最初の寮イベント
バタバタバタバタ………
みんなで寮の階段を登る。
「なんで、ここはワープじゃないんだよ!」
原野は愚痴る。
「それな。」
ウシくんも登りながら答える。
先陣を切って登ってゆく男子達を見ながら女子達も少し遅れて階段を登っていた。
「ひょっとして『寮イベント』って『謎解きイベント』なのかなぁーー」
ソラさんが呟く。
「謎解き?」
ティアが聞き返す。
「そっ!登る事だけしか出来ない階段。降りる事だけしか出来ない階段。鍵を探して、爆弾探して、時間に追われて走り回る……
前にそういうイベントに参加した事があるの。現実イベントだったけど。」
「えええええーーーーっ……それは大変……」
ソラさんの話しにティアは後ずさる。
と。
「お姉ちゃん……」
後ろから、アイラちゃんの声。気がついて振り返ると困ったようなアイラちゃんと、その後ろで息を上げて階段を登っている、ホルンさんが……
「だ…大丈夫ですか?」
ティアが近くに降りる。続いて先に行っていたソラさんも戻ってくる。
『いいから…先に行って…下さい…後から…追いつきますからーーーーーー』
ハァハァと息を切らしながら、ホルンさんはそう言う。
「「「でも……」」」
女子達は困って顔を見合わせる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー画面変わって男性陣ーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーキキキキキーーッ‼︎ーーーーーー
そんな音が聞こえそうな音を立て、爆発のあった部屋の前に横滑りして停止する、ウシくんと原野。
慌てて部屋を覗き込むと見覚えのある2人が……
『アーズ!しっかりして!アーズ!』
爆発で黒こげになった部屋の中で、闇の姫フィンが爆発をくらって目を回し、気絶しているらしい光の王子アーズに必死に声を掛けていた。
「「えーーーーッ……」」
点目でハモる2人。少し遅れて野崎が到着。
部屋を覗き込んでいる2人に声を掛けようとした、その時。
バラバラッと他の部屋のドアが開き。男子のNPCが集まってきた。
「これは、いったい…」
ウシくんがフィンに話し掛ける。
『だって!私の部屋に無断で入っているから!泥棒とか!痴漢とか!そんなのかと思って!アーズだって知らなかったから!』
「知らなかったから?」
少し面倒くさそうに原野が聞く。
『……ちょっと…ブラックボムを……』
「「あーーーー……」」
ウシくんと原野は納得したような声を出す。
『なによっ!あんた達!そう言えば女子寮になに無断で入ってきてるのよ!』
フィンの怒りモードに火が付きそうになったその時。
『うーーん……』
ボロボロになったアーズの意識が戻った。
「あ♡アーズだぁーー♡」
遅れて到着した、ソラさんのテンションが上がる。
そして。
『ちょっと、道を開けてちょうだいなーーーーーー』
見物のNPCをかき分け、ホルン寮長が入ってくる。
『これは、いったい、どういう事ですか?フィンさん。』
『えっ、だって、私の部屋に……』
『フィンさん。ここは貴女の部屋…女子寮ではありません。男子寮ですーーーーーー』
『ええええええええーーーーーーっ‼︎‼︎』
フィンの驚きの声が寮中に響き渡る。
『え…あ…じゃあ…私…』
オロオロ、キョロキョロと周りを見回すフィン。
『はい。完璧間違えてますね!』
腕組みで存在感アップのホルン寮長。
『ごめんなさいーーーーーー‼︎』
瞬間。そう言って、フィンはダッシュでみんなを掻き分け猛スピードで走り去って行ったのだった。
『大丈夫ですか?アーズさんーーーーーー』
ホルンさんはアーズに近づきながら話し掛ける。
と。
イベントらしき画面に文字が打たれてゆく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部員:なーんだ、もう終わり?
部員:すっごい音だったよな。
部員:爆発の瞬間、見たかったなぁーー
謎の声:…………。
部員:やれやれ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これってハロウィンの続き?」
ウシくんが呟く。
「ただ単にあいつらのトラブルに巻き込まれるイベントか?」
と、原野。
「あはは…」
苦笑いの野崎。
「『謎の声』って言うのが気にかかるんだけど……」
と、ソラさん。
「うん。」
と、うなづくアイラちゃん。
と。
「ねぇ!」
意を決して、ティアがケット・シーに話し掛ける。
「もしかして、リーもここに居る?」
『……いないにゃ。参加してないよ、ティアちゃん。』
静かにそう答えるケット・シー。
「……そう。」
複雑な顔をするティア。
と。
いきなりテンション高めの声で、ケット・シーが手を上げ、こう告げる。
『はい!はい!ここで『インサート』入るにゃーーーー』
「『インサート』って?何?」
ウシくんがすかさずケット・シーに聞く。
『後から映像差し込みで、ストーリー繋げるにゃ!この後自動で寮の部屋に移動。
そこでセーブしたら一旦自由に動けるにゃ!それから……食堂前に集合……そだな。
『ウシくんに話し掛けたら』続きの『ストーリー』再開にゃ!』
「「「ストーリー?」」」
みんなが首を傾げる中。ケット・シーは、パッ‼︎と両手を上げ、6人の姿は眩しい光に包まれ、強制的に、それぞれの部屋へとワープしたのだった。




