ハロウィンお城イベント2
「いない。」
ウシくんはおもちゃ箱の上に立って呟く。上を見上げるとまだまだ遠い、赤ちゃんベッド。無数にある、おもちゃ箱とプレゼント箱。
ーーーーまあ、頑張るか!ーーーー
ウシくんは心の中で握り拳をつくる。
「なぁ、これってサァ…」
ジップラインにいい加減飽きてきた、原野が愚痴る。
「途中に宝箱とかアイテムとか、なんか落ちてないの?」
その言葉に少し笑うように、マノヤが
「なかったと思うよ。」
そう答える。
「マジかーっー…」
ますますヤル気を失う原野。
と。
「見つけた。」
ボソッと普段から無口な野崎が声をかける。
「えっ!マジ?」
「やったーー‼︎」
原野とウシくんが喜びの声を上げる。と、マノヤが手を口に声をかける。
「エッジくん!さっき言った通り、みんな集まるまで王子には触らないようにねー」
「了解ですー」
魔法使い野崎はそう答えると
『だぁ!』
赤ちゃん王子の声が響いて、3人は顔を上げる。
そうすると、小さな赤ちゃんの手が見えた。と思ったら、ポン!と側に立っている野崎の足に触ったのだった。
その途端、音楽が変わり
『あーーーーっ‼︎赤ちゃん、私に渡しなさいよっ‼︎』
闇の姫フィンの声がステージ上に響き渡り、野崎と赤ちゃん王子の乗っている、おもちゃ箱だけが、凄いスピードで上昇してゆき、最終ステージへと向かって、みるみる小さくなってゆくのだった。
「「やばっ‼︎」」
動揺する2人。
「しまった。」
そう短く言って、マノヤはバサッ‼︎と背中から黒い羽根を出した。
「「ええっ⁈」」
驚愕する2人。
途端、ヒュン‼︎と羽根の音を残し、風のような凄いスピードで野崎を追いかけてゆく。
「ウソだろ…」
「カッケー‼︎」
ーーーーーーピピーーーーッ‼︎‼︎ーーーーーー
思わず耳を塞ぐような高い笛の音が鳴り響き、おもちゃの兵隊が何処からか集まって来た。
無数の兵隊達は「気をつけ」の姿勢をとり、少し震えると……
ーーーーーーズギュン‼︎ズギュン‼︎ーーーーーー
と、揃えた両足から炎をジェット噴射し、ロケットのように飛び立ち、次々とマノヤを追いかけてゆく。
「「ひぇっ‼︎」」
次々に起こる出来事に呆気に取られる、戦士、原野と剣士、ウシくん。
しばらく止まって「「あっ‼︎」」気がつく。慌てて上に登るべくジップラインを再開するのだった。
替わって、こちら野崎側。
『赤ちゃんを私に渡しなさいよっ‼︎‼︎』
闇の姫フィンが魔法の詠唱を始める。エッジはクジラの着ぐるみのまま、もう仕方なく赤ちゃん王子を抱き上げて、片手を前に『シールド』を貼る準備をしている。
準備はしているけれど、もう、その他に有効な対処方法は見つからないでいる。ここにみんなは居ないのだ。
『シールド』だって簡単に破られるのが目に見えるようだ。
「どうしたら…」
考えている間にも、フィンの両手に渦を巻いて黒いエネルギーが集まって来ている。
『闇の波動‼︎‼︎』
「やられる‼︎」
フィンの魔法発動の瞬間。黒のエネルギーが白く変換される。画面全体が白く眩しく光ったと思ったら、徐々に色が戻り、気がつくと目の前に羽根の付いたマノヤが立っていた。
「ええっ⁈」
マノヤは背中を向けたまま一呼吸おき
「十文字雷‼︎」
おもむろに杖を前に出し、そう呟くとフィールド全体に雷が縦横無尽に走り、光り、遅れて雷鳴が低く激しく轟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「や、やっと。」
「野崎‼︎」
ウシくんと原野。ほぼ2人同時に最上階のベビーベッドフィールドに辿り着いた。
「おつかれ。」
マノヤが『電磁シールド』を張ったまま声をかける。
「やぁ。」
野崎が王子を抱いたまま半分手を上げる。
「「へっ?」」
見ると宙に浮かんだ闇の姫フィンが狂ったように連続で攻撃をドコドコ撃ってきている。
なのにマノヤとエッジは涼しい顔で2人を振り向いたのだった。
「これ、どういう状況?」
「えっ、すご。」
呆れる、原野とウシくん。
「君たちを待ってたよ。封印は4人同時に解かなきゃならないからね。」
「マノヤさん強くて、あ。でも、僕は何にもしてないよ。」
少し焦って説明する野崎。抱かれたリー王子は腕の中で小さな手を動かし『だぁ。』と言って笑った。
「さぁ、じゃあ、攻撃は受けるけど、封印解除するか!エッジくん。魔法封印サラエを。」
「了解です。」
「「らじゃ!」」
マノヤの言葉に全員一致でうなづいた。
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『見つけたぞ…お前たち‼︎』
地の底から響くような低い声と共に砂埃を巻き上げ、中から巨大な魔王がゆっくりと現れた。
『キャーごめんなさい!ごめんなさい!』
双子の悲痛な悲鳴が響き渡る中。
「とりあえず魔王も倒せないから、HPを1にするまで頑張ろう。」
「「「おう!」」」
冷静に作戦会議をしている、ウシくん達だった。
Vは続いていて、双子の姉弟は鳥の姿に変えられ、空中に突然現れた巨大な鳥籠へと放り込まれた。
『お前たちは何だ?2人を唆かしたのはお前たちか⁈許さん‼︎許さんぞ‼︎』
ここで、Vが終わりバトル開始。
ピピピピピピッと魔王のHPバーが3本現れた。
「エッジくん。王子をこちらへ。」
マノヤが促す。
「はい‼︎」
先に打ち合わせをしていた通り、野崎は王子を渡し『攻撃表示』を『セット1』から『セット2』へと変更した。
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ーーーーウシくんと原野を待つ間ーーーー
「エッジくん『セット1』は回復メインだと思うけど『セット2』は設定しているの?」
両手を前に出し最大級の『電磁シールド』を張りながら、マノヤが問いかける。
「はい。一応。』
不思議そうに答える野崎。
「そうか、では『回復』は僕が請け負うから『セット2』を使ってみるかい?」
「ええっ⁈」
「『魔法使い』は『回復』がパーティの役割だけど『魔法攻撃』も思いっきり使ってみたい。というのが本音だと思っている。少なくとも僕は。」
「……はい。」
「じゃあ任せたよ。」
マノヤは楽しそうにそう言ったのだった。
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「マノヤさんは凄い人だ…」
野崎はそう呟いて魔王にも
「魔法封印サラエ‼︎」
を発動させたのだった。
ーーーードゴッ‼︎ドゴッ‼︎ドゴッ‼︎ーーーー
「あぶねっ‼︎」
素早く避けるウシくん。魔王は魔法を封印されたので直接攻撃に切り替わっていた。
床を叩き割り、宙に浮いたおもちゃ箱を集め、叩きつける。
まるで駄々っ子が物をあちこち投げつけるように。
ウシくんと原野は前衛でボタンをダダダダダッと連打して剣を振るう。白と赤の剣筋が弧を描いて、消えては走り、走っては消えてゆく。
「水流波動‼︎」
空中に無数の青い水の玉が浮かぶ。野崎が杖を思いっきり振り下ろすと丸いフライス盤のようになって次々と魔王に飛び掛かってゆく。
『うおおおおおっ……‼︎』
低く地響きのような声で魔王が叫ぶ。
「回転斬‼︎」
「火炎斬‼︎」
「水の槍‼︎」
息つく暇もなく総攻撃を開始し
ーーーーーーピピピピピピ……ーーーーーー
魔王のHPをかなり削る事が出来た。
と、そこへ。
『良かったにゃ!間に合ったにゃ!』
黒猫ケット・シーが能天気に現れた。




