新章 それから半年
あのクリスマスイベントから、半年がたったーーーー
いろいろな事があって、頭はまだ半分以上、落ち込んでいるけれどーーーー
順を追って説明しようと思います。
あの後。第三章の『学園寮イベント』は中止になった。
4人の離脱者が出た為で、けれど学園は予定通り、1月に大々的にオープンした。
運営側は、それまでに撮っていたデータとAIを組み合わせ。これまで動向をずっとモニターで監視しているが、『マルチエンディング』は、ほぼ成功しているという。
モニターを離脱したのは、ティアちゃん。アイラちゃん。それからちょっと特殊な理由で、キャラクター変えをした、原野。
そして……野崎……
ティアちゃんの理由はわからないけれど、アイラちゃんは、お父さんの転勤で外国に行ってしまったらしい。
これは後になって、フイトスさんから聞いた話しによります。
あまりに突然だったので、挨拶も何も出来ないまま行ってしまいました。どうか、そちらの国でも、元気で。本当に……
そして……野崎は……あのイベントから、2週間後にお母さんが……なくなってしまった……
このあたりの記憶は、もう……あんまりにも曖昧で……何もなくても……何故か涙が滲んできてしまうのですが…….…
おばあちゃんの家に引き取られて行った、野崎は、最近になって、どこかの遠い親戚の家に引き取られて行ったとの事で、落ち着いたら連絡をくれる。という事で…………
俺。牛原 歩は、中学3年生になりました。
ーーーーちゃんと塾にも通っているよ。
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「ちょっと歩!」
「う?」
「そこ、じゃま!」
「あ……うん」
姉の結の声がとんでくる。目の前にいつものように並べられた夕食。ホコホコと湯気がたっている。
「それで、あんた、まだ元気でないの?………あんたがそんなだと、家中暗くなるんだけど。」
両手を腰に、仁王立ちで、お玉を持っている。
「平和だなぁ………」
思わず呟いてしまうのだった。
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ーーーーーーキュウウゥゥゥンーーーーーーーー
ゲームの起動音が鳴る。そうして、ゲームのオープニングムービーが流れる。
以前はとっとと端折っていたムービーを意味なく眺めている
登録しているキャラクターの表示。持ち物。ステータス。ログイン場所。
ふと『スプリングイベント開催』の文字が目に入る。背景には色とりどりの花と風船がゆっくりと飛んでゆく。
ーーーーそうだ……ゲームって、現実を忘れて楽しむものだったんだーーーーーー
頭の中ではわかっているけれど、どうしても現実とリンクしてしまう。
ーーーーとりあえず島によって……ーーーーーー
アイラちゃんの花畑の島による。本人は居ないけれど、従魔のスライムと、小さなランタンリューがのんびりと眠っている。きっと主人である、アイラちゃんが帰ってくるまで眠り続けるのだろう。
ティアちゃんが定期的に世話をしているらしい、一面に広がる青い小さなネモフィラの花が優しく風に揺れている。
久しぶりの感覚に戸惑いながら、ウシくんが次に目指すのはーーーーーー
ーーーーマノヤさん…いるかな?ーーーーーー
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1月に正式に開校した学園『レベリング学園』
いざその校門の前に立つと………
「でっけぇーーーー」
ゲームの世界のその学園は本当に魔法学園のように、お城のように、大きく存在感たっぷりに聳え立っているのだった。
以前とちょっと違うのは、学園の校庭も門扉も行き交う生徒達でいっぱい。と、言う事くらいだった。
『お久しぶりです。ご主人様』
白く小さな光の玉が、フイッとウシくんの目の前に現れる。
「しろっち!久しぶり!」
ウシくんの元気で嬉しそうな声。しろっちも、どこか嬉しそうにフワフワと上下に揺れるのだった。
「そう言えば、原野は『カードクラブ』野崎は『映像クラブ』に入った。って言ってたよな……まぁ……半年も前の話しなんだけど………」
ちょっと暗めにそう言うと、ウシくんは学園内に入って行った。
「確か…2階の……」
かつて知ったる学園内を、ウシくんは進んで行く。そうして見覚えのあるドアに竹細工のある『準備室』の前で足を止める。
「マノヤさーんー。いますか?」
そう言いながら、ドアをガラガラッと開ける。
中には………誰も居なかった。
机の上のメモには………
『Eー6教室にて『戦争イベント』についての講義』と、時間とスケジュールが書いてあった。
「本当に先生やってるんだ……」
少し驚いて呟く……と。ウシくんの少し手前で光が集まるように輝く。
現れたのは開かれた状態の本。『学園日誌』だった。
「あ。そう言えばこんなのあったな。」
ウシくんが思い出したように呟く。開かれたページは現れた直後は真っ白で、徐々にうっすらと文字が現れてきた。
「ーーんーーとーー」
ウシくんが覗き込む。
『まず、受ける授業を選択してから、時間割り作りですね。』
しろっちが話しかける。
「うわ……マジか……」
めんどくさそうにウシくんが答える。
『何年かかってもいいですが、ともかく単位を50ポイント取ったら卒業出来ますよ。』
「50ポイント……」
ウシくんはひとしきり唸って……
「……それより俺は、国語をなんとかしなくちゃ……来年、高校受験だし………」
ため息まじりにウシくんは呟く。
『国語ですか?ありますよ。』
しれっと、しろっちが言う。
「はぁ?」
『基礎だけですが、国語、数学、英語はあります。』
「はあああぁぁ⁈」
『簡単なテスト問題と、その解答の解説がセットになっています。』
「えええええーーーーっ………」
ウシくんの大声が部屋中に響き渡ったのだった。




