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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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114 イレイ対ベンケイ

「魔力と体力が限界だ、すまぬ」

「いやいいよ、よく頑張ってくれたよ」


パンティさんから離れ過ぎているので魔力供給ができない

長時間飛び続けたため体力も限界がくる

アンナが説明してくれた


「それじゃあここでパンティさんたちを待とうか」

「いや、お主らはカブとやらに乗って先に行け」

「そうですね、そうしましょうお兄さん」


サイショノ村へヒマワリを連れていく、これが最優先事項だ


「でも頑張ってくれたブルーを置き去りにするのはどうかと」

「そう思うなら尚更先へ進め、それが我の望みだ」


そう言われたら断れない


「わかった、行くよ」

「ではアオイさん、私の後ろに乗って下さい」


「すみません、わたしはブルーと残ります

 さすがに一人にはできません」


「そうだな、アオイくん頼んだよ」

「はい」


「すまぬなアオイ」

「いえ、一緒にベンケイ殿たちを待ちましょう」


「そうだ、二人に頼みたいことがある」


アオイくんとブルーにある頼みごとをする

そして俺とアンナはサイショノ村へ向かって走り出す






夜の山だけどそれなりに光源があります

頂上に近いので星明かりに照らされています

イレイとマネキンたちは微かに身体が発光しています

四神たちも同じく身体が煌めいています


大量に出されたマネキンたち

その身体の白さと光が相まって暗いはずの山が白く輝いています

眩しいわよあなた達!


「ブラック、ホワイト、レッド、お願いね」

「任せて」

「頑張る♪」

「やってやるぜ!」


わたしを守るように囲んでマネキンを迎撃してくれます

わたしは杖を掲げて上空に巨大なファイアボールを出す


「ファイアボール、対象はヨシツネくん!」


ここからではベンケイちゃんとヨシツネくんが見えません

なので対象指定型のファイアボールを放ちました


敵じゃなくて味方に放つのはおかしい?

いいのです、これは攻撃というより支援だから


そんなことよりまだやることがあります

ベンケイちゃんと分断されましたが焦りません


自分を囲むように結界を張りレジャーシートを出して座る

そしてお茶を飲みながらくつろぎます


優雅なお茶会、発動!


ダメージ無効化を対象指定、対象・ベンケイちゃん


半径1キロ以内の仲間に様々な支援効果があります

10回分のダメージ無効化は指定しなければ全体となります

発動時に対象指定すると対象者のみに効果があります


準備が完了したのでゆっくり考え事をしましょう

イレイの能力、その考察と対処法です


まずケンタくんの決壊死(けっかいし)が通用しなかったこと

刺さっていたのに消せなかったことをケンタくんは驚いていた


だけどこの件には疑問点がある

不発の場合、銀の短剣は消滅しないのに消滅した

だとすると不発ではないことになる

でも刺さった部分は消えなかった


イレイが言った言葉を思い返す


効いてるけど(・・・・・・)僕には届いていないだけ(・・・・・・・・)だよ♪」


効いている、つまり通用するということ

届いていないだけ、ここになにかヒントあるわね


届いていない、つまり決壊死(けっかいし)の効果を届かせないようにしている

なんらかの方法で防いでいるということよね

その方法はまだわからないから後にしましょう


次にブラックのクリスタルシールド


砕くでもなく完全に消し去った

しかもそのあとブラックが張り直せなくなった

ブラックの能力を封じた?


でもイレイはブラックには何もしていない

ブラックはシールド以外の力は使えている

消したのはシールドの能力だけってことかしら?


デリートシステム、不要なものを消していく存在

イレイ・ジャー、イレイジャー、消去や削除

イレイの能力は消す能力?

短絡的だけど案外答えはシンプルなのかも


次はわたしの魔法が通用しなかったこと


ストーンブラスト、全弾命中していたけど効果がなかった

爆発するはずが爆発せずただの石つぶてになっただけ

消す能力なら石も消えるはず


アイスプリズン、途中で氷が消滅した

魔法自体を発動させないようにしているわけではないわね

発動後、何らかの方法で打ち消したと考えられる


フレイムランス、炎の槍はイレイを貫けず消滅した

消滅と言っても弾かれるように分散しただけ

消すなら炎も消えるはず


続いてベンケイちゃんが与えたダメージについて


フレイムランスを防がれた直後のこと

ベンケイちゃんが不意打ちで斬り付けた

その攻撃は打ち消されず左腕を斬ることができました


不意打ちには対応できない?

相手の行動を認識できていないと使えない能力かな


それからベンケイちゃんとわたしを分断したこと


二人相手だと不意打ちに対処できないからでしょうね

マネキンたちをわたしの方に回したのはなぜか

自身が戦う相手をベンケイちゃんにしたのはなぜか


わたしの魔法の手数の多さを警戒した?

だとすると消せる数に制限があると仮定できるわね

それにわたしには三人のガイド精霊がいる

多勢との戦闘は避けたいのかも


ベンケイちゃんはヨシツネくんと二人だけ

ベンケイちゃんの方が戦いやすいから選んだのね

でもそれはベンケイちゃんを侮り過ぎよ


まあ、わたしとベンケイちゃんのどちらを選んでも同じだけどね

むしろわたしに考える時間を与えたことを後悔しなさい






「分断されたのに全然焦らないんだねお姉さん」

「分断程度まったく問題ないぜ♪」


「でもあっちは1万体のマネキンだよ?」

「あいつをなめるな、屁でもねえよ」


「お姉さん、女性なんだから言葉は選ぼうよ」

「ほっとけ」


でかいファイアボールがヨシツネに向かって飛んでくる


「え、なにあれ、僕への攻撃?

 無駄なのにって、そっちの狐に向かってる?」


「ありがたく頂戴致します」 バクン


ファイアボールを食べるヨシツネ

そして戦闘形態、九尾の狐へ変化する


「うっわあ、そんなのアリ?」


それだけじゃない、この感覚、優雅なお茶会が発動されたな

しかもダメージ無効化が私に回ってきている

さんきゅーパンティ♪


「しょうがないなあ」


ヨシツネに向かっていくイレイ

変な能力以外はどんな攻撃をするのか


ヨシツネが爪とファイアボールで攻撃する

パンティのフレイムランスのように炎が分散されるかも


炎の玉と爪を躱しながらヨシツネの懐に飛び込むイレイ

消さないのか?


躱すと言っても身のこなしは大したことがない

そのため爪がかすったり炎の玉がわずかに当たる


「熱い! 痛い! まったく面倒くさいなあ!」


文句言いながらヨシツネに触れる

やばい、あいつが触れたらヨシツネが消されるんじゃ!?


だがヨシツネの戦闘形態が解除されて小さくなるだけだった

ホッとしたが戦闘形態を解除するってなんだよ

消す能力じゃないのか?


「すみません姫、これでは戦えません」

「いいよ、私がヨシツネの分も頑張るさ」


ヨシツネのファイアボールを消さなかったのはなんでだ?

どうやら能力になにか制限でもあるみたいだな


「まったく、これだから図体のデカいやつの相手はイヤだよ」

「私はデカくならないから安心しな♪」


「そろそろお姉さんに斬られたお返しをするよ」

「いいぜ、いつでも来いよ、闘えるならな♪」


イレイの身体の光が消える


「僕が光ってたのは魔力を安定させてないからだよ

 外に漏れてる魔力が光ってたんだよ

 今それを内側に戻して安定させたからね」


「いいのかよ、そんな情報くれて」

「いいよ、どうせお姉さんここで死ぬんだから♪」


そう言って私の懐に一気に入ってきた

速い、アオイ以上だ!


ドガッ!


薙刀の柄で辛うじて防ぐ

だがそのまま何発も連続で拳を撃ち込んでくる

拳はなんとか見切れているから防いでいく

だけど私が攻撃をする隙がない


「あはは♪ どうだいお姉さん、僕強いでしょ♪」

「おう、強いな、笑えるほどにな♪」


「あはは♪ お姉さん、防戦一方なのに楽しそうだね♪」

「そりゃ強い奴と闘うのが大好物だからな!」


わずかな隙をようやく見つけ腰を落として薙刀を振る

左腕の前腕部に柄を撃ち当てる バシンッ!


「うわっ! いったあっ!」


私から離れるイレイ

私は態勢を直して構える


「サンドバッグ!」


私はイレイとの間合いを詰める

縦に薙いで右腕を斬り付ける


「そんな遅い攻撃なんか簡単にかわしちゃうよ♪」


たしかに私よりイレイの方が動きは速い、だが!


ズバシュッ!


「いっ? ぎゃあっ!?」


イレイの右の上腕部中心ぐらいを切断する


見た目は白い肌を除いて人間と変わりない姿のイレイ

しかし人間ではない確たる証拠、血が出ない


人間なら腕を切断されて血が飛び出さないわけがない

ましてや骨も肉もなく切断面が空洞だった


人を斬る、殺す罪悪感など微塵も感じない

もっとも、仮に人間だったとしても私はこいつを殺すけどな


「くっ、かわそうとしたのに、かわせなかった

 なんか引き寄せられる感じがしたよ、くそ、痛いよ!」


「肉も骨も血もないのに痛覚だけはあるんだな」

「お姉さん、許さないよ、、、」


さっきまでヘラヘラしてたくせに凄んできやがる


「余裕ぶって相手を侮ってるからだ」


私はもう一度斬り付けにいく


「同じ手は喰わないよっ!」


左腕を狙って縦に薙ぐ スカッ!


サンドバッグで躱せないはずなのに躱された?

一瞬、その隙をついて超速の手刀が私の左脇腹を削る


「ぐっ!」


痛い、でも追撃を警戒して耐えて構える


「どう? 痛いでしょ? もうお姉さんには死んでもらうね」


こいつ、サンドバッグをどうやって躱したんだ?

消す能力のはずだろ?


いや、考えてる場合じゃない!


手刀がくる、かろうじて躱す ドガッ! 「うぐっ!」


手刀を躱した直後、回し蹴りがきた

すげえ威力だ、転がっちまった


すぐに起き上がる、だが腹にいいパンチをもらう

そのまま後ろに飛ばされてまた転がる


「がはっ!」


やべえ、血反吐吐いた

あれ? ダメージ無効化はどうなったんだ?


「じゃあね、お姉さん♪」


醜悪な笑みで倒れている私の心臓目掛けて手刀を放つ

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