学園イベント2
「みんなを撃ったのは何故だ?」
いまだ抵抗を続ける、Nを押さえ込みながら、ウシくんが問い掛ける。
『命令のままに。』
そう答える、N。
「命令してるのは誰なんだ?」
『返答拒否。答えると私が殺害されます。』
そう、Nが口を開いた瞬間。
ーーーーーーーービリリッ‼︎‼︎ーーーーーーーー
白い稲妻が、Nの体をジグザグに纏い、Nは一瞬のけぞり、そして倒れ、息絶えた。
「リレイズ‼︎」
ティアの蘇生魔法。NのHPは1となり仮死状態となった。
『へーー死ななかったんだ。面倒くせーー』
電子音のような声。ハッ!と全員が声の方を見上げる。そこにはデジタルホログラムの小さな女の子の姿。
フワフワと宙に浮いている。青くくぐもった虹色に輝く顔はよくわからない。
『ふつーに死んどけばいいのに。』
そう言ってケラケラと笑う。
「お前。Kだろ。」
原野が重く問い掛ける。と、ホログラムは笑うのをやめ……
『違う。って言ったら?』
そう返して来た。
「信じない。お前は、Kだ。」
『確信してる。って訳?証拠もないのに?』
「そうだ。」
一歩も引き下がらない原野。
『あんたが何を知っている。って言うの?そこで、くたばっている、Fは人殺しだって言うのに。』
「えっ?」
これはソラさん。
「うるさい‼︎」
これはウシくん。
『『デタラメを言うな‼︎』』
これは、Mと、G。
『あーーーーっはっはっは……ホント。反応いろいろ。』
高笑いのホログラム。
『まず、素直に私の言葉を信じた者は、そのまま私の配下に。信じなかった者は洗脳して同じく配下に。洗脳も効かなかった者は……』
しばらく考えて……
『どうしようかなぁ……』
そう言って、ホログラムの女の子は両手を上にあげ、何か魔法の詠唱を始めた。
ーーーーーーキイイイイィイ……ン……ーーーーーー
かん高いデジタル音。青くくぐもった虹色の光がドームのように学園を封じ込める。
『さぁ!私を捕まえてみなさいよ!』
ホログラムの女の子はそう言い放つと、まるでシャボン玉のように、パチン!と弾けその姿を消した。
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ーーーーーーホログラムの少女を探せーーーーーー
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戦闘音楽が鳴り響き、イベント画面が表示された。
「牛原。行くぞ!」
原野が促す。
「うん。」
ウシくんはベッドに横たわる、アイラちゃんを見。保健室に残る事になった、MとGに頭を下げる。
5人が外に出ると……
そこは、まるで戦場のように変貌していた。
全員無言で。武器を振り回す者。逃げ惑う者。そして血を流し倒れている者。
「やめろ‼︎」
原野は近くで剣を振り回している、NPCの腕を叩き、剣を落とさせ、フラついて向かってくる、そのNPCにトドメの一発を腹部にくらわせる。
ドサッ‼︎と倒れるNPC。
ウシくんも短剣のNPCに蹴りを入れ、ソラさんも次々と立ち上がるNPCと戦っている、が。
「こりゃ、キリがないぞ。」
原野が呟く。
「ティアさん!」
野崎が腕をクロスさせて叫ぶ。
「うん!」
ティアは力強くうなづき右手を上げる。
「デススリープ‼︎‼︎」
野崎の呪文。緑の雲が丸く渦を巻く。
次の瞬間、雲が弾けた。と思うと近くにいたNPCはバタバタと倒れ、スリープ状態に。
そして呪文をかけた、野崎がゆっくりと後ろへと倒れ込む。と。
「リレイズ‼︎‼︎」
ティアが蘇生魔法をかけた。
「え?何?」
原野が何が起こったかわからない。という風に呟く。
「すごい!息ぴったりじゃない?」
と、ソラさん。
「うん。『デススリープ』は自分の命を犠牲にする範囲魔法。私がいま使おうかと思った魔法だったから。」
そう説明するティア。
「あはは…」
と、座り込んだまま、野崎が付け加える。
「僕は回復魔法は使えても、蘇生魔法が使えないからね。」
そう言って笑った。
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学園のマップに赤いフォントマークが表示されている。
「Kは西校舎に移動しているみたいね。」
ソラさんが呟くように伝える。全員でうなづいて、スリープ状態のNPCを避けながら西校舎へと移動する。
学園の校舎は、コの字型に建てられている。
南に正門。西に裏門。
北校舎1階には職員室や保健室。
東校舎1階は1年生。2階には3年生の教室。
西校舎1階は各クラブ部室。2階には2年生の教室が配置されている。
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「Nとの戦闘を飛ばして、追跡編に入ったか。本編からは大幅にはズレてはいないが、かなり予想外な展開だな。」
「そうですね。『ここでインサート入るにゃーー』とかふざけたこと言いに行けない雰囲気です。」
ここはレベリングライフを管理している総合事務所の一角。イベント状況を何台ものモニター画面で監視しチェックをしている。
「どうします?撮り直ししますか?王子。」
「王子とか言うな。それを言うなら、お前もだろケット・シー。」
「じゃあ、何て言えばいいんだよ。」
「普通に『先輩』だろ。この場合。」
「はいはい。じゃあオイラは有能な後輩くんですよーー!」
「ふざけてないで頑張って画像チェックする。」
「はいはい。」
「再編や調整が僕たちの仕事なんだからな。」
「……でもサーー」
「うん?」
「こんな風にAIが子供達にアクセスというか、コンタクトを取るなんて思っても見なかったよな……」
「そうだな……かなり危険な試みだったよな……」
「アイラちゃん大丈夫かな……」
「大丈夫。ウシくんがなんとかする。」
「おっ。かなり、いい加減な発言ですね。」
「……ゲーム内でも、ネット内でも、本当の想いは伝わる。そう信じたいじゃないか。」
「おー。先輩、ロマンチストですねーー!」
「うるさい。とりあえず子供達に休憩を取らせないと。行って来い、ケット・シー。」
「えーーーー……。」
「う。」
「え?」
「わーー‼︎」
振り向いて思わず驚く2人。いつの間にかモニターの前には通りすがりの職員達が足を止め、たくさんの人だかりが出来ていたのだった。




