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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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137 家族

チョビ髭は俺たちの情報を集め終わっていよいよ動き出した

ベッキーたちの家を燃やし、移動手段も潰しやがった

まだなにか手を打っているはずだ、警戒しないと


「ところでアンナ」

「なんですかお姉ちゃん」


「その尾行してた奴、逃がしたのか?」

「必要なことは聞き出せましたからね」


「そいつを証人にすればマニーの悪事を暴けるんじゃないか」

「それは無理ですね」


「なんでだ?」

「その男はただの情報屋です」


チョビ髭は複数の情報屋に依頼して俺たちの情報を集めていた

おおよその情報を入手できたため依頼はストップする


情報屋は情報を集めて売るだけだ

客がその情報をどう使うかまでは知らないし教えられていない

チョビ髭の悪事を暴くには証拠や証人としては弱すぎる

だからアンナは口封じだけして逃がしてやったそうだ


「そいつ依頼されていないのに尾行していたのか?」


「役立ちそうな情報があればまた買ってくれるとか思ってたみたい

 お金に困っていたみたいだから欲張ったのね」


欲をかいたためアンナに酷い目にあったということか


「どうやって拷問したんだアンナ」


「お兄さん、人聞きの悪いこと言わないでくれる?

 ちょっと脅しただけですよ」


縛り上げた男の首根っこを掴んで少しだけ浮く

そのまま上空へ放り投げて落ちてきたらキャッチしてまた投げる

それを数回繰り返して尋問する


まともに話さなかったり嘘をついていそうならまたやる

心の折れた男は必死でベラベラ情報を吐き出したそうだ


尋問後は口封じに脅しをかけるアンナパイセン

これ以上嗅ぎ回らないこと、ここでのことなどを他言しないこと

それを守らなければどこまでも追いかけて嬲り殺すと脅したそうだ

解放された男は必死で逃げて行った


「充分拷問だろそれ」

「違いますよ?」 ニッコリ♪


恐るべしアンナパイセン




「話は戻るけど移動手段をどうしよう」

「ここから離れた場所なら手配できるのでは」

「でもそこへ行くまで妨害もあるでしょうね」


そうだよな、こっちの動きは把握しているだろうし


「こうなったらギルドで借りるのはどうでござるか」


さすがにギルドにまで手出しはできないよな

でもギルドへは街の中央区画まで行かないといけない

ベッキーたちと離れるわけにもいかないし


「誰か一人が行って借りて戻ればいいんじゃね?」

「そうだな、そうしよう」


なにも全員で行くことないもんな


「・・・・・」

「サクラさん、どうかしたのか?」


サクラさんが目をつむってなにか考えていた

あ、目が開いた


「ごめんね、レッドから念話で連絡が来たから話していたの」

「なんかあったの?」


「全員一度屋敷へ戻って来て欲しいそうよ」

「まさかあっちにもなにか仕掛けてきたのか?」

「ううん、わたしたちと話をしたい人がいるみたい」


誰か屋敷に来ているのか?

屋敷にはガイド精霊しかいない

来訪者を屋敷に招いたり話をしたりするはずがない


FPOプレイヤーか?

この街で知り合ったのはストックさんぐらいだ

でも屋敷のことは言ってないから知らないよな


「誰だか聞いた?」

「ベルさんだって」

「え、ベルさん!?」


たしかにベルさんなら屋敷のことを知っている

でもポチャたちが招き入れるのか?


「なんでベルが屋敷に来ているんだ?」

「サスケたちがしゃべることは知らないはずでござる」

「何があったのでしょう」

「ベルさんってギルド職員の人よね」

「これは言われたとおり全員戻るしかないのか?」


屋敷で一体何が起こっているのか確かめないといけない

でもベッキーたちを置いても行けない


「ベッキーたちどうしようか」

「仕方がないから宿屋で待っててもらいましょう」

「それだと危険じゃ」


「収納袋に食料を入れてあげて部屋に結界を張っておくわ

 ここは中級宿だからお風呂とトイレも部屋の中にあるしね

 用事を急いで済ませてさっさと戻ってきましょ」


屋敷まで急いで約1時間

ベルさんの話や状況確認でどれだけ時間を取られるかはわからない

全員で戻るからそれほど時間は取られないだろうけど

そのあと馬車を借りてこっちまで約2時間

移動3時間と用事で数時間


「そうだな、急げばギリギリ1日以内には戻って来れるか」

「馬車もベルがいるならすぐに借りれるから悪くはないな」


ベッキーたちには宿屋で待っていてもらうことになった

用事をさっさと済ませて急いで戻ろう




部屋へ行き結界を外してもらう

中に入ると3人とも起きていた


「やっと扉が開いた」

「よかったあ」

「怖かったよう」


結界のせいで外に出れなかったから不安になったんだな


「不安にさせてごめんな」


部屋に全員入ってサクラさんに消音結界を張ってもらう


「お前たちに大事な話がある」

「なんですか?」


「俺たちの住む家に来ないか?」

「でも家賃払えませんよ」

「家賃なんか取らないよ」


「もうたくさん助けてもらっているのに住むところまでなんて」

「僕、おじさんたちの家に行きたいよ」

「僕もー」


ベッキーは遠慮しているがトムとハックは乗り気だ


「俺のパーティーは仲間であり家族なんだ

 その家族の一員にお前たちを迎えたい、ダメか?」


「家族・・・」


両親を亡くして間もない

そこへ他人にいきなり家族になろうと言われても迷うよな

それでも


「俺はお前らと家族になりたいんだ、なってくれ」

「おじさん・・・」

「僕はなりたい」

「僕もなりたいよ」


ベッキーはまだ迷っている


「本当にわたしたちがおじさんたちの家族になってもいいの?」

「良いに決まっている」

「当たり前だろ」

「もちろんです」

「問題ないでござる」

「わたしたちは大歓迎よベッキーちゃん♪」


ベッキーは迷い考える、そして


「わたしも、なりたい、家族に」


少し照れながら言葉を続けるベッキー


「迷惑かけないように頑張ります

 わたしたちを家族にしてください

 よろしくお願いします」


ペコリと頭を下げるベッキー

トムとハックも遅れて下げる


「迷惑なんてバンバンかけろ、遠慮なんかすんな」

「そうだぜ、家族なんだからな♪」

「お兄さんをどんどん困らせてあげて下さい」

「おいコラ」


みんなが笑う、ベッキーもつられて笑った

今からお前らは俺たちの家族だ

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