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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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126 仲直り

屋敷もゲットして行動を開始する

俺とパンティさんは当分ベッキーのところへ通う

他のメンバーは冒険者活動をする


2日も空けたからベッキーも少しは落ち着いているかも

でも無視とかされそうなのが辛い


「こんにちはー」

「こんにちは」

「おじさん、お姉ちゃん、いらっしゃい」


トムが出迎えてくれた


「シッドさんは仕事?」

「うん、父ちゃん日帰りでできる依頼だけするってさ」


そうだろうな、何日も子供たちだけにできないもんな


「おじさん、お姉ちゃん、中に入りなよ」


中に入れてもらえる


「あ・・・・・」

「よ、よう、元気かベッキー」


ベッキーと目が合った

バツの悪そうな顔をして無言で奥に引っ込むベッキー

地味に心臓が痛い


「これぐらいで挫けないでよね」


パンティさんに(たしな)められる


「ごめんなおじさん」

「いやいいよトム」


トムが心配してくれる


「おじさん、気にしちゃダメだよ」


ハックも慰めてくれる



それから数日通うが結果は同じだった

違うのはパンティさんがベッキーと仲良くなってたこと


奥に引っ込んだベッキーのところへ行き話し相手をしていた

すごいなあパンティさんは



そんなある日、ベッキーが俺の前に立つ

ついに邪魔だから二度と来るなとでも言われるのか?(卑屈)

だって難しそうな顔して睨んでるんだもの


「えっと、ベッキー、さん? なんでございましょうか?」

「ケンタくん、言葉遣いがおかしくなってるわよ?」


しょうがないじゃん!


「お、おじさん!」

「はい!」


「ごめんなさい!」

「す、すみませんでしたあっ!」


ん、あれ? 謝られた? てっきり罵倒されるものかと


「ケンタくんがなんで謝ってるのよ」


パンティさんが呆れ顔をする


「ベッキー? なんで謝ったの?」

「八つ当たりで酷いことを言ってしまったから・・・」


「いや言われて当然のことだよ、謝るなよ」

「違うよ、当然じゃないよ!」


ベッキーがまっすぐ俺を見る


「本当はわかっているの、誰のせいでもないことは

 でも気持ちのやり場がなくって、ごめんなさい、、、」


半泣きで自分の気持ちを伝えてくれた


「そっか、いいよ、じゃ俺たちおあいこだな」

「どうして?」


「俺は大事なことを忘れてしまっていた

 ベッキーは八つ当たりをした、お互いさまってことさ」


「そ、そんなのおあいこじゃないよ?」

「いいじゃんそれで、俺はベッキーと仲直りしたいんだ」


「でも・・・」


「デモもストもない!」

「意味がわかりません!」


この世界にデモやストなんて単語はないからな


「ベッキーちゃん、この人こういうところは譲らないわよ

 諦めて仲直りしないと終わらないわ」


「うう、お姉さんといいおじさんといい変な大人ばかり」


「「ひどいっ!?」」


「わかりました、おじさんと仲直りします」

「そっか、ありがとう」


俺とベッキーは握手して仲直りした


「でも本当にごめんな、助けられなくて」


「ううん、仕方がないことだもの

 わたしも八つ当たりしてごめんね」


ようやくベッキーに許してもらえた気がした

このあとトムとハックも一緒に遊んだ



「そういや喫茶店の仕事って休んでるのか?」

「もう辞めたよ、薬代を稼ぐ必要もなくなったから」

「ご、ごめん」

「もう、いちいち謝らないでよおじさん」


ベッキーはもう普通に接してくれている

でも俺がまだぎこちない、ダメなおっさんだ



「今日は一緒に夕食を食べましょうね♪」


パンティさんが夕食の準備をしている

これまで俺たちは夕食前に帰っていた

俺がいるとベッキーが夕食に出て来なかったからだ



「ただいま」

「お父さん、おかえり」


「「父ちゃん、おかえりー」」


シッドさんが仕事から帰って来た


「おやケンタさんたち、こんばんは」

「お邪魔しています」

「いえ、毎日足を運んで下さりありがとうございます」


シッドさんがベッキーを見る


「どうやら和解できたようですね」

「おかげさまで」


「ベッキーが申し訳ありませんでした」

「そんな、俺の方こそすみませんでした」


シッドさんが頭を下げたので慌てる


「はいはい、その件はもういいでしょ

 夕食ができたから食べましょ♪」


パンティさんが雰囲気を変えてくれる

俺たちは楽しい晩餐をする



帰り道、俺は浮かれていた

やっと許されて安堵していたから


屋敷に帰ってみんなにも報告する


「良かったですねお兄さん」

「ケンタ殿お疲れ様でした」

「これで一安心だな」


この日は気持ち良く眠れた




翌日もベッキーたちのところにお邪魔していた


「おじさんたちは冒険者の仕事をしないの?」


「「ぐはあっ!」」


いきなりの攻撃が俺たちをクリーンヒットする


「あ、そうか、わたしのせいで、、、」

「違うぞ、俺はあくせく働かない主義なだけだ」

「わたしも働いたら負けかなって」

「どっちもダメだと思う」


ベッキーがアンナのような目で俺たちを見る

やめろ、そんな目で見ないでくれ!



その日の夕食時、シッドさんが俺たちに頼みごとをする


「合同依頼で遠征ですか?」

「はい、どうしてもと頼まれまして」


シッドさんは合同依頼のメンバーに誘われたらしい


その主軸はAランクパーティー「風の戦士団」

Aランクパーティーだからメンバー全員がAランク以上

パーティーランキングも5位と俺たち(10位)より上だ


シッドさんは以前にも何度か合同依頼でお世話になっていた

色々助けてもらっていたようなので断れなかったようだ


シッドさんの他にAランク冒険者がもう一人参加する

風の戦士団が4人なので合計6人で依頼に挑む


依頼内容は迷宮攻略

数日こもって攻略できるところまで頑張るそうだ

攻略が行き詰まったら帰還する予定になっている


Aランク以上推奨の迷宮なのでそれなりに難易度は高いらしい

俺は迷宮は苦手なので難易度の低いとこしか入ったことがない

だからその迷宮には入ったことがない


「それで俺がいない間、子供たちを見ていただけませんか?

 ケンタさんたちも冒険者活動があるのは承知しています

 ですので個人依頼としてお願いしたいのです」


個人依頼、ギルドを通さず当人同士だけで契約する依頼だ


「依頼なんてしなくてもやりますよ」

「わたしたちは仕事より知人を優先しますから」

「それはそれでどうなのかと」


ベッキーと同じ反応しないでください、さすが親子


「でも助かります、よろしくお願いします」

「はい、任せてください」

「お仕事無理せず頑張ってくださいね」


こうして翌日からシッドさんは迷宮へ旅立った

俺とパンティさんは姉弟たちとのんびり過ごす




一応依頼の日程をシッドさんから聞いている

目的地の近くの街まで約1日ちょっと

到着した翌朝から攻略開始


今頃目的地の近くの街に着いている頃だ

今日はゆっくりして明日から攻略だな


「攻略が進めば進むほど帰って来るのが遅くなるわね」


「そうだね、まあ無理はしないだろう

 メンバーはAランク以上の冒険者で組んでいるから」


ランクが高い冒険者ほど無理はしない、引き際を知っている

若くて駆け出しの方が無茶をして死ぬ確率が高い


「お父さん、大丈夫かな」

「シッドさんはAランクだから無理はしないよ」


落ち着いた感じの人だから退くときは退くはずだ




翌日、今頃迷宮攻略に勤しんでいるだろう

俺たちはのんびり過ごさせていただいています、すみません

のんびり過ごしていたらベッキーから痛恨の一撃を喰らう


「おじさんたち、やっぱり仕事した方がいいんじゃないですか?」

「ベッキー、俺たちはシッドさんから留守を任されているんだ」


「毎日来なくても3日に一度でもいいんじゃないですか?」

「もしかして俺たちがいると迷惑なのか?」


もしそうなら悲しい


「そうじゃないですけど、なんか悪い気がして」

「ベッキーちゃん、気にしないで」

「俺たちが来たいから来ているだけだ」


でも気を遣わせるのも問題あるな


「わかった、明日から2日に一度にするよ」

「3日に一度ぐらいでいいのに」


「お断りだ、譲歩できるのはそこまでだ!」

「うう、やっぱり変な大人です」


「うう、変な大人って言わないで下さいお願いしますごめんなさい」

「ケンタくん、卑屈すぎ、、、」




翌日、今日はベッキーたちのところへは行かない


「おっさんがいたら邪魔なんだってさー」

「ベッキーちゃんはそんなこと言ってないでしょ」

「拗ねないで下さいお兄さん、鬱陶しい」


アンナ、少しは優しくしてくれよ


「そんじゃ久々にみんなでなにか依頼をこなすか?」

「やめとくよベンケイさん、俺はゴロゴロするよ」

「わたしもー」


パンティさんと俺は引きこもりチームだぜ


「ベンケイ殿、仕方がないのでわたしたちだけで行きましょう」

「そうだな、アンナも行くだろ」

「はい」


頑張ってくれ我らが働き者チーム



昼食タイムに奴らがやって来た


「ケンタ、今日は屋敷にいたか」

「やっと会えましたわケンタ様」


オシリス様とシシリーの領主親子の襲来だ


「お久しぶりです、なにかご用ですか?」

「挨拶に来てやっただけだ」


領主様ヒマなのか?


「本来はケンタの方が私へ挨拶しに来るべきなのだぞ

 領主邸のすぐ近くに引っ越したのなら来るのが礼儀だ」


知らないよそんな礼儀

たしかに領主邸とは徒歩10分の距離だけどさ


「毎日訪ねても誰もいないのですもの、心配しましたわ」


毎日来てたんかい!

こんなことならベッキーたちのところへ行けばよかった

ベッキーに怒られるかも知れんがまだマシだ


「俺たちは毎日あちこち活動してましたからね」

「今日は休みなのか?」


「ええ、だからゆっくりしてたんですよ」

「そう嫌そうな顔をするな不敬だぞ」


「あの、ケンタ様」

「なに?」


「こちらの方は?」


そういやシシリーはパンティさんとは初対面だったな

オシリス様は商業ギルドで会ってるけど


「初めましてサクラと言います」

「初めましてシシリーと申します」


二人とも丁寧に挨拶を交わす


「ケンタ様、王都で探していた仲間がこの方なのですね?」

「なんで探していたことを知ってるの?」

「リディアから聞きました、街に来ていたら宜しくと」


そういやリディアには話したもんな


「そうだよ、やっと再会できたんだ」

「そうですか、よかったですね」


(こんな綺麗な方だとは、急いでリディアに伝えませんと)


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