104 あの場所この場所
やっとみんなでニクジャガ山へ来れた
「パンティさんのメイド姿、久しぶりだね」
「もう、サクラですよ!」
パンティさんは魔女装備ではなくメイド服になっている
ゲームでは金髪碧眼メイドだった
今はリアルだから黒髪黒目メイドである
こっちの方が清楚な感じがして断然イイ!
「メイド姿だとついパンティさんって言ってしまうんだよ」
「しょうがないですね、今だけは許してあげます」
お許しをいただけた、ありがたき幸せ
片っ端から魔物を狩っていく俺たち
パンティさんはお茶を飲みながら俺たちを見守る
パンティさんの固有スキル<優雅なお茶会>発動中
パンティさんの火力なら魔物は一掃できるだろう
それだと俺たちのいる意味がなくなる
だからパンティさんには支援役になってもらっている
「よっしゃ、100体!」
ベンケイさんが倒した魔物で合計100体になった
ニクジャガ山で100体狩るとボスが出てくる
そう、懐かしのニック・ジャガーだ
ニック・ジャガーは敏捷性が高く速い
ここはアオイくんに動きを止めてもらう
アオイくんはニック・ジャガーの速さを凌駕する
そしてニック・ジャガーの背中に刀を突き刺す
「壊鬼激喰!」
ニック・ジャガーの身体から黒い霧が出る
それを刀が吸って消滅する
ニック・ジャガーの動きが弱まる
「アースプリズン!」
すべての足を土の牢獄で捕らえる
俺の出番はこれだけさ!
ベンケイさんが<気合い>を火雷神に込める
「全力スローイング!」
全力で火雷神をニック・ジャガーへ投げて額を貫く
パンティさんが拍手して喜ぶ
疲れた身体が癒される
優雅なお茶会の効果はすごいな
翌日、ホルモン草原へ来ている俺たち
FPO最後の日に俺がソロで狩りまくった場所だ
今日はみんなと狩りまくるぜ!
ここには4種の魔物が棲息している
ギーカク、ダイドモン、ジョゾエン、ワッカルビ
名前は気にしたらいけない、いけないったらいけない!
ボスもいるが激レアでなかなか出現しない
それこそ何万体倒しても出ない
ちなみに名前はチエチャンだ
名前は気にしたらいけない、いけないったらいけない!
4種の魔物は極力良い状態で倒さないといけない
なぜなら奴らの肉は人気があり広く流通しているからだ
傷や潰れが少ないほど高値で買い取ってくれる
まあそういうのは狩った俺たちが美味しくいただく
冒険者の特権だ♪
「今日は焼肉パーティーだぜ!」
「おう♪」
「はい♪」
「たくさん狩っちゃって♪」
「私も狩りまくります」
「お肉~♪」
そして俺たちは肉狩りの鬼となる
翌日、今日はサンオン塔にやって来た
弱いスライムとスケルトンをガン無視して5階へ上がる
「決壊死!」
ボスのサンカンシオンの身体を消滅させる
残った頭蓋骨を部屋の中央で砕く
6階の展望台へご案内♪
「こんなとこよく見つけたわね」
パンティさんが感心する
パンティさんだけゲームのときも連れてきたことなかったからな
「これがサンオン塔の展望台ですか」
アンナには以前話したことがあった
そして連れて来てやると約束してたからな
二人とも展望台から見える景色を喜び楽しんでくれている
連れて来た甲斐があったというものだ
ポチャたちガイド精霊も景色を眺めて楽しんでいた
やっぱりみんなで来ると楽しい♪
翌日、ヒニンの森へやって来た
リディアを攫った誘拐団のアジトがあった場所だ
もちろん誘拐団はもういない
跡地にゴブリンが棲み付いたので討伐依頼が出ていた
その依頼を受けて来た
「「ごっぶりん、ごっぶりん、ぶっちころせ~♪」」
アオイくんのゴブリン討伐ソングだ
サスケも一緒に歌っている
「「ごっぶりん、ごっぶりん、くっびちょんぱ~♪」」
アジト跡地、現ゴブの巣の近くに着いた
アオイくんも歌うのを少し前から止めている
ゴブリンたちに気付かれたらいけないからな
そしてゴブリン討伐ヒャッハーをする俺たち
俺たちの生活費になってもらおうゴブリン諸君!
ゴブリンを退治しまくってちまちま部位を取る作業をする
正直面倒くさいが討伐証明に必要なので黙々と取っていく俺たち
部位を取ったあと死体は一ヶ所に集めて燃やす
「「「ファイア」」」
俺とアンナとパンティさんのトリプルファイアで焼却
かなりの数があったので三人でやった
翌日、街から北へまっすぐ進む
カブ2台と箒1本に乗った俺たちはケンニョウ街へ向かった
馬車だと1日かかるが俺たちは4時間で着く
ケンニョウ街に用はない、そのすぐ北にある山に用がある
その山はサバノミソニ山、そう、アマ草採取に来たのだ
「うふふ、久しぶりだわ♪ とっても楽しみよ♡」
アンナはイヤそうな顔をしている
これから自分がやらされることをわかっているからだ
だがパンティさんが楽しみにしているので我慢している
サバノミソニ山に着いてチューリップが咲き並ぶ場所を探し出す
「ではお待ちかねの合唱タイムだ♪」
全員揃ったフルバージョンだぜ♪
「アンナ、ちゃんと歌えよ」
「はいはい、わかってますよ」 けっ
やさぐれた顔すんなよ、美少女が台無しだぞ
では永遠の混沌による合唱を始めよう
「さーいたー、さーいたー♪」 俺
「チュウ♡、りっぷの、はーなーがー♪」 パンティさん
「なーらんだー、なーらんだー、、、」 アンナ
「あーか、しーろ、きーいーろー♪」 ベンケイさん
「どーのーはーなーみーてーもー♪」 アオイくん
「きーれーいーだー」 全員
「にゃー♪」 パンティさん
「にゃー・・・・・」 アンナ
アンナ一人でにゃんこさせようとパンティさんに伝え忘れていた
「ま、またですかーっ!」 うがーっ!
「ちょっと、なんでみんなやらないのよ
みんなでやるの楽しみにしていたのに!」
「伝え忘れててごめんねパンティさん」
「アンナ一人でやらせようという計画だったんだ」
「可愛いアンナさんを愛でるためでござる」
俺たちに殴りかかろうとするアンナを止めるパンティさん
「止めないでサクラさん! あいつら殺せない!」 ムキー!
「落ち着いてアンナちゃん」
パンティさんがアンナを抱き寄せてよしよしして宥める
「みんな、ちょーっとそこへお座りなさい」 ニッコリ
「えー、なんだよー」 ブーブー言うベンケイさん
「ちょっとした悪戯じゃん」 それに続く俺
「そうですよお」 アオイくんもうんうん頷く
パンティさんが小さくため息をつく
「バインド」
「うおっ!?」「なんで!?」「うえぇっ!?」
バインドで捕縛されて座り込む俺たち
「ベンケイちゃん、アンナちゃんを妹にしたいのよね?」
「そ、そうだけど?」
「妹にあんなことするなんて姉失格よ?」
「むう、説教かよ」
ムスッとするベンケイさん
「こんなもの私には効かないぜ♪」 バキンッ!
ベンケイさんは<気合い>でバインドを砕く
砕いたはず、なのにバインドが消えない
「え? なんだこりゃっ!? ならもっかい!」
バキンッ! バキンッ! バキンッ!
何度やっても消えない
だが砕ける音はしているから砕けているはずだ
「砕けた手応えはあるのになんで消えないんだ?」
さすがにベンケイさんも困惑する
「わたしのバインドはたしかに砕けているわ
でも砕けると同時に新たにバインドを自動生成するのよ」
なにそのバインド!? 俺の知ってるバインドじゃねえ!
そういやアイスプリズンも呼吸ができるようになってたな
パンティさんの魔法は普通の魔法と違い過ぎる
「諦めなさいベンケイちゃん、あなたの体力が先に尽きるだけよ」
「まさか<気合い>で砕けない魔法があるなんて、、、」
ガックリうな垂れるベンケイさん
「アンナちゃんに謝ろうねベンケイちゃん♪」
「アンナごめん、、、」
「えっと、はい、、、」
しょんぼりするベンケイさんなんて初めて見た
アンナもこの光景に怒りを忘れて呆然としている
「アオイちゃんまでこんなことしちゃダメでしょ?」
「う、すみません、つい出来心で、、、」
アオイくんが捕まった小悪党のような言い訳をしている
「わたしにじゃなくアンナちゃんに謝ろうね」
「はい、ごめんなさいアンナさん、もうしないから許して、、、」
「えっと、はい、、、」
まるでアンナまで叱られているような顔をしている
「さて、ケンタく~ん♪」 ニッコリ
「はい、なんでございましょうかパンティ様!」
「失礼ね、ビビり過ぎよ」
だって恐いんだもん!
「アンナちゃんはケンタくんのパートナーでしょ?」
「そうでございますです!」
「パートナーをイジメちゃダメでしょ!」
「そのとおりでございますです!」
「今後はこういうことしちゃダメよ?」
「一切致しませんと誓いますです!」
「じゃアンナちゃんに謝ろうねケンタくん」
「アンナごめんな、もう二度とこんなことしない」
「えっと、はい、、、」
こういう悪戯はもうしないでおこうと心底思った
パンティお姉さん(俺より年下だけど)、恐いよう
「アンナちゃん、この人たちちょっとヤンチャなの
わたしに免じて許してあげてくれるかな?」
「えっと、はい、許します、ありがとうございました」
さすがに俺たちを不憫に思ったのだろう
アンナは俺たちへ文句も言わず制裁もしなかった
むしろ優しく気遣ってくれた
アマ草採取を再開する
「・・・・・というような作戦で採取してたんだよ」
パンティさんに前回やった作戦を説明する
「手間かかるわね、わたしに任せてくれる?」
「どうすんの?」
パンティさんは木の杖を掲げて魔法を使う
「エリアスリープ」
エリアスリープ、広範囲の複数対象を眠らせる魔法
光の粒子が咲き並ぶチューリップに降り注ぐ
ヘタリとしな垂れるチューリップとなんともないチューリップ
「ヘタってるのがドクダミよ」
ドクダミは魔物だからスリープが通用する
アマ草は薬草だから眠らない
俺も使えるがこれだけの数を眠らせられない
すごいなパンティさん
「ほらみんな、ボーッとしてないで今のうちに潰すわよ」
俺たちはドクダミをプチプチ潰していきアマ草を回収する
場所を移動して次の群生地へ行き、歌う
もちろんちゃんとみんなで「にゃー」をした
スリープで眠らせドクダミを潰してアマ草回収
また別の群生地へ行く
そして次の合唱が始まるのです!
次回、ベルさんとお食事




