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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
3 ただいま

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105 ベル・メゾン

アマ草採取を終えた翌日、昼までゴロ寝する

今日と明日はお休みにしたからだ


昼になったので起きて昼食を食べる

食べ終わって俺はギルドへ向かった

いつもどおり思い付きで行動する俺



そろそろベルさんを食事に誘おうと思う

前回は悪いことをしたから今度はちゃんと誘おう


最初に約束してから2ヶ月以上経っている

さすがに愛想を尽かされるかも知れない



ギルドに着いて受付に行く


「こんにちはベルさん」

「こんにちはケンタさん、今から依頼ですか?」


「いや、今日は仕事のあと空いてるか聞きに来たんだ」

「なんですか? また誰かのお祝いとかですか?」


ちょっとトゲのある口調で言われる


「この前はごめんてば、今日はちゃんと二人で食事だよ」

「・・・・・本当に?」


疑いの目で見られる、自業自得とはいえ辛いっす


「本当だってば、終わる頃ここに迎えに来るから待っててよ」

「わかったわ、待ってます」


なんとかお誘いを受けてもらえた

俺は宿屋へ戻って時間までゆっくりする






お昼休憩のあと受付に戻ります

ケンタさんがやって来ました

今から依頼を受けるのかしら?


「こんにちはベルさん」

「こんにちはケンタさん、今から依頼ですか?」

「いや、今日は仕事のあと空いてるか聞きに来たんだ」


まさか食事へのお誘い? 嬉しい♪

はっ! 駄目よわたし、なにかのトラップかも知れないわ!


「なんですか? また誰かのお祝いとかですか?」


ちょっとトゲトゲしかったかも

でもケンタさんのせいですからね!


「この前はごめんてば、今日はちゃんと二人で食事だよ」

「・・・・・本当に?」


疑いの目で見てしまいます

だけど二人ってはっきり言っているから大丈夫かも


「本当だってば、終わる頃ここに迎えに来るから待っててよ」

「わかったわ、待ってます」


わたしはお誘いを受けます



16時、交代の時間です、急いで帰って着替えないと!


はたと気付く、ここに迎えに来るって言ってた

帰ってお風呂や着替えができない!?


いつも家から制服を着てギルドに来ています

もちろん帰りも制服のままです


しまった、これだと制服のまま食事に行くことに


諦めたら駄目よわたし!

急いで帰って支度してここに戻ればいいのよ!

さすがに交代時間の16時きっかりにケンタさんは来ないだろう


わたしは急いでギルドを出ます


「ベルさんどこ行くの? 俺はここだよ」

「ケ、ケケ、ケンタさんっ!?」


ケンタさんがギルドの向かい側の建物の前に立っていました

なんでもういるのよ!?


「は、早いですね、ケンタさん」

「そう? 待たせたら悪いと思って16時ちょっと前に来たんだけど」

「早いわよ! ケンタさんの方が待つことになるじゃない」

「ベルさんを待つのも楽しいから気にならないよ?」

「~~~っ!!」


この人は本当にもう! 嬉しいじゃないバカ!

これ素で言ってるのよね? 計算してないよね?

ううん、ケンタさんはそんな細かいことできないわ(失礼)


「えっと、もしかして都合悪くなった?

 だったら別の日にでも誘い直すけど」


「え、なんで? 別に都合は悪くないですよ」

「なんか急いで出てきたから急用でもできたのかと」


それは身支度したかったからです、とは言えない


「いえ、大丈夫です、待たせたら悪いと思って急いだだけです」


とりあえず嘘ではないです

誤魔化し感が半端ないですけど


「それじゃ行きましょうか」

「は、はい、、、」


結局、制服のまま行くことになりました

お風呂も入ってないから臭ったりしないかな?

今は8月、少し汗もかいています


ケンタさんはラフな格好です

これならそんなにお洒落なところへは行かないでしょう

それだけが救いです



お店に着きました、エルドランという店名の食事処です

予想どおりお洒落なお店ではありませんでした

でも大人向けのお店です

基本の飲み物はお酒で食べ物はお酒に合うものばかりです


「そういやお酒って大丈夫だった?」

「今更聞くことじゃないと思いますよ」


普通は聞いてからお店を選ぶでしょ


「ごめん、一緒に食事することばかり考えてたから」

「それはわたしと食事することを楽しみにしてたってことですか?」


まあどうせなにも考えてはいないんでしょうね

ケンタさんですし


「うん、楽しみにしてたよ」


ああもう、照れ笑いながらそんなこと言わないでよ!

ダメ、期待しちゃダメ、どうせ深く考えず言っているだけなんだから!


「お酒は飲めます、少しだけなら」

「そっか、俺も少しだけなんだよ」


だったら違うお店を選びなさいよバカ!



お店に入りビールと焼き鳥を頼むケンタさん

うん、デートっぽくない


別にケンタさんはデートに誘ったわけじゃないのはわかってますよ

でもね、二人で食事なんだからもうちょっとね


もうこうなったら食べて飲んでやりますからね!


そのあとも美味しいお酒と肴を注文するケンタさん

ええ、お酒も肴も美味しいですよ?


まあ色々と文句もありますが楽しいのは本当です

こういうお店なので変に意識しなくていいのも助かりました

なんだかんだで談笑しながらお酒が進みます



「そういやベルさんのフルネーム知らないや」

「そうですね、言ってませんでしたね」

「よければ教えてくれる?」

「ベル・メゾンです、27です」


酔った勢いで歳まで言ってしまった


「そうなんだ、俺30♪」

「知ってますよ、カード何度も見てるし」

「そりゃそうだ」


ケンタさんも少し酔ってるわね


「ところでケンタさん」

「なに?」


「ケンタさんは好きな人いないんですか?」


うん、わたしかなり酔ってる、なに聞いてんのわたし?

でも口が止まらない


「お仲間、美女と美少女ばかりじゃないですか

 誰かといい仲なんじゃないんですか?」


「あるわけないよ、仲間だもん」

「へえ、じゃお仲間以外にはいないんですかあ?」

「・・・・・い、いない、かな?」


なに今の変な間は、いるの? 誰か気になる人がいるの?

顔が赤いのはお酒のせいかどうかわからないわ


「ふーん」 ジト目

「な、なんだよ、ベルさんだって誰かいるのかよ」


焦りながらわたしに振ってきましたね、誤魔化そうとしてますね

ということはやはり誰か気になる人がいるんですね

なんかモヤモヤしてきた


「いますよー」

「え、そうなの?」


なんですか、そのガッカリした顔は


「聞きたいですかあ?」 ニヤニヤ

「う、別にいいよ」


「えー、聞いてくれないんですかあ?」

「どうせ俺だとか言ってからかうんだろ」


ほー、そう思ってるんですか


「ええ、ケンタさんですよ♪」

「ほら、そうやってからかうんだから」


「からかってませんよ?」

「もう、ベルさん酔い過ぎだろ」


「大体、なんでからかってるとか思うんですか?」


「そんなの俺がベルさんに惚れられるなんて思ってないからだよ

 ベルさん可愛いし俺よりいい男を選ぶだろうし」


可愛いと言われて嬉しいけど疑問の方が上回る

この人、どうしてここまで自信がないのかしら

モテなかったからこじらせた?

それだけじゃないような気がします

ちょっとだけ腹立たしいです


「そろそろ出よう」

「・・・・・そうですね」


わたしたちは会計を済ませてお店を出ます

自分のを払おうとしたらケンタさんが払ってくれました


「むう、無理矢理払わないで下さい」

「俺が誘ったんだからいいんだよ」


鈍感で天然で子供じみてて自分勝手ですね

好きなのに感想が悪いとこばかりになってしまいます



家まで送ってくれます


「まっすぐ歩けてるね」

「少し酔ってますが問題ないですよ」


家の前まで来ました


「それじゃ俺は帰るね、またギルドで」


帰ろうとするケンタさんにわたしは


「ケンタさん」

「え、なに?」


軽く深呼吸して


「わたしがケンタさんを好きなのは本当ですからね」

「いや、だからからかわないでよ」


ギュッ 「ふんがっ!?」 鼻をつまんでやります


「からかっていません、真剣に告白しているんですよ

 ケンタさんこそ真面目に聞いて下さいませんか?」


鼻から手を離します


「でもさ、俺が選ばれるなんて思わないよ」

「どうしてそんなに卑屈なんですか」

「だって俺だよ? モテる要素がどこにもないよ?」


自信がないにも限度があります、いい加減にしなさい!


「あなたに自信がないのはわたしにはどうすることもできません

 でも、わたしの気持ちを否定しないで下さいませんか?

 わたしの気持ちはあなたの自信のあるなしなんて関係ありません!

 わたしはわたしの気持ちを素直に告げているだけです

 からかっているとか勝手に思うなバカ! このバカ! バカ、、、」


いけない、ちょっとだけ涙が出てきた

泣くのは卑怯だ、ぐっと堪えて涙を止める


「そう、だよな、ベルさんごめん」

「そうですよ、もっとしっかりして下さいケンタさん」


「冒険者としての自信はあるけど男としての自信がないんだよ」

「どうしてですか、魅力はありますよ」


あるから好きになっているんですけどね、わかってよ


「そう言ってくれるのは嬉しいよ

 だけど自分ではそう思えないんだ」


何かあったのかも知れない

でもそれは無理矢理聞き出しちゃいけないと思う

だから聞かない


「わからないことが多いけどとりあえずわかったわ」

「ごめんなベルさん」


「でもわたしがケンタさんを好きなことだけは忘れないでね

 それとわたし以外にもあなたを想う人が出てくるはずよ

 その気持ちは否定せずきちんと受け止めてあげてね」


「わかってる、ベルさんのおかげでわかったから

 えと、それでベルさんの告白の返事、、、」


「それはまだ言わないで」

「え?」


こんなグダグダな状況で返事されたくありません!

だって断られそうだもの


「今はわたしの気持ちを知ってくれただけでいいです

 焦らずゆっくり考えて答えを見つけて下さい

 それまでは今までどおりでお願いします」


まだアプローチする機会が欲しい

簡単に断られてたまるもんですか!


「うん、わかった、ちゃんと考えて答えを出すよ」

「ありがとうね」


「それじゃ帰るね、おやすみ」

「おやすみなさい」


ケンタさんは帰って行きました

家に入り、お風呂を済ませてベッドに入ります


「言ってしまった!

 酔った勢いは駄目でしょ、わたしぃ~~~っ!」


当分、お酒は控えようと思いました

酒は飲んでも飲まれるな

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ケンターお前はもっと自信持てーー✊
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