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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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138 教会

「すぐに連れて行ってやりたいんだが明日まで待っててくれないか」

「うん、いいよ」


「収納袋に食べ物入れておくわね」

「ありがとうお姉ちゃん」


「サクラが結界を張るから安心して待ってろ」

「ベンケイ姉ちゃん?」


三人が首をかしげる


「あの、食事は下の食堂で食べられますよ?」

「なんで閉じ込めるの?」

「どうしてー?」


三人ともマニーの計略とか知らない

だから俺たちのこの行動が不思議なのだろう


(どうしよう、詳しいこと話した方がいいのかな)

(こいつらには酷な話だしなあ)

(そうでござる、誤魔化すでござる)

(言いましょ)

(そうですね話した方がいいと思います)


サクラさんとアンナは話した方がいいという


(三人とも事実を知ってももう大丈夫だと思うわ)

(それに知っていた方が三人とも警戒をしてくれると思います)


たしかにいざというとき混乱せずに済むかもしれないな

知らなければ簡単に騙されて抵抗もできないかも知れない

それにいつまでも事実を知らないままというわけにもいかない

俺たちは話すことにした


「ベッキー、トム、ハック、辛いだろうが聞いてくれ」


三人は真剣に話を聞いてくれる

シッドさんは騙されて迷宮で殺されたこと

同じく騙されて借用書にサインさせられたこと

ベッキーたちは奴隷にされかけたこと

完済はしたがまだ奴隷にすることを諦めていないこと


話を聞いても泣かずに前を向いている三人

様々な感情や思いが渦巻いていることだろう

けれど折れずに心をしっかりと保っていた


「やっぱりお父さん騙されていたんだね」

「わかっていたのか?」


「ううん、お父さんがあんな借金なんてしないって思ってただけ」

「そうだな、俺もそう思う」


ベッキーたちは少しだけうつむく

落ち着いているように見えるがやはり心の中は穏やかではないのだろう

俺たちはしばらく無言になる




「それじゃ俺たちは明日迎えに来るから待っててくれ」

「結界を張るから安心してね」

「待って」


ベッキーが部屋から出ようとする俺たちを止める


「どうした?」


やっぱり不安なんだろうな


「宿屋じゃなくて教会で待っていたらダメですか?」

「教会?」


「結界って絶対壊れないってわけじゃないんでしょ?」

「そうね」


「壊す手段を持っているかも知れないし

 宿屋ごとどうにかしてくるかも知れないよね」


「ベッキーの言うとおり有り得るな」


不安どころかすごく冷静に物事を考えていた

もういつものしっかり者のベッキーだ


「教会だったら手出しできないと思うの」

「そうですね、教会の運営には国も関わっていますから」


「なるほど、さすがに教会をどうこうできないか

 でも教会が泊めてくれるのか?」


「教会は身寄りのない子供を受け入れてくれます

 孤児院も併設しているので大丈夫です」


俺たちの家に来る話がなかったら教会へ行くつもりだったのだろう

まだ10歳なのに本当にしっかりしている


「わかった、教会に預けよう」

「明日迎えに行くまでだから問題ないわね」


こうしてベッキーたちを教会へ預けることになった




教会へ行き三人を預かってもらう手続きをする


「ご両親がお亡くなりになり家が火事ですか」

「そうなんです」


「それであなた方が引き取るけれど準備が必要なのですね」

「はい、明日の夕刻までには迎えに来ます」


「わかりました、孤児院ではなく一時預かりということですね」

「お願いします」


神父様や教会の人たちは優しそうな人ばかりだった

これなら安心して任せられそうだ


「明日迎えに来るまで教会から出るなよ」

「うん」


「警戒を怠るなよ、トム、ハック」

「らじゃー!」

「ぶらじゃー!」


教会内でそれを言うな!

ほら、シスターが変な目で見てる


三人を神父様たちに任せて俺たちは教会をあとにする


「さっさと屋敷の用事を片付けて戻ろう」

「おう」

「はい」

「承知」

「もちろんよ」


俺たちは急いで屋敷へ向かう




出たのが18時過ぎだったため屋敷に着いたときには19時を回っていた


「みんな、ただいま」

「おかえりー♪」


さすがにベルさんはいない


「一体何があったんだ、なんでベルさんが?」

「お兄さんたちに直接話すって言ってた」

「ですので私たちは教えてもらえていません」


ポチャとサスケや他の奴らも聞いていないようだ


「お前らが話せることを知られたのか?」

「うん」


「サスケ、どうして話せることがバレたの?」

「申し訳ありません主、止められませんでした」


「そこは色々あってね」

「レッド、もしかしてあなた達も話したの?」

「ええ、サクラ様」


四神までベルさんと?


「本当に一体何があったんだ?」

「シシリー様が私たちのことをベルさんに紹介してしまったのです」


サスケの衝撃発言に一瞬言葉を失った


「なんでシシリー? ベルさんに紹介? わけがわからん」

「落ち着いて下さいケンタさん、順を追って説明致しますから」


まずシシリーが毎日のようにガイド精霊たちと遊んでいた

うん、ますますわからん


シシリーにはポチャたちのことを聖獣だと思わせている

だから四神のことも受け入れられたのだろう

でも毎日遊びに来るなよ


今日もシシリーが9時頃から遊びに来る

シシリー、ヒマなのか?


少し遅れてベルさんがやって来る

このときポチャとシシリーが門前で話していたのを見つかる


仕方がないので聖獣であることをベルさんにバラすシシリー

ベルさんは驚いたもののすぐに受け入れたそうだ

すごいなベルさん


そのあと屋敷に上がって四神も紹介するシシリー

シシリーさーん!?


シシリーは遊びに来ているだけ

ベルさんは俺たちに大事な話があることを告げる

だけど俺たちがいないから話さなかったらしい


明日出直してくるので俺たちへ伝えてほしいと頼まれる

それでサクラさんにレッドが念話で連絡してきたということだ


「ベルさんは何を私たちに話したいのでしょう?」

「わからんが大事なことには違いないと思う」


わざわざ屋敷まで来るぐらいだしな


「なんにせよ、明日ベルさんが来るまでは動けないな」

「手早く終わらせたかったのですが仕方がないですね」

「明日の夕刻までにベッキーたちを迎えに行ければいいけどな」


ベルさんの話ってもしかしたら風の戦士団のことかも知れない

あのあと調べてくれたのかも

助かるけどあまり危険なことはして欲しくないんだが


この日は久しぶりに屋敷で夕食を食べて眠った


シシリーには今度文句言ってやる!

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お子達3人を抱きしめてあげたい。
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