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帰り道にて


「メリッサさん、さっきレーナさんが世界一って」

「言ってない」


 帰り道に、煽っても無駄のようです。

 残念です。


「それより――。アリア、記憶があるなら、あいつのとこに戻ったりしないの」

「場所が分からないです」

「ああ、なるほど。ということは、別に、記憶消さなくてもよかったんじゃない。ふふ、実は、あなたがわたしに変なことを言わないようにするためだったりして」

「師匠は、わたしに、なにをしてもいいんですよ」

「何もされてないでしょうね。もう少し、あいつをとっちめておくべきだったかしら」


 メリッサさん、それよりも、もっと重要なことがあります。


「結局、師匠とレーナさんの関係は?」

「あいつが言い寄って、よくぶっ飛ばされてた」

「つまり、師匠の好み」


 昔の女ではなさそうです。すげなく袖にされてそうです。

 その傷ついた心を癒やすのは、わたしですよ。


「ロリコンだからね」

「師匠はロリコンじゃ・・・・・・な・・・・・・」

「歯切れ悪すぎない」

「あれです。好きになった人が、童顔だっただけで」

「その言い訳は、信じない方がいいわよ」


 師匠がロリコンだったら、わたしに、どうして手を出してくれなかったんでしょうか。

 おかしいです。男心を知らないからですか。 

 悩みます。


「顔をしかめているところ悪いけど、アリアに手を出したら、そのまま牢屋にぶち込まれるから」

「えっ、もうレディですよ」

「世間的には、全くレディじゃないから」

「いやいや、もう二桁ですよ」

「あと、五年は経たないとね」

「干からびますよ」

「干からびない、干からびない」

「愛に、飢えてるんです」

「・・・・・・はぁ」


 ため息、露骨なため息です。失礼しちゃいますよ。

  

「まぁ、あなたが師匠のことを好きなのは、分かったけど。もっとマシな男は、いくらでもいるから。――それで、だいたい、どれくらいに抑えればいいか、分かったかしら」

「とりあえず、普通の上級魔法までですか」

「そうね。上級魔法は、年齢があがれば使える人も増えるから。アリアの歳で使えるのは珍しいでしょうけど。早熟だったということで」

「分かりました。十で神童、十五で才子、二十を過ぎれば、ただの人ですね」

「たぶん、それでいいわ」


 ふっふっふ、こういう言葉も使えるんです。つまり、もう十分に大人といえます。


「そういえば、結局、なんで抑えないといけないんですか」

「まぁ、記憶があるなら、本当のことを言っておくけど。あいつは、勇者遠征に出させたくないのよ」

「なんです、それ」


 勇者。悪くない響きですよ。

 そういえば、ミアさんが、勇者パーティとかなんとか言ってたような。メリッサさんの関係者だから、師匠の関係者と思いましたけど。レーナさんの方にばかり引っ張られてましたけど。


「魔族領域に、魔王を討伐にいく部隊よ。四年に一度ぐらいで遠征があるわ。それが危険だから、行かせたくないのよ。あいつも、それで、片腕を失っているわけだし」

「弟子は師匠は超えるべきです」

「いいのよ。そんなところで超えないで」


 師匠の腕。でも、復讐は何も生まない、と師匠も言ってましたね。

 それに、腕は返ってはきませんし。そうですよね、師匠。


「師匠が言うなら、何もしませんよ」

「そう」


 よしよし、だいたい、分かってきましたよ。

 勇者パーティに、師匠は参加していて、そのメンバーのうちの二人が、メリッサさんとレーナさんと。まさか、師匠以外、全員女性とかではないですよね。いったい、何人いるんですか。

 

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