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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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119 祝福の接吻

フライで飛んで一気にイレイの真上に行きます

自分の少し上に板状の結界を張ります


身体強化最大、右手にハードニング、ブラックホール

結界へ全力で突進して身体を回転させて蹴ります

同時にフライを解除


蹴った勢いと落下速度が合わさります

そして最大強化と超硬質化の暗黒拳


「お兄さんから離れろおっ!」

「なっ、いつのまに!?」


バシュッ!


イレイは咄嗟に躱す、でも右肩を抉った


「ぐあぁっ! おまえ、くそっ!」


中身は空洞なのに痛覚があるからかなりの激痛でしょ

右腕ないんだから右肩もなくてもいいじゃない


「お前じゃなくてアンナです!」


私とお兄さんを結界で囲みます

お兄さんが立ってるのも限界のようで座り込みます


「さんきゅーアンナ、もう少しであの世行きだったよ」


「すぐに回復魔法を掛けますね

 そうだ回復薬なんで飲まないんですか?」


そう言いながらヒールを掛けようとしたら止められた


「すまん、回復魔法は効かない、回復薬もだ

 あいつの能力で回復することを封じられている

 飛ぶことと強化することも封じられた

 もちろん決壊死(けっかいし)も使えないままだ」


魔力が枯渇したのはそのせいだったのね

体力も回復しない、だったらかなり危険な状態です


「お兄さんは休んでてください、私がイレイを倒します

 倒せばイレイの能力の効果は消えるはずです

 それまで耐えていてくださいね」


「、、、ああ、頑張るよ」


残っていたマネキンがやって来ました

結界のまわりを囲んでいます






アンナのおかげで俺はまだ生きている

だけど時間の問題だ


魔力枯渇で苦しい、体力も底を尽いている

辛うじて生きているだけだ

身体が衰弱していっているのがわかる


「アンナこそ今のうちに回復薬を飲め

 結界解除したらすぐに戦えるようにしておけ

 いいか、俺のことは気にせず全力で戦え

 自分が生き残ることを考えろ」


「なんですか弱気ですね」


そりゃもうすぐ死ぬからな


「残念だったね、時間切れだよ♪」

「時間切れ? なにを言ってるの?」


時間切れ、時間、、、


あいつのように何かを封じたりする能力には大抵制限がある

そういやなんでもかんでも封じていなかったよな

回数制限があるのか? 


回数制限がある能力の特徴

一定期間や時間ごとにリセットして回数が回復する

ベンケイさんのサンドバッグなんかもそうだ

1日3回までだが日付が変わればまた3回使える

日付が変われば、、、


まさかと思いナビを開いて確認する

日付が変わっていた


「お兄さんは気付いたようだね

 そうだよ、僕の能力には1日に使える回数制限がある

 日付が変われば回数が回復するんだ

 そしてさっき日付が変わったよ♪」


このままだとアンナも俺と同じようになる

だけどもう俺にはなにもできない、くそっ!

あ、やべ、頭に血が上ったから余計にクラクラしてきた


「アンナ、不甲斐ないパートナーで悪かったな」

「お兄さん」


イレイがアンナの結界に触れようとする

消されると思ったとき


ボスンッ! 「うわっ、なに!?」


イレイの顔に何かが覆い被さる


「前が見えない! なんだ!?」


ポチャが覆い被さっていた


「つぶれちゃえっ!」


そのまま戦闘形態になるポチャ

大きく重い物体が頭に乗っているのだ

イレイは押し潰される


ズドーーーン!


「いつのまに、というかどこにいたんだポチャ」


てっきりアンナと一緒に行動していたもんだと思っていた


「私たちとは離れて待機させていたの

 イレイが私たちに集中して隙ができるまでね」


「でも大丈夫か? あいつには変な能力があるし」

「ポチャなら大丈夫、仲間なんだから信じてあげて」

「そうだな、仲間だもんな」


ポチャが飛び退いた

イレイが起き上がる


「くそっ、お兄さんと序列一位だけじゃなかったのか!」


俺とアンナだけしかいないと思ってたんだな

俺もポチャがどこにいたのか気付かなかったけど


「ふふーん、僕が相手になるよー♪」

「犬が偉そうに!」


ポチャに触れようとするイレイ

ヒラリヒラリとすばしっこく躱すポチャ


イレイのスピードが落ちている?

よく見たらイレイの身体中にヒビが入っている

さっきのポチャプレスのダメージだ


「くそ、捕まえろ!」


残りのマネキンたちをポチャへ向かわせる

イレイは俺たちの方へ来る


「ダメだよ、僕の相手をしてくれないと」


マネキンを器用に肉球張り手でイレイへ飛ばす


ガシャン! 「うわっ!」


イレイにぶつかり砕けるマネキン

ヒビが入ってるのでイレイにもダメージが入る


「さんどいっちー♪」


ガシャン! ガシャン!


イレイの両側をマネキンで挟む

それを蹴り転がしながら遠くへ走り去るポチャ


「お姉さん、お兄さん、僕に任せてね♪」


ポチャ、強くなったなあ


「アンナ、俺はいいからポチャと一緒に行ってくれ」

「でも」


「あいつを倒さない限り俺の回復はできないだろ」

「そうだけど」


「マネキンの残りもあっちに行ったから大丈夫だ

 みんなももうすぐ来るんじゃないかな

 それになんかもうさっきから眠気が、、、」


「お兄さん?」

「わりぃ、もう、限界、、だ、、、」


ごめんな、アンナ、ポチャ、みんな、、、

俺はそのまま深い眠りについた






ツギノ村近くでアオイとブルーと別れたときのこと

ケンタが二人にとある頼みごとをする

その後ろでアンナはポチャに指示を出していた


「いいですかポチャ、大変でしょうけど走ってね

 そしてもしも私たちが襲われていたら隠れなさい

 敵が私たちに集中している隙を狙いなさい

 これはノーマークのあなたにしかできません」


「うん、僕がんばるよ!」


ケンタの白カブにアンナも乗って走り出す

ポチャは一人その脚で追いかける


カブの方が速いのですぐに見えなくなる

それでもポチャは全速力でひたすら走る


マネキンと戦うアンナが見えた

だけどそこを避けて茂みへ隠れる

少しこそこそ移動する


ケンタが蹴られまくっていた

飛び出して助けに行きたかったが我慢する


(ごめんねお兄さん)


もっと確実に敵へダメージを与えられる機会を待つ

爪を地面に突き立てて助けに行きたいのを堪える


アンナがケンタと合流する

その結界へ近付く敵


敵の意識は完全に二人にしか向いていない

チャンス到来!


敵の頭に覆い被さるポチャ


(よくもお兄さんたちをいじめたな!)


「つぶれちゃえっ!」


戦闘形態になって言葉どおり敵を押し潰す

敵の身体から悲鳴のような音がする


「くそがっ!」


敵が手を伸ばしてきたので飛び退くポチャ

敵はポチャに触れようとするが躱していく


業を煮やした敵はマネキンを向かわせる

敵はケンタとアンナのところへ向かう


マネキンを張り手で飛ばして邪魔をする

よろけた敵をマネキンでサンドイッチにする

それを蹴り転がしながら遠くへ運ぶ


遠くへ着いてマネキンサンドを掴んでジャンプ

着地のときに地面へ叩きつけて圧し掛かる


「ぐあっ!」 ビキビキ


さらに敵の身体が悲鳴を上げる

すぐに飛び退くポチャ


「僕が相手だ、どこからでもかかってこい!」

「この駄犬が、、、」


残りのマネキンたちがポチャを囲む

だがポチャに軽く砕かれまくる


「邪魔だよ!」


すべてのマネキンが砕け散る


「あとはキミだけだね、あれ?」


キョロキョロするが姿が見えない


トン 「え?」


戦闘形態が解除されて小さくなるポチャ

マネキンを砕いている間に背後に回られたのだ


「まったく手間をかけさせやがってこの駄犬がっ!」


ドガッ! 腹を蹴飛ばされて転がるポチャ


「いたた、、、」


踏み付け、蹴りにくる敵を躱していく

小さくなってもすばしっこさは健在だ


「ちょこまかと鬱陶しいな」


砕けたマネキンの破片が宙を舞い、全方位からポチャを襲う

さすがにすばしっこくても逃げ場がない


切られ、突き刺され、打ちつけられる

そして力尽き倒れるポチャ


「ごめん、ダメだったよお姉さん、、、」


グシャッ!


ポチャの頭を踏み付ける敵

蹴り上げ、蹴り転がす敵


足もヒビだらけなのであまり力が入っていない

それでも小さいポチャにはダメージが大きい


「この駄犬が、さっさと死ねよ」


頭を潰す勢いで踏み付けようとする敵


(お兄さんたち、助かるといいなあ、、、)






ポチャは頑張ってチャンスまで耐えてくれました

一人でイレイと遠くで戦ってくれています

私もお兄さんを助けたらすぐに行くから頑張って!


お兄さんがぐったりと意識を失った

回復できない状態でダメージを負いまくったから


まだ息があります、でもかなり危険な状態です

回復薬も回復魔法も受け付けません

普通なら助かりません


イレイの能力はわかりません

でもお兄さんを助ける方法はあります


私は魔力回復薬を飲んで魔力を全快させます

ついでに体力も回復しておきます


「絶対助けるからねお兄さん」


ガイド精霊上位個体だけが使える固有スキルがある

このスキルは自分のパートナーにだけ使うことができます

自分のパートナー以外には使用できません


効果は、パートナーに向けられたすべての害意を払拭する


代償として上位個体は100日間魔法が使えなくなります

魔力は消えません


さらに全魔力を使用するため使用後は魔力枯渇で昏睡します

一度使うと1000日後でないと再び使うことができません


「急がないといけません、けど、、、」


早くしないとお兄さんが死んじゃうでしょ

ポチャだって危ないかも知れない

なにを躊躇しているの私!


そうよ、これはみんなを助けるため

いわば医療行為、救助活動、邪な考えは捨てなさい私!



固有スキル<祝福の接吻(ブレッシングキス)



その名のとおりキスをしないとダメなのです

恥ずかしがっている場合ではありません


でもやっぱりドキドキします

だって私のファーストキスなんだからね!


お兄さんの意識がなくてよかった

意識がないこと自体は本当はよくないのだけれど


お兄さんの顔にそっと手を添える


「ファーストキスだけど、ノーカンかな?」



私はお兄さんの唇に自身の唇を優しく重ねる



私の魔力が一気にお兄さんへ流れていく




「、、、、、アンナ?」


「おはよう、お兄さん、、、」


そして私はお兄さんの身体の上に被さるように倒れた

次回、対イレイ戦決着!

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