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番外編ウェディングイベントの夜

「ゲーム内で結婚式があげられるなんて楽しいですよね。」


しみじみとフイトスさんが呟く。


ハロウィンの日。月夜さんとラトシアさんの結婚式の二次会。

『ソラさんの島』でゲーム内での料理や飲み物が並んでいる。

参加者はゲーム内でチャットをしながら現実リアルでも好きな物を自由に飲んだり食べたりして、和やかに過ごしていたのだった。






「月夜さん。ラトシアさんのどこが良かったの?」

不思議そうに聞く、ソラさん。


「良いところ。と、いうか…ただ単に放っておけなかっただけよ。」

恥ずかしそうに答える月夜さん。


「月夜さんにとっては弟みたいな好きですか?それとも胸が痛くなるような好き。ですか?」

ティアが真面目に聞いてくる。


「うーーーーん……ペットみたいな感覚かなぁーーっ?」

少し笑いながら明るく月夜さんが答える。


「「へぇーーーーっ」」


女性陣のお喋りはまだまだ続く。









「ま。俺は初めて会った時から、ピピッとはきてたね。それで『コーヘル牛』の件で確信に変わった。と言うか、あれ?ひょっとして本物?とか思っちゃってサァーー…」


楽しそうに嬉しそうにラトシアさんが話す。隣でリヒトが懐かしそうに聞いている。










「カワウソさんの恋は?叶いそうなんですか?」


唐突にフイトスさんが話し掛ける。


「僕の恋はまだまだ…時間が必要なんです。」

そう、呟くように返事をする、カワウソさん。


「て。言うか、フイトスさん。貴方の方こそ、彼女とは、どうなんですか?」


切り返してカワウソさんが問い掛ける。どうも現実リアルでお酒を呑んでいるらしく声が少し酔っ払っている。


「うん。おかげさまで、春に結婚する事になりましたよ。」


少し照れくさそうに、嬉しそうに答えるフイトスさん。


と。


「え?結婚するんですかっ⁈」


びっくりして、ソラさんが話しに飛び込んでくる。


「うん。この間、結納が終わって……」


ソラさんの勢いに少し後ずさりながらフイトスさんが答える。


「…本当なんですね……あ。なれそめ。聞きたいです‼︎」

「うん。私も聞きたいな。」

「なんか不思議な感覚です。フイトスさん、ずっと、おっとりしてたから……」


ソラさん。月夜さん。ティア。3人それぞれ興味深々で聞いてくる。

もちろん、カワウソさん。マノヤさんも興味深くフイトスさんの話しを待っている。




「そんなに期待されても…そんなには…でも…少しだけ……」


そう言うとフイトスさんは頭をカキカキ話してくれた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「彼女…詩音さんに初めて会ったのは、10年前…自分が20歳の時でした。

自動車の整備専門学校に2年間通って2級を取って就職して働き始めたところでした。

彼女は車を取りに来た時。自分と会って、それから頻繁に会いに来てくれるようになりました。

彼女に言わせると『一目惚れ』らしいです。」




たぶん、ここは顔真っ赤なんだろうなぁーーと。

聞いてるメンバーみんな思っていました。

声が照れ照れでした。



「普通に1年ほど付き合って、その頃から、もう結婚の話しも出ていたんですけれど……

これは最近になって知った事実なんですけれど……

自分の親が、当時30歳の彼女に……

『10歳も年上の嫁さんなんて認めない。』

とか言ったらしくて、彼女はそれをまともに受けて、身を引いてしまったそうなんです。

自分はその時はそんな事とは知らずに本当に落胆していたんですけれどね……

それから10年たって自分は交通事故に遭いまして……」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーーーーーキキキキキキーーーーッ‼︎‼︎ーーーーーー


ーーーーーーガシャーーーーン‼︎‼︎ーーーーーー


「なにっ?」


最寄駅から出て、すぐのこの場所で詩音は交通事故特有のブレーキ音と車のぶつかる金属音を聞いた。

ワラワラと人が集まってくる。


「やだなぁーーーー血は見たくないんだけど……」


家への帰り道。どうしてもそこの交差点を通り過ぎなきゃならない。


「大丈夫か兄ちゃん!」


通りすがりの人がバイクのヘルメットを外す。


「足がやられちまってるな。」

「おい!救急車!」

「してます!」


事故車はそのまま急発進して逃走していたが、後続のトラックが守る為に停止。

運転手がテキパキと停止の三角板を立てる。


その様子を見ながら急いで通り過ぎようとした詩音はバイクの被害者の顔を見て、息をのむ。





文寿ふみとしさんっ‼︎‼︎」





あり得ない状況に頭が混乱する。


「姉ちゃん、知り合いか?」


トラックの運転手さんから声を掛けられる。

彼の持っていたスマホのロックは詩音の誕生日の番号でロックが解ける。


それから先はあんまり覚えていない。一緒に救急車に乗り、他に損傷がないか確認する為、ストレッチャーの上で彼の衣服がハサミで切られる。


病院に着くと、奥の手術室までのドアが一斉に開かれ、まるで吸い込まれるように彼の乗ったストレッチャーが走ってゆく。


奥からバタン!バタン!と扉が閉まってゆき、救急隊員と警察官から事情を聞かれ、彼のスマホから、彼の両親へ連絡を入れる。

命に別状はない。との事だったが、一緒にお医者さんの説明を聞く。

集中治療室で沢山のチューブや機械に繋がれている姿が痛々しい。


深夜、彼の両親にたくさんの感謝の言葉を伝えられ、最寄駅へと送られる。



ーーーーーーいったい何という日なんだろう……



ふと、思い立ち、意味も無く、結婚したら一緒に住もう。と、10年前に2人で決めていたマンションへと向かってみる。

表札を見ると…そこには彼の苗字。



「まさか…」



その部屋に行き10年前の合い鍵を差し込むと……


まるで待っていたかのように、ドアはカチャン!と開き、少し汚れた生活感のある空間が、そこには広がっていて……


思わず詩音は声を上げ、泣き崩れていったのだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「それで、事故に遭って、目が覚めたら、目の前に詩音さんが居て、しかもいきなり泣き出すし、本当に頭が混乱して、びっくりしましたよ。」


「ほう……」

「それで、それで?」


「二週間ほど入院して、家に帰ったら、このゲームが接続されていて、詩音さんが勝手に「足が治るまで暇でしょ?」って。

ネットは途中から無料になったマンションなので、オンラインで仕事も出来たんだけど…」


そこで、フイトスさんは、ふうっ。と一息ついて。



「でも。詩音さんは一緒にゲームはしてくれないんだ‼︎」



そして、グッと握り拳。


「他にも聞きたい事が山のようにあったので、時々会いに来てくれる詩音さんに疑問に思ってた事の本当の事を問いただしてみた。彼女はなかなか話そうとしなかったので、ちょっと強引な手で。」


「キャッ♡」

「え?なになに?」


「それから、両親に問いただすと、素直に認めてくれて、謝ってくれて、結婚も許してくれた。

なので、春には正式に式も上げて一緒に住む事になりました。」


「キャー♡おめでとう!」

「良かった良かった♡」

「幸せになって下さいね!」




と。


「がんばってんだな、お前もっ‼︎」


どこから聞いていたのかラトシアさんもガシッ‼︎とフイトスさんの手を握る。


「貴方も頑張って下さいね!」


「おう‼︎まかせとけ‼︎」


そうして風にみんなの笑い声が散りばめられていったのだった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






文寿ふみとしさん。本当にいいの?私…40歳になるんだよ。」


「いいんですよ。何歳でも、自分の事をわかってくれるのは、詩音さんしか居ないんだから。」


「……貴方の赤ちゃんを産めないかも知れないよ…」


「君が居てくれるだけで、いいんですよ。」


「……でも。」






「そうですね……落ち着いたら、ワンコを飼いましょう。君とケンカをしそうになったら仲裁してくれるワンコを。」


そう言って文寿は優しく笑う。詩音は呆気にとられ…


「私。ウサギも飼いたいな…」

「ウサギですね。了解しました。」


「ハムスターも!」

「ハムスター…これはまた小さいですね。」


「ねこちゃんはどうですか?」


今度はふざけて言ってみる。

文寿は楽しそうに


「そうですね。現実リアルでも、動物たちでいっぱいになりそうですね……」


そう言って笑ったのだった。














ずっと書きたかったお話しです。

お幸せに♡


次は新章です。

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