庭園にて
庭園。大きいです。師匠と耕した畑みたい。
でも、ここのは食べられそうにないけど。
校舎に沿って、庭園を回っていく。わたしの身長くらいの高さの垣根だ。少し迷路気分。
細い道を抜けると、大きめの木。ちょうど、校舎の裏ぐらいだろうか。木を囲うように円形に座るところがある。日差しを、避けるのにちょうどいいですね。ただ学園の人が多いから避けて、また庭園を歩いていく。大人しくの散歩です。
石造りに松。そして池。ちょっと雰囲気変わりましたね。
師匠が、趣味で作った庭と似てます。こっちの方が大きいですが。
あっ、お魚だ。来い来い。
取ったりはしませんよー。昔は食べていたけど、今は観賞用らしいですし。色鮮やかで、そう、キモカワです。
「可愛いは正義ですよ〜」
魚は返事してくてないようです。パクパクと口を動かすだけで。ごめんね、餌持ってきてない。石橋のところで、餌をせがむ魚たちを眺める。バシャバシャ動いた後に、諦めて、スゥーと静かに岩場に集まる。
「餌、あげる?」
「ん」
わたしの背後を取るとは、見事なーー、気づいていたけど。特に、殺気も感じなかったし、いいかと。
「いいの」
「うん」
金色の髪の、すらりとした女生徒らしき人から、緑色の粒状のエサをもらう。手のひらの上にのせて、一個ずつポイポイと放っていく。すぐにあげるのはもったいないし。焦らさないとね。ーー師匠の意地悪っ。
「ここ、いいでしょ」
「風情がある」
「ふ、ぜい」
伝わりませんでした。風情って何ですかね。師匠に、今度聴いてみましょう。侘び寂びとかも、いまいち聞いても分かりませんでしたけど。師匠、そのへんテキトーだから。自分で考えるんだ、とか言って、誤魔化すのです。
「良い場所です」
穏やかで、風が気持ちいい。
池の向こうに、学園の校舎の側面が見える。
「ーーきれいな赤みのある茶髪ね」
「他にも、チャームポイントは、灰色の目。いいでしょ」
師匠も、よくうらやましそうにしていました。都市を歩いた感じ、黒髪黒目の方が珍しいのに。
「目は、珍しくはないと思うけど」
「いいんです。師匠はこれが好きみたいだから」
「やっぱり、メリッサさんの弟子なの」
「うーん、そうですね。一応は。そうですね」
記憶喪失設定、面倒ですね。物心付いた頃には、師匠と一緒ですし、師匠以外との記憶なんてないのですが。実際、わたしは、だれ、になりませんか。もし、記憶封印にかかっていれば。
「それで、あなたは、だれですか」
「わたし。わたしは、ミア。ミア・ミネルヴァ。メリッサさんと同期の勇者パーティの一人、レーナ・レーヴィの弟子よ」
「・・・・・・レーナさんは、女性ですか?」
「えっ、そ、そうだけど」
なるほど。これは、昔の女の可能性がでてきましたよ。
勇者パーティ、いったい何人の女性がいるのでしょう。まさか、師匠以外、女の人なんてこと――。
「可愛いですか?」
「ちょっと待って。何で、そんなことが――。め、目が怖いんだけど」
あれ、少し引かれてる。情報を聞き出すのを焦ってはダメですね。
「えーっと。メリッサさんよりか、可愛いですか」
「え、うーん。レーナさんは、怖いかな。わたしにとっては。でも、顔は幼い感じだけど雰囲気はクールだし、空色の髪が、よく似合って――」
なかなか強敵な予感です。
「って、そうじゃないでしょ。ここは、弟子同士のバトルの展開じゃないの」
え、なんですか、それ。
どっちが可愛いか、勝負するんですか。
メリハリは、負けていても、師匠は、貧乳派ですよ。
髪よし、服装は――、まぁ、いいでしょう。で、どうやって――。
「いや、そんな身だしなみを整えられても。美しさ勝負じゃないから。魔法よ。魔法」
「え、魔法ですか」
魔法勝負?
え、この子と。全く勝負にならない気がするのですけど。弱い者いじめは、ダメって、師匠も言ってましたよ。
「向こうに、魔法の闘技場があるから。そこで、やりましょう」
「えーと、その、わたしは、年期が違うとおもうんだけど」
「なに、わたしも、ずっとレーナさんの弟子よ。それに年齢も私の方が上そうだけど」
うーん、逃げてもいいけど。
やっちゃいますか。コテ調べというやつですね。学園のレベルや、いかに、です。
わたしは、おとなしくしているつもりでしたけど。売られたケンカは買えって、師匠も言ってましたし。
まぁ、師匠は、言ってることが変わりやすい人でしたけど。




