6/9
第六章
地下通路に足音がこだまする。走り始めて数十分。いくら魔法で補正をかけていてもいい加減疲れてきた。休みたい気持ちを抑え、天井を睨みつける。邪魔でしかない仮面はとうに脱ぎ捨てた。
「このままじゃ、みんな死ぬ…」
狭い地下通路の天井には、等間隔で法術制御式の爆弾が設置されている。カラシャに連れていかれた牢を出てすぐに気づいた、息をひそめるような魔法の気配。勘で見上げた天井に爆弾を見つけてからもう何分経つか。通路は地下書庫に入る。明かりは指先に灯した魔法炎のみ。加える魔力の強さで明るさが変えられるから優れものだ。普段なら夥しい量のこの本たちに笑みを浮かべるところだが、今はそうはいかない。書庫内には爆弾は仕掛けられていない。天井までの本棚が邪魔で仕掛けられなかった、というのが正解か。地下通路の天井、ということは地上フロアの床のすぐ下。一つ一つの爆弾の規模はそう大きくはないが、この数となると絶対に城全体が崩壊する。勿論参加者は即死。あの3人の誰かと連絡が取れたらいいものを…。