第25話 【新章】スクール編 学園(仮)説明
ーーーーーーキュウウゥゥゥン……ーーーーーー
いつものようにゲームの起動音が鳴るーーーーーー
登録しているキャラクターの表示。持ち物、ステータス、ログイン場所。
と。
そこに『レベリング学園(仮)』と表示が追加されているのだった。
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はい。少し時間が戻りますーーーーーー
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ハロウィンの日。ウェディングイベントが終わり『ソラさんの島』へ移動する王宮用の白い馬車。
それはそんなに長い間ではなかったのだけれども。
『マノヤさん…マノヤさん……』
画面から声だけが聞こえてくる。
「リー王子?」
マノヤは馬車に繋がれた召喚獣の手綱をひきながらその声に反応する。
『そうです。そうです。お時間ちょっといいですか?どうです?『モニター』参加してくれそうなプレイヤーは見つかりましたか?』
「うん。男の子達はいま『ハロウィンイベント』の攻略に向かったみたいだけど、女の子達ならいま『モニター』になってくれそうな子達が中に居るよ。」
『そうですか!ありがとうございます。ではその子達のプレイヤー名を教えて下さい。』
「うん。まずは『ソラさん』彼女は現役高校生で、ともかく元気。ジョブは『戦士』。次に『ティアちゃん』この子は現役中学生。『魔法使い』。最後に『アイラちゃん』この子は小学生と聞いているけれど詳しい事まではわからない。ジョブは『学者』。」
『……ティアちゃん入っているんですね…』
「うん。元『夏の大イベントのモニター』だった子だよね。」
『実を言うと、ソラさんも最後のイベントの『モニター』に入っているんです。』
「お。そうなんですか…じゃあ除外した方がいいのかな?」
『う……ん……』
マノヤはちょっと困ったように尋ねると、リー王子の沈黙は少し続き……
『いえ。入ってもらいましょう。戦士、魔法使い、学者はバランスがいい。まぁ、前衛と後衛が揃っていれば普通にOKなんですけれど。』
「そうなんだね。」
マノヤは少しホッとしたように笑って
「良かった…」
そうして言葉を続ける。
「懐かしいな…」
すると、リー王子もクスッと笑って
『そうですね。マノヤさんはあの頃はまだ『賢者』で僕のお守りを押し付けられていましたよね。』
「そうだったな……びっくりしたのは、僕がログインするとメンバーは戦闘に行ってて、王子が酒場の海賊に預けられていた時かな?NPCに預ける事が出来るんだーー⁈⁈って事が衝撃でしたね。」
『ホント!懐かしいですね。でもその事が3回ほどあって、マノヤさんのパーティとの『モニター』は自然消滅してしまったんですけれどね。』
「そうだったね……僕はかなり残念だったんだけどね。レアな体験をさせてもらっていたんだから。でもパーティのみんなはレベルを上げて、誰よりも早く、上に行く事の方が重要だった訳だ。」
少し寂しそうに呟くマノヤ。
「でも。また、こうして君と話しが出来て、レアな体験をさせてもらえる。嬉しいよ、本当。」
『無理しなくてもいいよ。』
リー王子は悪戯っぽい声で明るくそう言う。
「本当なんだけどなぁーーあ。そういえば、ティアちゃん担当だった王子は?」
『彼は異動になったよ。この『学園イベント』の企画は彼が担当している部署だよ。モニターの調整とかは僕たちの部署が受け持っているよ。そして知ってたかい?わが友。』
「?」
『ケット・シーの声も僕が担当してるんだよ。』
「えええええーーーーーっ⁈⁈」
『へへん。これは知らなかっただろう。エッヘン!』
そう言うと、リー王子は裏声らしい高い可愛いケット・シーの声で
『では、マノヤさん。おいらはこれで失礼するけど、選んだ『モニター』さんに説明をお願いするにゃ!』
「ええっ⁈」
『頼んだにゃーーーー!』
そう言って、プッツン!と回線の切れた音がした。
マノヤは茫然とそのまま固まる。そうして馬車は自動で止まり『ソラさんの島』へと着いたのだった。
馬車から降りてきたメンバーが最初に見たのは、何故か笑いを堪えているマノヤの姿だった。
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「おおおおーーーーっ…すげぇ…」
『レベリング学園(仮)』のアイコンを見つめるウシくん。
「ガッコに行く前にマノヤさんの説明を聞かなきゃならないのかな?」
ボソッと呟き、ほんの少しだけ考える。
「ま。いっか、ちょっと見るだけなら。」
そう自己完結して、ウシくんは新しいアイコンをクリックしたのだった。
『ようこそ!レベリング学園(仮)ににゃ!』
そこには宙に浮いた見覚えのある……
「黒猫っ!」
『ノン、ノン、おいらにはちゃーーんと、ケット・シーって名前があるにゃ!』
いつものようにテンション高めに答える。
「ケット・シー……」
呟くウシくん。
『そうにゃ。まだこの学園は制作途中で、あちこちバグや通れない場所や行けない場所があるにゃ。『モニター』として選ばれた君たちは自動で行動をスキャン撮影されているから気をつけるのにゃ。』
「へーーっ。」
『むむ。あんまり動じないのにゃ。では、学園を案内するのにゃ。』
そう、ケット・シーが言うと、画面はサーーーーッと流れ、学園の門の前へと移動する。
アイコンを押すと観音開き門扉が開き学園内へと移動する。
「おーーーっ!」
校庭へと降り立ったウシくんは改めて学園を見上げる。その姿は本当に魔法学校。という雰囲気を纏った、お城のような荘厳な建物だった。
『では、まず新入学生には、3つのアイテムをプレゼントなのにゃーーーー☆』
「おーーー!」
『1つ目は『使い魔』いまはまだ決まってないけれど、妖精や鳥や猫などの小さめの召喚獣から1匹選ぶ事が出来るのにゃ!追加でスライムをほしい。って要望もあったのにゃ。君にも意見があったら、どんどん教えてほしいのにゃ!』
ケット・シーの1つ目の説明が終わると、どこからかスーーーーッと小さい丸い白い球が現れ、ウシくんの周りをクルッと回った。
『2つ目は『学園日誌』これは学習するのに必要な、教科書、ノート、時間割などの機能が一纏めに入ってるにゃーー。』
と。ポン!と目の前に煙と共に分厚い赤茶色の皮の表紙の学園日誌が現れた。
『最後の3つ目は『制服』これもまだ制作途中で、とりあえずのマントをプレゼントなのにゃーー☆』
ケット・シーはそう言うと両手を上にパアッ‼︎と上げる。と。ウシくんの肩から背中にパサっと赤茶色のマントが現れた。
「おー…」
ウシくんは背中のマントを見てみる。と。先程の使い魔の白い小さな球が光りながら自由に浮遊している。
「これは?」
『うん。まだ制作途中だからそんな姿なのにゃ。学園生活のナビをする機能が付いているにゃ。最初は機械的だけど、一緒にいると言葉を少しずつ覚えていく仕組みになっているにゃ。』
「え…そっか…言葉を…」
『何か思いついたかにゃ?』
ケット・シーが尋ねる。ウシくんは光りながら自由に周りを飛び回る白い球を目で追って
「こいつは、このままでいいんじゃない?なんか楽しそうだし。」
そう言った。
『では。説明はこれで終わりだにゃ。まず職員室を探して学園最初の『クエスト』を始めるにゃ。ま。最初だから『お使い系クエスト』にゃーー』
「あ。」
『どうしたにゃ?』
ケット・シーの説明にウシくんは思い出したように声を上げる。
「俺『クエスト』って初めてだわ。」
頭をカキカキそう呟いた。




