はベンケイ殿と」

「アオイくん、頼みがある」

「ケンタ殿?」


この廃村にはきっとチョビ髭はいないはず

あいつがこんなところで寝泊まりするはずがない


「ここで三人を助けてもチョビ髭、マニーはシラを切るだろう

 あいつは絶対にチンピラどもを簡単に切る

 それにあいつがさらわせた証拠もない」


ここで助けられてもまた何かしてくるはずだ


「だけどチンピラの証言とマニーの自白があればすべて裁ける」

「自白? あのクズが自白なんてしませんよお兄さん」


「だからこそアオイくんには街に戻ってマニーを成敗して欲しい」

「成敗でござるか? わたしも大人しく自白しないと思うでござる」


「アオイくんにはアレを渡してあるだろう?」

「アレ? ・・・ああ! アレでござるな♪」

「そうだ、アレで悪徳商人を成敗してきてくれ」


こっちもあっちも一網打尽だ!


「ガイド精霊たちも全員アオイくんのサポートに回ってくれ」


ポチャたちは全員頷く


「承知したでござるケンタ殿、この使命必ずや果たしてみせようぞ!」

「頼んだぞアオイ将軍!」


アオイくんと愉快な仲間たちは踵を返して街へ走り去る

マニーの方は頼んだぞ


「わたしからもいいかしらケンタくん」

「サクラさん?」


「探索マップに大きい黒い点が4つあるの」

「大きい点と言えば・・・」


探索マップの黒い点は攻撃性の高い者を表す点だ

さらに大きさは大きいほど攻撃性が高くなる


「きっと風の戦士団がいるわ」

「あいつらがいるのか、厄介な」


「だから彼らにも証言させましょ」

「難しくね?」


ベンケイさんの言うとおり奴らが素直に証言するとは思えない


「シッドさんがどうやって騙されて殺されたのか

 これまでどんな手を使って悪事をしてきたのか

 話させればいいだけだから証言台じゃなくてもいいのよ」


「どゆこと?」


俺たちは一つずつビリヤードの玉ほどの球体の魔道具を渡される

使い方を教えてもらい懐にしのばせる


「部分的でも彼らが自身の悪事を語っていればいいのよ

 それだけでも風の戦士団を糾弾できるわ」


「そうだね、これで本当に一網打尽だ!」

「わかったぜサクラ」

「さすがですサクラさん」


廃村の出入り口から離れた場所から入り込む

柵などは朽ちているからどこからでも入れる


「俺とサクラさんは動いていない点、ベッキーのところへ」

「ええ、ベッキーちゃんのところへ」

「私はこっちへ向かう」

「私はこちらへ」

「それじゃみんな」


「「「地獄で会おう!」」」


(何を言ってるのこの人たち?)


アンナがドン引きだが構わない

これが俺たちの再会を誓う約束の言葉なのだから

俺たちはそれぞれの場所へ走る

アオイくん、マニーの方は頼んだぜ

ポチャたち、アオイくんを守ってやってくれ




ケンタ殿から託された使命、必ず果たすでござる!


街の北門へ辿り着きます

もちろん素通りでござる


わたしの隠密スキル、気配遮断で堂々と

サスケたちは姿を消す能力もあるので同じく堂々と


北門から離れてふと立ち止まる


「ねえ、あのとき壁越えしなくてもこれで行けたんじゃ」

「ダメよアオイ、考えたらダメよ」


レッドが遠い目をしている

サスケたちも同様に遠い目をしていた


「そうでござるな、今はそんなことは些細なことでござった」

「そうです主、今は使命のことだけ考えましょう」


わたしたちは悪徳商人マニーの商館へ無心無言で走り出す




追いかけるゴート、逃げるトム

もちろんゴートの方が速いためすぐに追いつかれる


「おらあっ!」 バゴン!


「うわっ!」 ボスン!


殴られるが無傷、サクラの結界のおかげである

しかし拳に押されるため吹き飛びはする

もちろん地面に叩きつけられても無傷


「なんだあ? 無傷ってすげー丈夫だなお前」

「くそ」


「ああそういやザキが言ってたな、身体強化だか結界だかって

 そうかそうか、そんなら簡単にくたばらねえから殴り放題だな♪」


楽しそうに拳を握るゴート

トムは立ち上がってすぐに逃げる


「鬼ごっこか、付き合ってやるぜ♪」


軽く追いつき殴られる

すぐに立ち上がり逃げるがまた追いつき殴られる

それでもトムは逃げ続けた


「すぐに追いつけるがおかしいな?」


(この歳のガキにしちゃ足が速いな)

(すぐ追いつかれるけど僕こんなに足が速かったっけ?)


その秘密は靴にあった

この靴は魔道具である

元々はサイズ調整の魔法しか付与されていなかった

ケンタがGPSを追加で付与


しかしケンタが知らないうちにもう一つ付与されていた

それは脚力強化、これにより通常の三倍も速く走れていたのだ

こっそり付与したのはサクラである


「まあいい、どこまで持つか楽しませもらうだけだ」


トムはひたすら逃げる

だが徐々に体力がなくなっていく


結界は身を守ってくれるが回復能力はない

身体強化でもないので攻撃力が上がるわけでもない


走れば体力も削られ疲れていく

殴られて無傷でも拳が襲ってくる恐怖は拭えない

精神的にもまいってくる


(このまま逃げ続けてもダメっぽい)


トムは息を切らしていく


(きっとおじさんたちが助けに来てくれる)


トムは振り向きゴートと向かい合う


(もうすぐそこまで来てくれているはずだ、そんな気がする)


「ベンケイ姉ちゃんから教わったこと、やるだけやってみる!」


(わずかでも時間を稼ぐ、それが今僕ができることだから)


「ああん? 諦めたのか? 違うな、目が死んでねえ」

「子供だからってなめていると痛い目見るよ」

「はは、面白れえ♪ いいぜ、かかってこいよお!」


トムはゴートへ向かって走る、小さな拳を撃ち込む

ゴートは大きな拳を撃ち込む、が外れる


「お?」


撃ち込むと見せかけてトムはスライディング

ゴートの股下を滑り抜ける

滑り抜けるときに股間へ一撃を喰らわす


「ぐあっ!?」


さすがにゴートもこれはダメージを負う

トムは膝をつくゴートを無視してそのままダッシュで逃げる


「ぐぅ、このガキィ・・・」


ほんの少しだけ動けないゴートだったがすぐに追いかけ始める


「ぶっ殺してやる!」


マニーの商品だとかはすでに頭から飛ぶほど怒り心頭になっていた

しかし路地に逃げられてトムを中々見つけられない

さらにイライラがつのるゴート


「ふう、ちょっと落ち着け俺」


それでも少し冷静になるゴート


「はああっ!」


気合いを入れるゴート


『砕けろっ! 爆砕連打!!』


拳をあちらこちらへ凄い速さで無差別に打ち続けるゴート

路地に隣接する廃屋が爆発するように粉砕されていく


「うわああっ!」

「そこにいたかガキィ♪」


廃屋の一つから炙り出されるトム


「もう逃がさねえぜえ♪」

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