表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/179

122 仲間

「みんなに聞きたいことがあるんだけど」


くつろぎながら雑談しているときパンティさんが俺たちに聞いてくる


「わたしと再会するまでに多分色々あったと思うんだけど

 できれば何があったか教えてくれるかしら」


「それはどうして? いや別に隠すことなんかないけど」


「イレイを殺そうとしたときベンケイちゃんに止められたわ

 わたしが辛い思いをするからって

 なんとなくだけどベンケイちゃん誰か殺したのよね?

 でもそれって悪い奴だったんでしょ?」


「・・・・・そうだ、だけど人だ」


「人だろうが魔物だろうが悪けりゃ問題ないわ

 それにこの世界は()るか()られるか

 割り切らないと自分が辛いだけ損よ」


パンティさんはドライだな

俺もそれだけメンタル強かったらよかったのにな


「言いたくないなら構わないけど言ってくれると嬉しいわ

 少しでも気持ちを軽くしてあげたいもの」


「ありがとう、サクラ」


ベンケイさんはとある村でのことを話した

殺したことへの後悔と恐怖はない

だけど守れなかった村のことを悔やんでいる


「そう、辛かったわね」


ベンケイさんをそっと抱き寄せるパンティさん


「ちょ、そんなんしなくていいよ!」


照れてるベンケイさんはレアだ

ベンケイさんだけに言わせるのも悪いから俺も話す

マーデラを殺したことを


「ケンタくんも色々あったのね

 でもアオイちゃんが殺されかけたんだもの、そいつの自業自得よ!

 二人とも、簡単じゃないだろうけど割り切りなさいね

 苦しかったらわたしに話して、受け止めるから」


「ありがとうサクラ」

「ありがとうサクラさん」


パンティさんのようにきっぱり割り切れたらいいんだけど

どうしたらそんなに心を強く持てるのだろう


「もしかしてサクラも再会するまでに誰かを殺したのか?」


ベンケイさんが聞く

たしかに有り得ることだ


この世界では(・・・・・・)まだ殺してないわ」


そうか、よかった、、、 ん?


この世界では(・・・・・・)?」


言い方が気になったので思わず聞き返してしまった


「そうね、二人にだけ言わせて自分が言わないのはダメよね」


ベンケイさんも俺と同じようにまさかと言う顔をした


「わたし、この世界では本当にまだ誰も殺していないわ

 でも元の世界で一人殺しているの」


寂しそうな悲しそうな悔しそうな顔で告白する

誰もなにも言わない、言うことができない


この世界なら命のやり取りはよくあることだ

だけど俺たちの元いた世界では日常的ではない

もちろん紛争とか戦争とかあるからまったく無いとは言わない

でも日本で暮らしていた俺たちには日常的ではない


「詳しいことは言わなくていいかしら?

 二人には聞いておいてごめんなさいね」


苦笑いしながら言う

こっちで誰かを殺したと言うなら聞いていただろう

でも元の世界で殺人を犯したことを聞けるわけがない


「いや、こっちこそごめん、言わなくていいよサクラさん」

「すまないサクラ、言いにくいことを言わせちまった」

「二人とも謝らないでよ、いつかちゃんと話すから」


笑ってはいるが泣いてるような笑い方だ


聞いたところで俺たちにはなにもできないだろう

パンティさんは俺たちを元気づけてくれたのに

俺は無力だ、情けない


アオイくんに至っては尚更言葉が出せなくなっている

アオイくんだけ誰も手に掛けていないから

でもこれからもそのままでいて欲しい


「はいはい、この話はここまで!」

「アンナ、、、」


アンナが話を切り上げる


「こっちでもあっちでも過ぎたことです

 重大なことだろうけどそれで落ち込んでどうするんですか

 サクラさんも割り切れと言うなら自身もそうして下さい

 お兄さんも情けない顔しないで下さい、って元からか

 お姉ちゃんも案外ウジウジするんですね」


「おまっ、元からって酷くね!?」

「案外ってなんだよ、私だって悩むぐらいするぞ!」


「アンナちゃん、ありがとう」 ギュッ

「ひゃっ! いちいち抱きつかないで!」


パンティさんが本当に喜んでいる顔でアンナを抱きしめる

さっきまでの悲しそうな顔はもうしていない


アンナ、ありがとうな

そうだよな、思い出すたびに、この話題が出るたびに

いちいち落ち込んでいたら駄目だ


俺とベンケイさんは顔を見合わせて互いに頷く

同じ気持ちのようだ、さすが相棒


「アオイくん、俺たちは大丈夫だからな

 心配させてごめんな♪」 ナデナデ


「アオイ、一緒に悩んでくれてさんきゅー♪」 ギュッ


「うひゃあっ!」


ベンケイさんが抱きつき俺が頭を撫でまわす

アオイくんは照れ笑いながら混乱している


やっぱり仲間っていいな




翌朝、一階の食堂スペースに集まる

普段どおりに挨拶を交わして普段どおりに朝食を食べた


きっともう惑うことはないだろう

メンタル雑魚だからあるかも知れないけど

それでも仲間がいれば大丈夫だ


「それじゃあ村長のところへ乗り込むぜ!」


ベンケイさんが意気揚々とカチコミ宣言をする

戦いに行くんじゃないんだよ?



村長宅へ向かう道中


「それにしても村長って貴族だったんだな」

「それな、俺も驚いたよ」


商業ギルドのギルマス、ウーフ・ハンドフォードさん

爵位は子爵、父親である村長から爵位を継いでいる

すなわち村長は元子爵様なのだ


爵位を譲ったあとサイショノ村の村長になったそうだ

いわゆる隠居生活だ


「あの恥ずかしいセリフを言わないといけないんでしょうか?」

「クエストじゃないから言わなくていいよアオイくん」


クエストなんか存在しない、アンナが言っていたなあ

ダメ出しを思い出してしまった ホロリ


「おや、もしかしてケンタか?」

「ケンタさんじゃないですか」

「二人とも、久しぶり」


ガバスさんとチケットさんと再会した


「元気そうだな、いつ来たんだ」

「昨日だよ、二人も元気そうだな」

「また当分いるんですか?」

「いや用事を済ませたら明日にでも帰るつもり」


二人は自警団の巡回中だった


「ケンタ、そいつらは?」

「ガバスさんとチケットさんだ、自警団の人たちだよ」


「ガバスと、チケット、、、 うくっ、、、」


パンティさんが笑いを堪えていた

ガバスチケットを想像したのだろう


「そちらの女性たちはケンタの知り合いか?」

「村の人ではありませんね?」

「俺のパーティーメンバーだ」


「そうか、私はガバス、みなさんよろしく」

「チケットです、ケンタさんには討伐でお世話になりました」


二人とも、俺を疑わないんだな

ちゃんとみんなが仲間だと信じてくれた


アンナたちも軽く名乗って二人は巡回へ戻って行った


「あははは、さすがFPOね♪ 名前が♪」

「いなくなったからって笑わないであげてサクラさん」



村長宅へ着いて門番に村長と面会したいことを伝える

呼び鈴で呼ばれた使用人に言告げてくれる

使用人が村長へ伺いを立てに行きようやく中に招かれた


案内された応接室で村長が待っていた


「ケンタよ、久しぶりじゃな、元気そうでなによりじゃ」

「村長もお変わりなく、急な訪問ですみません」

「構わんよ、お主ならいつでも会いに来るがいい」

「ありがとうございます」


チラリと俺の後ろのみんなを見る村長


「それにしてもまさか妻子とともに来るとは思わんかった」

「妻子?」


「お主の嫁さんと娘じゃろう?」


パンティさんとアンナを見て言う

パンティさんが嫁でアンナが娘だと思ったようだ


「あとの二人は世話係か妾じゃろう?」


アオイくんとベンケイさんを見て言う

世話係はともかく妾って


「全員パーティーメンバーでそういう関係じゃないですよ

 いくら村長でも勝手な解釈はやめて下さい」


パンティさんとベンケイさんは平然としている

アオイくんは複雑な顔をしていた

アンナが誰が娘だという目で俺を睨んでいた

俺、悪くないよね?


「おおそうか、それはすまなんだ

 お嬢さん方、失礼なことを言って申し訳ない」


村長が頭を下げる

さすがに村長に頭を下げられたら許さないわけにいかない

アンナも睨むのをやめてくれた

てか俺を睨むな!


「立たせたままですまんかった、みんな座ってくれ」


全員着席する


「それでワシに何の用じゃ?」


ウーフさんの屋敷の件を話す

その屋敷を俺たちに売ってもらうために来たことを告げる


「なるほど、まさかケンタが買いに来るとは思わんかったのう」

「それで俺たちじゃ駄目ですか?」


村長は俺たちを軽く見渡して


「うむ、お主らになら構わない、売ろう」

「よかった、ありがとう村長」

「ワシの署名と認印を捺すから契約書を出してくれ」

「はい」


「待ってお兄さん、その前に交渉しないと」

「何かあったっけ?」


アンナから待ったが掛かった


「価格の交渉よケンタくん

 わたしたちを見て価格を決めるって言ってたでしょ」


そういやウーフさんが言ってたな

父が相手を見て価格を決める、って


「ん? ああ屋敷の値段か」

「はい、いくらぐらいで売っていただけますか?」


まあ法外な値段ではないだろう

俺たちなら余裕で払えるはずだ


「ゼロじゃ、金はいらんよ」


ある意味法外な値段に俺たちは固まった


「村長、いくらなんでもゼロってことは」

「なんじゃ、タダで手に入るのに嬉しくないのか?」

「そりゃ嬉しいけどタダより怖いものはないって言うし」


「ふーむ、ワシはケンタを信用しとるしの

 お主らならあの屋敷を大事にしてくれると思っとる

 屋敷を大事にしてくれるのがなによりの対価なんじゃ」


「そう言ってもらえるのは嬉しいけどさすがにタダは」

「いいじゃんケンタ、くれるってんだから」

「ベンケイちゃん、そういうわけにもいかないのよ」


村長が思案する


「屋敷を手に入れても維持に金が掛かるじゃろ

 その金はそっちに使えばよかろう?」


「そうだけど、ウーフさんが泣くよ?」

「勝手に泣かせておけ」

「ひどっ!」


「普通は安い方が喜ぶものじゃろう?」

「安いの範疇を突破していますよ」


100円の物と億越えてる物がタダになるのは違うよ村長


「しょうがないのう、なら1円でどうじゃ?」

「金銭感覚がおかしいよ?」


「いくらならお主は納得するんじゃ、高過ぎたら譲らんぞ!」

「値切る立場が逆だよ!?」


予想では屋敷と土地で大体10億弱だと思う

ウーフさんから聞いとけばよかったな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ