第二章
靴が石畳を叩く音で、目が覚める。
あたし今何やって…。
「ちょっと待て!?」
あたしは学校にいたはずだ。キリヤたちと地下廊下を歩いてて、様子がおかしくなって…。
「ここが、闇の先…?」
あたしが倒れていた茂みの外からは賑やかな空気が入ってくる。思い切って外に出てみる。
「わぁ…」
目の前には円錐形の屋根が突き刺さった塔がいくつも連なる大きな建物。3階建てらしいその壁には、明るく輝く窓がいくつもついている。1階の真ん中の大きな扉は開け放たれていて、中から眩しいシャンデリアの光とピアノや楽器の音が零れてくる。
そう、あたしはお城の前にいるのだ。
「寒ぅ…」
今が何時でどこにいるのか分からないけど、もう12月も半ばだ。上着も羽織っていない制服姿のあたしには、風が針のように痛い。
ドレスやスーツに身を包んだ人が次々とあたしを追い抜かして、扉の中へ入っていく。
風がまた吹く。さっきよりも強い。風に潮の香りが混ざっていた。
ということは、あたしの予想があっていればここは“海の孤城”ことルナイト城。
魔法高校から直線距離で約100㎞。小さな島の中の所有者不明の城。
この中に、キリヤたちはいるのだろうか。