102 再結成
部屋から出て一階へ下りる
ベンケイさん、アオイくん、パンティさん、みんないる
全員揃ったのが夢じゃなかったことに安心する
アンナとガイド精霊たちも含めてみんなで朝食を食べる
「まずはギルドでサクラさんの更新をしよう」
「パーティーの更新もですよお兄さん」
「そうだな、サクラさんをメンバーリストに追加しないとな」
「やっとわたしも永遠の混沌に復帰できるのね♪」
食べ終わって少しだけ腹休めをする
「サクラさん、コート着てきたら?
あ、でもフードは被らないでね」
ジロジロ見られるのが嫌だと言うのは王都で理解した
「えっと、気を遣ってくれてありがとうね
でもこのまま行くわ、慣れないとね」
「いいの?」
「王都でも言ったでしょ、ずっとコート着るわけにもいかないって
わたしだってさすがに怪しい恰好したいわけじゃないし」
パンティさんなりに頑張っているんだな
なら俺はなるべくガードしよう
冒険者ギルドの扉を開ける
中に入ると視線を浴びる
(お、永遠の混沌だ)
(あれ、一人増えてる)
(また美人を増やしやがった、ケンタめ!)
気持ちはわかるが俺を名指しで文句言うな!
「ベルさんお久しぶり」
「お久しぶりです、全然顔を出さないから心配しましたよ」
二週間近く街のギルドには来てなかったからな
「ちょっと王都へ行ったり来たりしてたから」
「王都へ? みんなも? あら?」
ベルさんがパンティさんに気付く
「ケンタさん、こちらの方は?」
「この人がパンティさんだよ」 小声で教える
「初めまして、パンティ・ストッキングと言います」
パンティさんも小声で挨拶する
「あー、えーと、はい、あー、そうなんですね、、、」
ものすごくリアクションに困っているベルさん
「王都に来てくれたのでようやく再会できたんです」
「へー、そうなんですね、よかったですね、、、」
ベルさん大丈夫か?
「おーいベルしっかりしろー」
「あ、そうですね、失礼しました」
ベンケイさんが声をかけて我に返るベルさん
「すみません、カードの更新をお願いできますか?」
「はい、カードをお預かりいたします」
パンティさんはカードを渡す
カードを確認するベルさん
(本当にパンティって名前なんだ、嘘じゃなかったんだ)
ベルさんが複雑な心境の顔をしている
それでもしっかり仕事をするベルさん
「更新終わりました、カードをお返しします」
「ありがとうございます♪」
カードを受け取り微笑むパンティさん
「ベルさん、わたしのことはサクラとお呼びください」
「サクラさん、ですか?」
「ベンケイさんがシズカと名乗っていたようなものだよ」
「そういうことですか、わかりましたサクラさん」
「ありがとうございます♪」
それからパーティーメンバーの更新も済ませてギルドを出る
「今日はこのあとどうするのお兄さん」
「少し早いけど昼食にしようと思う」
「別にいいけど、どこにすんの?」
「それはもちろんあの店さ」
「あの店ですねケンタ殿」
「気付いたようだねアオイくん」
「お前らだけなにをわかり合ってんだ?」
「やっと全員揃ったんだよ」
「だからあの店しかありません!」
アオイくんは俺の想いをわかってくれているようだ
「「アメディオ亭!」」
「なるほど、あの店ですね」
アンナが気付いたようだ
まあそうだろう、この街に来たとき色々あったからな
ゲーム終了の日に食事をした店だ
全員揃ってから入りたいと俺がわがままを言ったあの店だ
「アメディオ亭? たしかにあそこは美味いけどな」
「ベンケイさん、ゲームで俺たちが最後に食事したとこだよ」
「ああなるほど、そういうことか」
「ケンタくん、みんなが揃うまで行かなかったの?」
「うん、みんなで行きたかったからね」
「ケンタはそういうのこだわるよな
アオイまで我慢させてたんじゃねえのか?」
「わたしもみんなで行きたかったので我慢してません」
「それならいいけどさ」
そしてやって来ましたアメディオ亭
二階建てでフロア面積も広い街一番の食事処
店に入り案内されたテーブル席へ着席
てきぱきと俺は注文していき少しして料理が並ぶ
「またたくさん頼んだな、食べきれるのか?」
「ベンケイさん、大食漢が二人いるんだぜ」
「お兄さん、二人って誰と誰かしら?」 ニッコリ
「そりゃポチャとアンナに決ま(ボカッ!)っぶ!」
いてーな、本当のことじゃん
「なにか言いたそうですね」 ニッコリ
「なんでもありません」
バカなことやってないで進めよう
「食べ始める前に言わせてくれ
ようやく全員揃って永遠の混沌再結成だ
新メンバーのアンナもいるので新生と言ってもいい
これからが本当のリアルFPOの始まりだと俺は思っている
みんな、改めてこれからもよろしくな!」
「おう♪」「はい♪」「もちろんよ♪」「はーい」
「では乾杯!」
乾杯して食べ始める
始まりの宴だ
再会するまでなにしてたかとか
ゲームのときの思い出話とか
色々談笑しながら宴は進む
「ところで三人のことで気になってたことがあるんだけど」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
「なにかしら?」
「ベンケイさんとアオイくんってキャラは大男だったよね」
「そうだな」
「そうですね」
「アオイくんはクノイチ装備、ベンケイさんはミニ着物
ゲームでそんなの持ってたの?」
巨漢忍者がクノイチ装備を持っているのはおかしい
武蔵坊弁慶がミニ着物を持っているのはおかしい
どちらもあのキャラでは着られないだろ?
俺の背格好はキャラもリアルもほぼ同じ
この世界に来たときもキャラの装備のままだった
だからキャラのままだと勘違いしてたんだけどな
ベンケイさんとアオイくんはキャラとリアルは全然違う
キャラの装備だとブカブカだろう
今の服に着替えたと思うけど持っていたことが不思議だ
そもそも大男キャラが女子用の衣装を持っているはずがない
「この世界に来た時点でクノイチ装備でした」
「私もこのミニ着物になってたぜ」
「どゆこと? キャラの装備のままじゃなかったの?
俺はキャラの装備のままだったよ」
「えーと、私が説明しますね」
アンナがなにか知っているようだ
「この世界へ転移したときに装備は自動調整及び変換されます
性別と体型に差異がなければそのままです
差異があればそれに合わせて自動調整及び変換します
なので元の装備が変換されたものですね」
「わたしの忍者装備がクノイチ装備に変換されたわけですね」
「私の法師装備がミニ着物になったわけか」
なるほど俺は差異がないからそのままだったわけだ
「あれ? じゃサクラさんは? なんでメイド服じゃないの?」
「そうだな、差異がないからメイド服のはずだ」
「なんで魔女装備なんですか? 着替えたんですか?」
「あはは、だってわたし魔女だもん♪」
俺とベンケイさんとアオイくんは首を傾げる
どゆこと?
「わたしのメイン職業<魔女>なの♪」
「「「メイドじゃないの!?」」」
職業はメインとサブがある
メイン職業がカードなどの職業欄に表記される
サブ職業はナビのステータスにしか表示されない
職業は複数所持できて育てることができる
その中からメイン職業を自由に選択できる
メイン職業は変更可能、元メインはそのままサブになる
変更後10日は変更不可
サブ職業の能力などはそのまま使える
メイン職業にした職業の能力などはプラス補正がかかる
また、メインにしないと使えない能力などもある
例えばベンケイさんの闘将の<気合い>はメインでないと使えない
「メインが魔女だからメイド服から魔女装備になったのよ」
「てっきりメイドがメインだと思ってた」
俺たちといるときずっとメイド姿だったからな
カードステータスとかは見せてもらったことがなかった
だから気付かなかったよ
魔女でメイドか・・・・・
魔法のメイド☆パンティ・ストッキング とか面白そうだな
「ケンタくん? 変なこと考えてるでしょ」
「滅相もございません」
それからまたどうでもいいバカ話をして宴は進む
追加注文した料理も残さず平らげた
やっぱり大食漢じゃねえか
睨まれた、勘のいいやつだ
宴も終わり宿屋へ帰る
さすがに食べ過ぎたので夕食はなしだ
風呂を済ませて寝る前に明日のことを話す
「明日はお休みにして各自自由に過ごそう」
「あら、いきなりお休みなの?」
「久しぶりの街を楽しんでよサクラさん」
「そうね、ありがとう♪」
「じゃ私は狩りにでも行くか」
「休めっつーの」
俺は何しようかな
ゴロゴロしてたらアンナに呆れられそうだし
どっか遠出でもするか
ふわぁ~、食べ過ぎて眠気が、、、
「んじゃ、俺はもう寝るわ」
俺は部屋へ戻って寝ることにする
女子たちはまだ起きておしゃべりするようだ
ケンタが立ち去ったあとの女子部屋
「ケンタくんってモテたいと言ってる割に淡白よね」
「そうですよね、まったく動じていませんでしたし」
「まあ、あいつにとっては仲間と話してただけだろうからな」
「こっちは少し恥ずかしかったでござる、、、」
じつは女子全員、寝巻き姿なのであった
アンナは朱色のワンピースの寝巻き
アオイは青色のワンピースの寝巻き
パンティはフリルの付いたピンクのネグリジェ
ベンケイはミニ丈の白い肩紐ワンピース
フリルひらひらでノースリーブ
「でも魅力がないと言われてるようで複雑ね」
「いやらしい目で見られるよりかはマシですけどね」
「こんな目か?」 ニヤニヤ
「お姉ちゃん、しばきますよ?」 ニッコリ
そのあとも女子トークが深夜まで続いた
夜更かしはお肌の大敵であると言うのに
第三章スタートです、ついでに連載一周年です
去年の1月14日に始めて丸一年が経ちました
これからもよろしくお願いします
次回、あの姉弟がやっと再登場です




