夢のつづき
早朝に夏野へと出る
ざわざわと落ち着かない昼間の繁雑な空気
ソレがココにはない
蝉の声 雀のさえずり
ちょろちょろと緩やかに流れる川のせせらぎ
ギラギラと赤い夏の陽に
ユラユラと熱せられる前の心地良い風が
生い茂った夏草を波のようにうねらせ
軽く頬を撫でていく
すーーーーっと深く息を吸うと
青い匂いが 体中に染み渡った
―― まるで異世界に来たみたい! ――
そう言って、小麦色の肌の君が駆け出した
慌てて追いかける白皙の僕
太陽のように どこまでも明るい僕達の笑い声が
高く 遠く 碧空へと吸い込まれていく
もう一度……
これからもずっと……
あの夢のような時を君と過ごしたい
そう思った
だから今日も
眠い目を擦りながら
靴の紐を結ぶ
ほら!
と、呆れながら伸ばしてくれる
大きく開かれた君の元気な手のひらを
ギュッ! と掴んで
引っ張り過ぎないようにしながら
ヨロヨロと立ち上がる
君が異世界と言った川岸を
今日も2人で並んで走る
年々 スピードが落ちて
それは、ちょっと悲しいが……
夢を叶え続けようと駈けると
また笑いながら走って……と
笑いながら君が言った。