音楽クラブのM(マイク)
「おつかれーー」
学園準備室でマノヤがそう言って出迎える。
土曜日夜10時。ゲーム内に現れたのは、魔法使いの野崎。
「マノヤさんこそお疲れ様です。学園まだ開いているんですね。」
「まぁ、まだ(仮)だからね。」
そう言って少し笑ってマノヤは答える。
「それで?どうしたの?」
野崎に椅子を勧めながら、マノヤは本当の先生のように聞いてきた。
彼はそうっと椅子に座りながらこう答えた。
「うん。いま寮に行ってみたんだけど、誰も居なくて……」
「寮?」
「うん。今日の『寮イベント』結局、犯人に逃げられて……それで本当に終わりなのかな?って気になって。」
「寮イベントかぁ……そっちの方は全然、僕とは関係ないから知りたいけど?」
ちょっとワクワクした感じでマノヤは聞いてくる。
「そうなんですよねー。とりあえず犯人は『ジョーカー』って奴で……」
「ジョーカー⁈」
驚くマノヤ。
「知ってるんですか?」
こちらも驚く野崎。
「あ、あ、うん。でも、違うキャラかも……」
言葉をにごし、考えるマノヤ。
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ーーーーーージョーカーって言ったら、あの『世界戦争』を引き起こした『奴』と同一人物か?ーーーーーー
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心の中で考える。
「マノヤさん?」
野崎の問い掛けに、ハッ!と我に返るマノヤ。
「うん。同じ名前のキャラクターが、いまのゲーム本編最終イベントのラスボスと同じ名前なんだよ。レベル60になったら挑戦出来る『お城戦争クエスト』の。」
「そうなんですね。一緒の奴かな?」
「どんな奴だった?」
「えっと……黒いフードに黒い衣装……加工された声……そして犯行理由が『露天風呂の覗き見』」
「……のぞき見?」
目をまんまるくするマノヤ。
「うん。その後、翼竜で逃げてった。」
「うーーーーん……」
腕組みをして体を後ろに仰け反らして考えるマノヤ。
しばらくの時間ーーーーーー
「すまない。同一人物かどうか、わからないな……」
「そうなんですね……あ!そうだ。」
野崎はちょっと思い出した。と言う感じで、マノヤに話しかける。
「僕。小説を書いているんですけれど、ちょっと悪役の設定で詰まっちゃって。」
「悪役……」
「どうも理由付と心理が理解出来なくて……」
「悪役のキャラクターを創る話しですか?詳細を聞かせてほしいです!」
「えっ…?」
顔を上げた、野崎の目の前には瞳をキラキラと輝かせ、楽しそうに光を放つ、マノヤの笑顔があった。
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学園(仮)の校舎の裏側。1人歩くアイラちゃんの姿があった。
『こんにちは。何をしているの?』
「えっ?」
突然後ろから話しかけられて、びっくりするアイラちゃん。
「あなたは…?」
『うん。私は音楽クラブの、Fだよ。』
アイラちゃんと同じく、小さくて可愛い感じの女の子がそこにはいた。
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「えっと……学園のトイレの『用具入れ』だったよな?」
原野は学園の中を、ウシくんが言っていた、断崖絶壁に繋がっているらしいトイレの『用具室』を探して彷徨っていた。
ちょうど階段のところに来たところで……
『やぁ。君は『ジョーカー』との戦いに参加していたパーティの1人だよね?』
見るからに優等生という感じのイケメン男子生徒の、NPCに原野は呼び止められた。
「なんだよ、お前。」
見た事の無いNPCに反射的にぶっきらぼうな返事を返す。
『僕は音楽クラブのM。一応、副部長的な事をやっているんだ。』
「………。」
依然ふてくされた態度の原野。
『それで、君にちょっと聞きたい事があって……』
頬をポリポリ右上の方を向いて、照れ臭そうに話しをする。M。
「……なんだよ。」
『これは、あくまでも僕が副部長だからとして聞くんだが……この間……GとFさんが仲良さげに出掛けて行って……なのに……帰ってくる時には、Fさんが泣いていたような様子だった。一体何があったのか、何か知っていたら教えてほしい。』
真面目な顔で、真面目にぺこっ!と頭を下げて問い掛けるM。
「ああ…あれね…映像クラブのなんちゃらが、女の子が作った曲にいちゃもんつけて、それで、Gが怒ってたんだな。」
『いちゃもん……』
「なんか『使い物にならない曲』とか言ってて、言い方ひどいよな。」
『なんだと‼︎』
「あ。だから、言ったのは映像クラブの奴だよ!」
慌てて弁解する原野。
『そいつの名前は⁈』
依然、怒りモードの副部長M。
「うん。だから、なんちゃらだよ、そんなの忘れちゃったし……」
焦る原野。その姿を見て、Mは。
『わかった…すまない。つい……すまなかった。』
そう呟くように声に出し、頭を下げた。
と。
いきなりイベント画面が映し出された。
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謎の声:………。
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と。表示された。原野は驚愕した。
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ーーーーーー『謎の声』は『ジョーカー』じゃなかった。って事か?ーーーーーー
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『あ♡ここに居たーーーー』
原野の後ろから突然女の子の声が聞こえる。
『うん…ああ……』
少し言葉に詰まる、M。現れたのは3人の女の子のNPC。
普通の背の女の子の頭の上には『音楽クラブK。
背の高い女の子の方には『音楽クラブL。
そして無表情の女の子の上には同じく『音楽クラブN。
と、表示が出ている。
立ち竦む原野を完全に無視して、KはMに近づき。
『ホラ。会議。始まるから迎えに来たよ。感謝しろ♡』
そう言って、明らかなアピールをしている。残り2人の内、Lの方はいつもの事。と、呆れた顔をしていたが、原野に気がつくと、ぺこり。と頭を下げた。
『あ。Kじゃーーん。』
また女の子の声。見ると今度は集団のNPC。頭の上の表示は無し。
『こないだサァ……』
『ちょっと腹立つ事があって……』
『そう言えばさ。』
口々に、Kに話し掛けるNPC達。
副部長Mはその隙間を潜り抜けるように、サッと姿を消してしまった。
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謎の声:チッ!うっとおしいんだよ、お前ら。
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驚いて周りを見回す原野。周りには男子も女子も入り乱れて、ざっと見ただけでも30人は居るようなNPC。
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ーーーーーー学園イベントはもう始まっているのか?てか、謎の声。って一体誰なんだ?ーーーーーー
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たくさんのNPCに囲まれて完全に混乱している原野だったーーーーーー
はい。ここまで読んでくださってありがとうございます。
実は個人的に『悪役設定』に時間を取られています。
時間はかかっていますが、ちゃんと書き上げるつもりですので、どうか宜しくお願いします。




