100 再会・パンティさん
「チェリーさん」
「はい、なんでしょう?」
俺は小さく深呼吸して気持ちを落ち着かせる
そして言う
「パンティ・ストッキングさん、ですよね?」
チェリーさんはなにも言わない
だが俺をジッと見ている
「いきなり女性に対してパンティと発言するのはセクハラですよ?」
ぐはあっ! 俺の心にストーンステイクが突き刺さる
まさかのセクハラ訴訟
「そんないやらしい人だったなんて、騙されました」
やめてくれ、俺のライフはもうゼロだ
よろけて膝を突く俺
「謝ってくださいケンタくん!」
「ご、ごめんなさい、、、」
言われるままに謝る、謝るしかないじゃん?
アンナたちも困惑している
「はい、許します♪」
明るく許された、よかった、追い出されたりしなくて
「えっと、ケンタくん?」
「はい、、、」
「わたしもごめんなさい、イジワルしちゃいました」
「んん?」
「わたしがパンティで合っていますよ♪」
「なん、、、 だと、、、」
「やっぱそうだったかあ」
「ヒドイですパンティ殿ぉ~」
じゃなんで俺怒られたの?
「パン「サクラ!」て、え? サクラ?」
パンティさんが割って入る
「わたしのリアルネーム、中村桜なの
だからこれからはサクラと呼んでください
さすがにリアルでパンティと呼ばれるのは、ね?」
やっぱりリアルだと恥ずかしいようだ
「なるほど、桜だからチェリー・ブロッサムなんですね」
「そのとおりよアオイちゃん♪」
ストレートに真名を名乗らずひねってくるとは予想外だ
そんなの捜しようがないよ?
「と言うわけでサクラって呼んでね♪」
「わかったぜパンティ」
「わかりましたパンティ殿」
「わかったよパンティさん」
「あなた達、、、」
そして俺たちは一斉に笑う
「まったく、リアルでも変わらないわねあなた達、あはは♪」
「そりゃ11年もやってりゃ中身もキャラも同じになるよ♪」
「そうだぜサクラ、わはは♪」
「今度は拙者が笑い死にしそうでござる♪」
ガイド精霊たちは俺たちの姿にポカンとしていた
これが俺たち永遠の混沌なんだぜ?
やっぱりリアルになっても俺たちは俺たちだ
やっとパンティさんも見つかった
いや、これからはサクラさんだな
言い慣れるまで大変だけど大丈夫だろう
呼び方が変わったぐらいで俺たちの絆は変わらない
たまにパンティさんと呼ぶだろうけどご愛敬だ♪
四神たちと戦ったプレイヤーの人たちがやって来ました
リーダーの男の人はわたしより少しだけ年上かな?
レッドとの約束を律儀に守っていたようです
誠実そうで好感が持てます
クノイチの子は貴族令嬢を助けに来た子です
わたしのことを覚えていたみたい
多分この子、アオイちゃんかも、忍者だし
刀、黒い霧、アオイちゃんの固有スキルのはずだから
金髪ツインテの子、多分ベンケイちゃんかな?
あの薙刀の能力、火雷神だと思う
わたしは二人ともリアルは女子だと気付いていました
さすがに金髪ギャルとは思わなかったけど
二人が揃ってるけどケンタくんは?
もしかしてこの男の人? キャラより年上ね
でも誠実で優しそうなところは同じだと感じた
ケンタくんはキャラと同じ男性だと思っていました
歳もわたしと同じぐらいと思ってたけど上だったみたい
自己紹介をします
ケンタ・ウロスと名乗りました、やっぱりケンタくんだった
なんとなくわかっていたのでリアクションが出ません
ベンケイちゃん、アオイちゃんも同じく
わたし以外全員揃ってたんだね
ガイド精霊の子たちも名乗ります
アンナちゃん可愛いなあ♡
犬、猫、狐、みんな可愛い♡
それから順番にクレームを言いました
だけどケンタくんには謝ります
さすがにブルーの方が酷いことしていたから
でもそのすべてを打ち破るなんてケンタくんすごいわ
そしてケンタくんがわたしに言います
「パンティ・ストッキングさんですよね?」
この城へはたまたま来たのではないのでしょう
わたしがパンティかも知れないと思い来たのだろう
でも確証がないからすぐには言わなかったのね
メイド姿じゃないし名前も違うからわからないよね
わたしを捜して見つけてくれた、とても嬉しいです
わたしはちゃんと仲間だったんだと実感できました
でもちょっとだけ悔しいです
みんなはすでに出会えて冒険してたなんて
そりゃ引きこもってたわたしも悪かったわよ?
わがままなのはわかっています
それでも悔しいの、だって人間だもの!
「いきなり女性に対してパンティと発言するのはセクハラですよ?」
だからちょっとだけイジワルしちゃいます♪
「そんないやらしい人だったなんて、騙されました」
ケンタくんが膝を突きガックリしています
ちょっと面白い♪
そしてわたしは正直に言います
「わたしがパンティで合っていますよ♪」
でもこれからはサクラと呼んでもらうことにしました
リアルでパンティと呼ばれたくないし名乗りたくない
「と言うわけでサクラって呼んでね♪」
「わかったぜパンティ」
「わかりましたパンティ殿」
「わかったよパンティさん」
「あなた達、、、」
そしてわたしたちは一斉に笑う
「まったく、リアルでも変わらないわねあなた達、あはは♪」
「そりゃ11年もやってりゃ中身もキャラも同じになるよ♪」
「そうだぜサクラ、わはは♪」
「今度は拙者が笑い死にしそうでござる♪」
ガイド精霊のみんなはポカンとしていた
これが永遠の混沌なのよ♪
ケンタくん、ベンケイちゃん、アオイちゃん
捜してくれて、見つけてくれて、ありがとう
これからもよろしくね♪
久しぶりに全員で笑った
久しぶりに心の底から笑えた
ちょっと腹が痛い
俺たちは椅子に座り直す
「それじゃ話に戻るよ」
「ええ」
「パ、サクラさん、俺たちはずっと捜していた
俺たち4人でこの世界を冒険したいから」
「そうだぜパンティ、一緒に行こうぜ♪」
「ベンケイちゃん、サクラって呼んでね」
「わりぃ、慣れるまで我慢してくれ」
「サクラ殿、一緒に行きましょう
全員揃ってこその永遠の混沌です」
「アオイちゃん、ござるじゃないのね」
「リアルでは言いづらいです」
「でも動揺とかするとござるになるぜ♪」
「ベンケイ殿、それは言わないで」
「サクラさん、俺たちと一緒に行こう、嫌か?」
パンティさんが沈黙する、嫌なのかな?
もしかして俺が思ってたよりおっさんだったからかな
嫌いなタイプだったりするから迷ってるのかも
ベンケイさんとアオイくんがいるから大丈夫と思うけど
「えっと、わたし、まだ仲間でいいのかな?」
「当たり前だろ、ずっと仲間だよ!」
「そうだぜ、パン、サクラは仲間だぜ♪」
「サクラ殿は仲間でござる!」
パンティさんが嬉しそうに微笑む
「嬉しい、ありがとう、えへへ♪」
笑いながら涙を流すパンティさん
「わたしも一緒に冒険に連れて行ってね♪」
「もちろん!」「おう♪」「行きましょう♪」
ブルーがパンティさんにハンカチを渡す
ホワイトがスリスリして慰めている
レッドが頭を撫でて、ブラックが飲み物を渡す
四神に愛されてるなパンティさん
アンナもこの半分は俺に優しくしてほしい
パンティさんが落ち着いたので話を続ける
「ところでこの城どうしたの? 魔人城だよね」
「追い出したの」
「へあ?」
「住むところが欲しくて魔人を追い出して奪ったの」
欲しいから奪ったって強盗か?
「追い出したってことは倒してはいないの?」
「ええ、四神と一緒にちょっと脅かしたら逃げて行ったわ」
うん、このメンツに襲われたら逃げるよね
だけど城を略奪するなんてとんでもないな
「それで、俺たちと一緒に行ってくれるんだよね?」
「ええ、行くわ」
「この城どうするの? 魔人城ではなく無人城になっちゃうね」
「上手いこと言わないでよ」
特に上手くはないよ?
「いいのよ、どうせギルドの調査隊がまた来るでしょう?
そのとき無人だったらギルドが活用すると思うわ」
たしかにいずれは再調査に来るだろう
「城はそれでいいか、じゃいつ城から出る?
今日はもう遅いから明日以降にした方がいいだろ」
「そうね、それなりに荷物もあるから明後日でもいい?
もちろんケンタくんたちの都合にも合わせるわよ」
明日でもいいけど急かすつもりはない
「わかった明後日の昼前に迎えに来るよ」
「ええ、待ってるわね♪」
そして俺たちは街へ帰った
明後日、いよいよ全員が揃って永遠の混沌が完成する
みんなでまた冒険ができるんだな
嬉し過ぎて今夜は眠れそうにないな
そうでもなかった、ぐっすり眠ってしまった
まあ戦ったり精神的に疲れたからな、仕方がない
迎えに行くのは明日だから今日は色々準備する
迎え入れるための準備だ
宿屋を中級宿に変更した
女子4人が一部屋になるように大部屋を借りる
男は俺とガイド精霊だけなので一人部屋だ
だけど中級宿なので一人部屋でもそれなりに広い
移動手段だが俺とベンケイさんはカブがある
パンティさんはどうするのか?
昨日の帰り際に聞いてみたら大丈夫と言っていた
きっとなにか移動手段を持っているのだろう
「明日だけど城から出たらまずは王都に行くからね」
「なんでだ? さっさと街へ連れてこようぜ」
「ギルドで退去手続きしないと駄目だろ?」
「そうですよね、サクラ殿の拠点が王都になっていますから」
「そうだったな、忘れてた」
街に拠点を移さないといけないから必要なことだ
「そのあと街へ連れてきて滞在手続きは翌日だな」
「その日のうちにしないのですか?」
「多分街へ戻るのは夕刻ちょっと前になりそうだから」
「だな、あまり忙しなくしたらパンティが可哀想だ」
「たしかにそうですね」
慌てる必要はない、もう仲間に復帰したのだから
準備も終えて明日を待つだけとなった
今日もぐっすり寝て、明日は永遠の混沌再結成だ!
「魔女」編終幕でございます
ベンケイが闘将だから闘将編、パンティが魔女だから魔女編というわけです
アオイだけそういうのがなくってごめんよ
さて、今回で100話目です、3桁突入です、ありがとうございます
100話ちょうどでメンバー全員揃いました♪
ようやく全員揃ったので色々と物語の幅も広がっていきます
これからもお読みいただけるよう精進いたします




