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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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141 ピーター・トウェイン

「くそ、やられた」

「悔しがっている場合じゃないぞケンタ」

「すぐに探しに行きましょうケンタ殿」

「そうだな」


俺たちは教会を出る


「でもどこへ連れて行かれたのかわかりませんよ」

「それは大丈夫だアンナ、居場所はすぐにわかる」


家を失った翌日に伯父を名乗る奴が現れた

そんなの絶対チョビ髭が用意したニセ者に決まっている


神父様の話だと朝10時頃に来てベッキーたちと面会した

それから確認や手続きをして11時過ぎに連れて行った

今は13時過ぎ、すでに2時間も経っている


居場所はすぐにわかる

でも時間が経ち過ぎているから心配だ

すでに奴隷として売られているかも知れない

暴力を振るわれているかも知れない

だからすぐに動く!


「探索!」


ナビのマップに生体反応の点が表示される

探索マップは10キロ以内しか表示されない

だがそこまで遠くにはまだ行っていないはず


マニーの商館も範囲内だ

商館にいなくても近くのどこかにはいるはずだ


「ケンタくん、もしかして探索補助魔法<GPS>を使っているの?」

「そうだよ」


探索補助魔法<GPS>

アイテム類に付与すると探索マップに装備者を特定表示できる

効果範囲は10キロ以内


「お兄さん、私たちのアクセサリーのときと同じ手ですか」

「ケンタ殿、またそれでござるか」


アンナとアオイくんが呆れていた

シシリーたちを護衛したときに使った手だ

プレゼントにつけたため最低と罵られたなあ ホロリ


「また勝手に付与するなんて、やっぱりストーカーですねお兄さん」

「失礼でござるっ!」

「ケンタ殿・・・」


「ところで何に付与したんだケンタ」

「そうですね、アクセサリーなんか身に付けていませんし」

「靴だよ」


あいつらの靴に付与してある


「ボロボロだから買い替えてやりたいってのもあったけど

 状況がこんなだからついでに付与しておいた」


「そうよね、状況を考えたら色々手は打っておくべきよね」

「わかりました、今回は不問にしましょう」

「じゃわたしも不問にしてくれるかしらアンナちゃん」

「サクラさん?」


「あの子たちにまとわせた結界、じつは解除していないの♪」


服を着ている感覚で動けるというあの結界か

それならあいつらがケガをする心配はないな


「不問もなにもそれはとても助かります、さすがサクラさん」

「俺との対応差に悪意を感じる」


泣くよ?


「それよりもベッキーたちはどこにいるんだケンタ」

「みんなも探索マップを開いてくれ、共有する」


パーティー内でGPSは共有可能だ


「橙色の点があいつらだ」

「あの商人の商館にはいませんね」

「あ、少し離れたところにあったでござる」

「これはどういう状況かしら?」

「三人ともバラバラに離れた場所にいるな」


「別々に囚われているのか?」

「他の黒い点がウロウロしているな」

「黒いのが近づいたら動いているわね」

「もしかしたら逃げているんじゃ」


恐らく伯父じゃないことに気づいて逃亡したのだろう

やるじゃないかあいつら


「とにかく急ごう」

「あの子たちが捕まる前に助けましょ」


移動しながら現場での行動について話す

黒い点と橙色の点は絶えず動いている

俺たちが着くまで逃げ切ってくれよ






ベッキーたちは教会に預けられています

神父様たちは優しく気遣ってくれます


朝食をいただき、預り所で大人しくする三人

そこへ伯父を名乗る男がやって来ます


「こちらの方があなた方を引き取りに来たようなのですが」


面会室で顔合わせをします


「あの、どちら様でしょうか」

「会ったのは君が赤ちゃんのとき以来だからわからないよね」


優しく微笑む男

身形はそれなりに良く、服も高そうだった


「私はピーター・トウェイン、シッドの兄だ

 君たちの伯父さんだよ」


「伯父さん?」


一度も会ったことがない伯父などわかるはずもない

赤ちゃんのときなどと言われても本当かどうかわからない

ベッキーは疑います


「たしかにお父さんから伯父さんのことは聞いています

 でもまともに会ったことがないのでわかりません」


「シッドからの手紙に書いていたとおり賢い子だね

 そうだね、どうやったら信じてもらえるのだろう」


物腰と口調は穏やかな男


「どうして伯父さんがこの街にいるのですか?

 なぜわたしたちが教会にいることを知っているのですか?

 なぜわたしたちを引き取りに来るのですか?」


ベッキーは極力こちらの情報を与えないように話します

家が燃えたこと、両親が死んだことなどは伏せています


「なるほど、本当に聡い子だ

 でもそんなに疑われると悲しくなるよ、ははは」


苦笑する男


「私がこの大陸とは別の大陸に住んでいることを知っているのだろ

 だからこんなところにいるはずがないと疑っているね」


「・・・はい」


「私があちらで交易商をしているのはシッドから聞いているよね

 仕事の関係でこちらに来ていたのだよ」


この大陸はフーテン大陸、その西側に位置するオンボロ大陸

ピーターはオンボロ大陸で交易商をしている


(お父さんから聞いているから交易商なのは知っているけど)


「少しばかりこちらで活動することになったのだよ

 それでせっかくなのでシッドに会いに行ったんだ

 そうしたら家がなくなっていてね、途方に暮れたよ」


ふう、と軽いため息をつくピーター


「シッドやその家族がどうなったのか心配したよ

 それで探そうとしたらケンタと名乗る冒険者と出会ったんだ

 焼け落ちた家の前に立ち尽くしていた私に声をかけてくれた」


(おじさんが?)


「呆然と立ち尽くしていたからシッドの知人と思ったみたいだね

 それで私の素性を話したらこの状況を教えてくれたんだ」


(本当におじさんが話したのかな・・・)


「彼が君たちを引き取る話になっているそうじゃないか

 驚いたよ、でも私が引き取りたいと申し出たんだ

 弟の子供たちだからね、他人に預けるより私が引き取りたい

 彼と話し合って納得してもらったよ」


「おじさん、家族になろうって言ったのに・・・」


「言い方は悪いが彼らは他人だ、私たちは親戚、身内だ

 家族なら私たちがいるじゃないか」


「・・・・・」


「ベッキー、トム、ハック、私たちの子供になっておくれ

 不自由はさせないし大切にする、私たちと家族になろう」


考えるベッキー、迷うベッキー

トムとハックを見る


「僕は構わないよ」

「僕も」


((どうなっても僕たちは姉ちゃんを守るだけだ!))


(わたしが選ばなきゃ、しっかりしないと)


ベッキーはピーターに告げる


「わかりました、伯父さんと行きます」


(大丈夫、きっと大丈夫)


「そうか、ありがとう」


満面の笑みの男

少し浮かれた感じで馬車へ案内する


(本当に伯父さんなのかも、嘘ついてるような感じがしない)


「それじゃひとまず私の宿泊している場所へ行くからね」

「はい」

「らじゃー!」

「ぶらじゃー!」

「やめなさい!」


ベッキーに叱られる二人

ポカンとするピーター


「はは、男の子はそのぐらい元気でないとね」


こうしてベッキーたちを乗せた馬車は走り出す

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― 新着の感想 ―
弟たち2人のお姉ちゃんは僕たちが守るの決意が健気で 無事に逃げてー!超逃げてー!と手に汗握ります 大陸の名前にはあえてツッコまないでおこうと思いますが笑える。
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