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第九章
「以上で報告を終了します」
ただ、ただ白い空間。“彼ら”がコネクターと呼ぶ空間に私の声が響く。
「まさか、こちら側がランダムで選出した、魔剣の使い手が君だったとは。だから爆弾も爆発せず、人的損害がなかったのか」
「ほぼ、私の教え子の力です。それより、今回の“実験”の意図はやはりそちらの軍事利用ですか?」
「そうだ。お前たちAIが武器を取って戦えば、こちら側の損害は最低限に抑えらえる」
「なら、どうして魔法界なんて設定に?」
「神の気まぐれだよ」
この世界は作られた世界で、私たちはAI。生まれた時から、私、シーナは協力者として世界の内側から向こうに加担してきた。仮初の平和はもうすぐ破られる。この世界で唯一私だけが知っている事実が明るみに出た時、私の教え子、あの4人はどう思うだろう。
いいや、そんなことは後で考えよう。
ミーティングを早めに切り上げ、魔法高校の図書室へと帰る。
ルカが、キリヤが、カラシャが、メルトが待ってる。
仮想空間には、今日も魔導師のAIが生きている。