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試練

「……母さん……母さん……」


「ん……あぁ……」


見上げるとそこには、ゆいの心配そうな顔があった。私はいつのまにか、ちゃぶ台「冬にはコタツ」に座ったまま舟をこいでいたらしい。時間は深夜1時を超えていた。


「ごめん起こしちゃったか……寝ようか」


そう言って立ち上がろうとすると


「大丈夫?私、学校辞めようか?」


結の言葉。


私はいきなり雷に打たれたようにショックを受けた。


「え?なに?なんで……」


一瞬で頭の中が真っ白になる


「お金…ないんでしょう?」

「ば…ばかな事言わないで、あと少しで卒業じゃないの」

「あと5ヶ月?はあるよ」

「ともかく卒業証書はあなたの力になるんだからとっておかないとならないの!」


「……わかった」


それでも複雑な顔をしている結に


「大丈夫。なんとかなるから」


私はそう言って少し頑張って、結に笑いかけた。



事の始まりは7月。弟が起こした交通事故。そこから借金が発覚した。

借金はとりあえず私の終身保険。いわゆるお葬式代として貯めていた保険を解約した。

そのお金で弁護士さんを雇って責務整理をお願いするように。と

それ以外にも生活費や食費等、毎月お金の無心は続いていて、節約して貯めていた僅かなお金も完全に底をついた。


それでもそれが原因で弟が死んでしまったりしたらイヤだから……私は一生後悔すると思うから……頑張って生きて行こうと思った。


1番下の妹の、ちーちゃんは

「話しは聞くよ。聞く事しか出来ないけれど……」

そう言ってくれた。それが嬉しかった。


ちなみに掛け持ちで仕事をしようとダブルワークOKの仕事の面接をいくつも受けたけど、いまのところ、ことごとく落ちている。

履歴書をタブレットで入力するお店が多く、入力するのが遅いから落ちているのかなぁーーーと、落ちる理由をひそかに分析しているのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……長文解読かぁ………」


テレビ画面に高校入試問題の過去問が映し出されている。

これは『レベリングライフ』のゲーム内の『学園』のオプションだ。

24時間対応している授業を受ける事ももちろん可能なのだが……


「このごろ気分的にしんどいなぁ……」


と、言う事らしい。カンパンを食べながらコーラを飲む。そんなウシくんであった。



「たっだいまー」


そこへ姉の結が帰って来た。


「あーーまたコーラなんか飲んでるーーお茶にしなさい、お茶に。糖尿病になるわよ」


冗談っぽくそう言ってカバンを片付け始める。


「ウチ、なんかヤバイの?」


唐突に振り向きもせずウシくんはそう言った。

結は一瞬ドキッとしながらも


「なんかねーー教えてくれないけど」


「そっか……」


結だけじゃなく何事にもニブイ、ウシくんにも何かしら気づく事はあったらしい。


「それより、あんたまた今日も朝ごはん食べなかったでしょ、受験生なんだから体力つけなきゃ」


「いい……」

「何がいいのよ」


「前に道で吐いたから」

「え?」


驚いて結はウシくんを振り返る。いままで改めて見てはいなかったけれど、ウシくんはストレスのせいなのか、かなり痩せてしまっていた。


「ちょっと!大丈夫なの?」


「大丈夫。それよりやっぱり国語がヤバイ」

「……国語なんか勉強しなくても大丈夫でしょ」

「長文解読となにより作文がヤバイ」

「え?」

「………」

「………数学は?」

「なんとか……」

「英語は?」

「ちょっと厳しい…リスニングあるかも…」

「リスニングは私の時にはなかったなぁ……」


「全部で何教科?」

「5教科。」

「そっか」


「でも180文字の作文が来たらアウト」

「……うっ」


結はかける言葉を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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ギィ……


久々に竹の装飾がされたドアが開いた。ゲーム内の学園エリア。そこでは『準備室』となっている。

いつもほとんど居ない部屋の主。ところが今日は……


「マノヤさん!居たっ⁈」


「⁈」

『⁈』


「ウシくん⁈久しぶりだね、びっくりしたよ」


「ケット・シーも久しぶりだぁーー」

『ども!お久にゃ』


手を上げて挨拶をする。お互いの顔を見合わせて不思議な巡り合わせに驚きを隠せない。


「今日はどうして?」

「あ。受験のアドバイスを……」

「受験生か……それでこの頃見なかったのか」


「あっ、はい。」


「……勉強を見るのはいいけど……ちょっと待てよ、ちょっと聞いてもいいか?ちょうど君の話しをしていたところで……」

「はい?」

「受験が終わったら、またゲームに帰ってくる予定は?」


「……えっと。それはなんとも……」

「……そっか、わからないか……」


「だって…野崎が……」

「野崎くん?どうかしたのかい?」

「実は……」


ウシくんはこれまでの経緯を2人に話した。上手く伝わっているかはさておいて。


「そうか……大変な事があったんだな……」


マノヤさんは立ち尽くしたまま、ウシくんの話しを聞いた……

そこへ。


『いい方法があるにゃ‼︎』


ケット・シーの明るい声が部屋中に響いた。


「ケット・シー何を?」


いぶかしげに見つめるマノヤさん。


『ウシくんは『ゲーム配信』って知ってるかにゃ?』


「え?あの有名人とかがやってる?」

記憶を辿るようにウシくんが答える。




「そうか⁈」




突然パズルが組み合ったようにマノヤさんが大声をあげる。



驚いているのはウシくんのみ


「上手くいけば野崎くんに観てもらう事ができるかもしれない!しかも視聴者が多ければ、お金も手にはいるかもしれない。一石二鳥だ!しかも、しかも、見れないはずの『真エンド』も……」

『そうにゃ、そうにゃ』

「え?え?え?」


ウシくんはワケがわからず狼狽える。


「そうと決まれば、受験サポートは任せろ!」


マノヤさんは力強く握り拳をつくる。


「え?はい。ありがとうございます!」


わけもわからず、ウシくんが答える。


『ゲーム配信のサポートはおいらが全力で請け負うからにゃ‼︎』

「頼むぞ‼︎」

『任せなさい‼︎にゃ』


そう言ってマノヤさんとケット・シーは固く拳をかわす。


「そうと決まれば、早速受験対策だ、小3の頃からのフロッピーを探さなきゃ」

「え?小3?」

『フロッピー?』


「とりあえず頑張ろうな」


マノヤさんは、そう言って優しく楽しそうに微笑むのだった。







はい。ここまで読んでくださってありがとうございます。

また少し?お休みしますので……


すみません。

また再開しましたら、宜しくお願い致します。

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