112 アオイとケイト
「よし、全員戦闘準備に入れ
パーティーは他のパーティーとも連携をとってくれ
ソロの奴らも合同討伐のつもりで挑め
街に被害がなくともギルドへ向かって来ている
ギルドへ売られたケンカだ、買ってやろうじゃないか
その魔物どもへ目にもの見せてやれ!」
おおっ!! とギルマスの言葉に湧き上がる冒険者たち
急ぐ旅だが俺たちのせいだから俺たちも戦う
「あなた達、待ちなさい」
ケイトさんが何かを察したのか俺たちに待ったをかける
「なんですか、早く戦闘配置につかないと」
「あなた達、向かって来ている魔物を知っていますね」
他の冒険者たちに聞こえないように小声で話してくれる
ここは正直に答える
「奴らは俺たちを狙って来てます
俺たちがギルドにいるからここへ向かって来ているんです」
「急ぐ理由はこうならないようにするためだったのですね」
「はい、ですが遅かったようです、すみません」
少し思案してケイトさんが言う
「ではあなた達の配置は最後尾にしましょう」
「いや俺たちのせいだから前線で戦いますよ」
「奴らはあなた達を追っているのでしょう?
なら最後尾に向かってまっすぐ来るはずです
その方が街の被害を抑えられて各個撃破しやすくなります
ようするにあなた達にはおびき寄せる餌になっていただきます」
戦略的に俺たちが最後尾にいた方が戦いやすいということか
「なるほど、わかりました
でもケイトさんが勝手に配置を指示していいの?」
「いいのですよ、私、サブギルドマスターですから」
サブマスだったのケイトさん!?
そういや勝手にランク昇格の書き換えしてたな
権限があったからなんだな
「話はまとまったかいケイト」
「ええネミロフ」
ギルマスに聞かれてた
「すみませんギルマス、俺たちのせいで」
「気にしないでくれケンタさん、助け合うのも冒険者ですよ」
いい笑顔で言われた、ギルマスかっけぇ
「じゃケイト頼んだよ」
「ええネミロフ、任せて」
なんかいい雰囲気だなこの二人
「仲良いですね二人とも」
「当たり前です、私の夫ですから」
「ああ、私の愛する妻だ」
なん、、、 だと、、、
「二人って夫婦だったの?」
「ええ」「ああ」
「ネミロフさんとケイトさんって歳が離れていますよね?」
見た目ではそう見える
「ええ、25歳差です」
オウ、、、 なんという歳の差夫婦
「素敵です♪」「ステキね♡」
アオイくんとパンティさんがなぜか盛り上がっている
「さあケンタさんたちが配置に着いたら迎撃開始です」
そうだ、今はそんなことに動揺している場合じゃない
俺たちも配置に向かうためギルドから出る
「最後尾ってここ?」
「ええ、この東門です」
ケイトさんに最後尾へ案内された
そこは東門のある場所だった
「この街は西門から東門まで一本道で大通りになっています
直進してもらった方が戦いやすいですからね」
たしかにあちこちウロウロされるよりかはやりやすい
「では私は最前線へ行きます」
「サブマスのケイトさんが最前線なの?」
「冒険者たちの士気を上げる役割がありますから」
ケイトさんはそう言って最前線へ向かった
「俺たちがここにいれば奴らは他へ行かずまっすぐ来る
でも他の人たちばかりに戦わせるのが辛いな
俺たちのせいで奴らが来ているのに」
「というよりここにはケンタだけいればいいんじゃね?」
「なんでだよベンケイさん」
「だって狙われてるのはヒマワリだろ
それを頭に置いてるケンタに向かって来てるんだから」
なるほど、たしかにそうだ
「だからと言って持ち場を勝手に動くのはダメよね」
「お姉ちゃんは戦いたいだけでしょ」
「バレたか♪」
ベンケイさんらしいや
向こうからネミロフさんがやって来る
「どうしましたネミロフさん」
「ケイトから頼まれてね」
なんだろ?
「よいしょっと」 ギギィ、、、
ネミロフさんが東門を開ける
「なぜ開門するのですか?」
「ケンタさんたち急ぎの用があるのでしょう?
今のうちに街から出してやってくれと頼まれました
この場は私たちに任せて行って下さい」
俺たちを奴らから逃がそうとしてくれている
なんだよ、この街のギルドは本当に、、、
「俺たちのせいなのに逃げるわけにはいかないですよ」
「お兄さん、これは逃げではないです」
「アンナ?」
「そうだな、ありがたく先へ進ませてもらおうぜ♪」
「ベンケイさんまで」
「わたしたちが街から出た方がベストなのよケンタくん」
「サクラさん、どういうこと?」
「あいつら、わたしたちの気配がなくなれば撤退するでしょ?」
「はい、サクラさんの言うとおりです」
そういうことか!
「わかった、さっさと街から出よう」
俺たちは東門から出ることにした、だけど
「ごめんなさい! わたしだけ前線へ行きます」
「アオイくん? ちょ、なんで!?」
アオイくんは凄い速さで走り去った
「どうしよう、戻るの待つか?」
「いえ私たちだけでも先に行きましょう」
「アオイくんを置いていくわけにいかないだろ」
「ですから山の麓あたりで待ちましょう」
「・・・・・わかったよ」
ここはアンナの言うとおりにする
アオイくんは心配だが街のためにも出た方がいいからな
彼らがこの魔物たちに追われている理由はわかりません
急ぎの用事と言うのも何かは知りません
ですが困っている冒険者に手を差し伸べるのがギルドです
それをネミロフから私は教わりました
だから彼らを先へ行かせ、私たちが奴らを止めます
彼らを東門のところへ案内したあと私は前線へ戻ります
途中でネミロフに彼らを外へ出すように頼みます
ネミロフはすぐに行ってくれました
アオイさんとはもう少しお話ししたかったですね
残念ですがいずれまた機会があるでしょう
そのときを楽しみにしていますよアオイさん
「お待たせしましたみなさん」
最前線に陣取っている冒険者たちのさらに前へ立ちます
後ろの冒険者たちが活気付きます
すごい盛り上がりです、うるさいですよ?
「ここからでもはっきりと見えますね」
白い身体の魔物が人と同じ服を着ています
本当に見たことのない魔物ですね
整列してこちらへまっすぐ行進してきます
「みなさん、気負わず普段どおり戦いましょう
臆することはありません、ですが油断してもいけません
己の力を信じ、仲間を信じ、共に戦いましょう
それでは準備はよろしいですか?」
私は武器の棒を両手で構える
長さは約2メートル、材質はミスリル
「迎撃開始っ!」
うおおおおおっっ!!
雄叫びを上げて湧き上がる冒険者のみなさん
ちょっとうるさいですが気合いは大切ですのでいいでしょう
敵は鞭のようなものをたくさん飛ばしてきます
それらを縦横無尽に躱しながら敵の中を進んでいきます
敵たちの最後尾を目指します
統率がとれているので操っている者がいるはずです
それはきっと最後尾にいるはずと判断します
それにしても多すぎてなかなか進めません
おっと、バランスを崩しました
仕方がありません、一撃ぐらいは覚悟してます
・・・・・・・・・・どういうことでしょう?
私を無視して避けて前進していきます
どうやら標的以外は眼中にないということですか
報告どおり人や建物へも攻撃をしていませんね
あくまでケンタさんたちだけが攻撃対象なのですね
しかし最初の前衛は攻撃してきました
ふむ、少し試してみましょうか
私は棒を横薙ぎして周りにいた敵を砕きます
「邪魔をスル者、敵と認識、排除スル」
標的を庇う者や行動を邪魔する者も敵認定するのですね
それならたっぷり邪魔してあげましょう
そうすればケンタさんたちが街から離れる時間稼ぎになります
鞭攻撃を躱しながら砕いていきます
どうやら背中から出していますね
低い姿勢から敵を掻いくぐりながら足を砕いていきます
足がなくなり勝手に倒れていきます
その身体を踏み付けながら砕きます
数が多いので鞭攻撃が無数に飛んできます
ですが躱せる速さです、そして敵自体は脆く弱い
砕きながらみんなのところへ戻ることにしました
正面から砕いた方がよいと判断します
中衛、後衛は魔法を飛ばした方が良いでしょう
向こうから敵を砕きながら誰か来ます
私のように最後尾を狙いに来たのでしょうか
鞭攻撃を躱しつつ確実に砕いています
なかなか良い動きをしていますね
成長しているようですね
「アオイさん」
「ケイトさん!」
まったく街から出したはずなのになぜここにいるのですか
「どうして行かなかったのですか」
「少しは強くなっているところを見てほしかったんです」
あなたは子供ですか
「来てしまったものは仕方がありません」
「ごめんなさい」
私は冒険者たちのところへ戻ることを伝えます
後ろを砕くより正面からの方が効率が良いことを伝えます
アオイさんはちゃんと話を聞いて頷いています
「人の話を聞けるようになったみたいですね」
「そこじゃなく戦闘面を認めて欲しいです」
「では戻りますよ、戻りながら見せてもらいます」
「はい!」
みんなごめんなさい
どうしてもケイトさんに見てほしかったから
正面のマネキンを砕きながらケイトさんのところへ行きました
せっかく東門を開けてもらったのに勝手をしてごめんなさい
怒られるかもなあ
でもケイトさんは呆れるだけで怒りはしませんでした
呆れられるのもイヤだけど
ケイトさんと共に冒険者さんたちのところへ戻って来ました
「合格ですアオイさん、強くなりましたね」
優しく微笑んでくれました
「ありがとうございます!」
ケイトさんは冒険者さんたちに指示を出していきます
「ではアオイさん、あなたは早く仲間のところへ戻りなさい」
「わたしも戦います」
スコン!
「いたっ!」
額を棒で軽く突かれます、でも痛いです
「あなたにはやるべきことがあるのでしょう?
そしてパーティーに属しているなら仲間を優先しなさい!
これ以上わがままを言うなら失望しますよ」
それはイヤです、失望されたくありません
それに言われていることは本当です
わたしのわがままで仲間に迷惑かけてます
「ごめんなさい、ありがとうございましたケイトさん」
わたしは一礼してみんなのところへ戻ります
戻ったらみんなにも謝ろう
次回、DS序列三位登場




