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序章

「……お花を育てるクラブを作りたいな……って思って……」


『そっか。ここの裏庭って意外と日当たりいいもんね。』


「プランターもいいけど…植木鉢を沢山並べたいなぁ……って。」


『わぁ…いいなぁ…植木鉢の色をカラフルに色々揃えて……うん。なんだか明るい歌が創れそう。』


ゲーム内。学園の裏庭の裏口に続くたった一段の階段。2人並んで座って話しをしているのは、アイラちゃんと音楽クラブのエフリアの2人。


と。そこへ。


『何をしているのかな?』


優しい声で話し掛けて来たのは、音楽クラブ副部長のマイク


「えっ?」

『えっ?』


キョトンと同じ反応をする2人。


『お友達と話しているところ。わるいけど、エフリアさん。会議始まるよ。』


『あ。はい。』


思わず立ち上がるエフリア。けれど何かを思い出したように顔を曇らせる。


『どうかした?』

『あ…いえ…でも……』


口籠るエフリア


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


謎の声:……チッ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


イベント用の表示画面が突然現れる。アイラちゃんはそれを見てしまって、ビクッと震える。


と。そこへ。


『見ーーつけた。副部長ーー♡』


音楽クラブのケーイと続いて、エルニーナが現れた。


ケーイは、エフリアとアイラちゃんを明らかに居ないものとして副部長に話しかける。

彼女が現れた途端。アイラちゃんには何故か話している言葉が、言葉として頭に入ってこない。何も理解できない。そういう状態に陥っていた。


やがて、ケーイは副部長を連れて、その場を立ち去り、ようやくアイラちゃんの瞳に少し光が戻って来た。



『大丈夫?』


その言葉に、ハッ!と我に返るアイラちゃん。振り返ると、そこには心配そうに見つめるエフリアがいた。


「あなたこそ…大丈夫…なの…?」


そう、言葉を紡ぎながら、現実リアルのアイラちゃんの瞳からは大粒の涙が溢れる。


「一緒だ…」

『一緒?』

「あの子は……あいさつすると睨みつけてくる子と一緒だ……」


『え?』


アイラちゃんの頭には、ある情景が再現される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おはよう!」


薄暗い教室。普通に挨拶するアイラちゃん。

睨みつける、その子。

ひとしきり睨みつけると、くるっと背を向け

こう言い放った。


「いま、挨拶した子。うっとおしいから、とっとと死ねばいいのに。」


周りにいる子達は「うけるーー」と言いながら楽しそうに嘲笑している。そんな情景だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれ?居ない。」


ティアはウィンドウを再チェックする。やっぱりアイラちゃんはログインしていない。


「どうしたのかな?」


小さく呟き「水やりにでも行こっかな。」そう言ってワープをしようとした、その時。


『君はあの時の?』


ティアは後ろから声を掛けられた。振り向くと『映像クラブのイング』と表示が出ている。


「うーーん……」


と、考えるティア。


『覚えてないんだね。あの時、ディーノの横に居たんだけど…』


「そうなんですね。ごめんなさい。」


ティアはぺこりと頭を下げる。


『いや。いいんだ。印象が薄いのは仕方ない。』


イングは苦笑い。


『それで、君と少し話しがしたいんだけど。』

「は?」

『恋愛について、どう思う?』

「ええっ?あなたはNPCノンプレキャラだよね?」


『そうだけど、AIも入ってる。NPCノンプレキャラだけど、恋愛に興味を持ったらおかしいかい?』


「う…いや…別にいいんだけど……」


真面目に問い掛けるイングにティアは口籠る。


「恋愛は苦手なんだよ……」


消えいるような声で、ティアは頭を抱えるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『よおっ!元気か?』


「はあっ?」


学園にログインした瞬間。ソラさんは真正面から『音楽クラブのジーク』に声を掛けられた。


『どうだい。ミシミシと『楽曲』創っているかい?』


満面の笑みで話し掛けるジーク

それとは対照的に……


ーーーーーーどうしよう…これってヤバい事になってない?ーーーーーー


全力で引きつっているソラさんがいるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー土曜日ーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「今日も居ない……」


ウシくんはゲーム内でウィンドウを出してチェックをする。フレンド登録をしている画面を見ると、みんながログインしている中で、アイラちゃんだけがログインしていない。


「なんだろ……大丈夫かな……」


ウシくんの居る場所は学園の中庭。丸い噴水の前。行き交うNPCノンプレキャラ達。


「人。増えたな……」


1人呟く。


「今日『学園イベント』やるのかな?」


『『学園イベント』やりますよ。』


「うっ⁈」


驚くウシくん。その目の前を白い丸い、しろっちが、ふわりと横切る。


「しろっち!忘れてたよ。」


『はい。忘れられていました。』

「ごめん。」


思わず謝るウシくん。


『はい。私は決められた範囲内だけでしか活動できないので。』

「そっか。」

『これからは何か話し掛けられた時か、お伝えする情報がある時だけ現れるようにセッティングされています。』


「そうなんだ。」

『はい。そうです。』


「じゃあ。しろっち。アイラちゃん、どうしたのか知ってる?」


『はい。知っています。けれど重要秘密事項なので私からは伝える事は出来ません。』


「え……重要秘密事項って……なんだよそれ……」


『もうすぐ『学園イベント』始まります。』


「えっ?」


と。その時。どこからか耳をつんざくような高い音が鳴り響き。


ーーーーーーーーキィイィィィーーーーンーーーーーー

ーーーーーーーーバシュッ‼︎ーーーーーー


続いて


『キャアアアアァーーーーーーッ‼︎‼︎』


同じく高い女の子の悲鳴が響き渡ったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「どこだ⁈」


何故か悪い予感しかしないウシくん。導かれるように学園の裏庭へと走ってゆく。

そこで見た光景は………


『しっかりして!アイラちゃん!』


倒れているアイラちゃんと、その体を抱えて呼びかけている女の子。エフリアの姿だった。



「アイラ⁈」



駆けつけるウシくん。


「一体何が⁈」

『アイラちゃん私をかばったの。』


涙をこぼして訴えるエフリア


『そうだ。先生を呼んできます!』


そう言うと、ウシくんにアイラちゃんを託し、立ち上がるエフリア


と。またもや。



ーーーーーーキィイィーーン‼︎ーーーーーーーー


あの音が鳴り、ひとすじの光が真っ直ぐに走りエフリアを貫く。


ーーーーーーーーバシュッ‼︎‼︎ーーーーーーーー


まるでスローモーションのように倒れるエフリア。そしてまた、集まってきたNPCノンプレキャラ

そしてその中に混じって、原野セツエイ達みんなが走ってくるのを、その眼で捉えたウシくんだった。










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