ハロウィンお城イベント前
「いやぁー牛原が『ロリコン』だとは思わなかったよー」
ニヤニヤしながら、原野。プレイヤー名『セツエイ』が牛原ことウシくんをつっつく。
ここはゲーム『レベリングライフ』内。結婚式の教会と馬車をバックに、アイラちゃんと写真を撮っているところを、しっかり見られていたのだった。
「もうそれくらいにしておけよ。」
クジラの着ぐるみを着た野崎。プレイヤー名『エッジ』が原野に声をかける。
「いーーや、やめないね。俺は嬉しいんだ『ロリコン』仲間が増えて。」
「同志!」
ヒシッ‼︎とウシくんは原野に抱きつく。
「茶番だ。」つぶやく野崎。
その裏で、ウシくんは……
ーーーーそっかーー俺はロリコンだったのかーー…ーーーー
実は心の中で少しショックを受けていたりするのだった。
なぜ現実友達の2人が合流しているのかと言うと、あれからウシくんが毎日、学校でゲームの進捗状況を話しているからであって、
2人は内緒でレアイベントでもある、結婚イベントに密かに潜り込んでいたのだった。
そして、プレイヤー名『ウシくん』である牛原は、わかりやすいその名前で2人にすぐに見つかっていたのだった。
そうして、ようやく撮影会が終わり。
「撮影会は終わりです。馬車移動しますーー」
仲人役の賢者。フイトスさんがその場にいた、みんなに聞こえるように声を上げた。
「行かなくていいのか?」
原野が聞く。
「うん。いいんだ。二次会を島でやる。って言ってたけど、俺『水』のボス倒しに行くから。」
と、ウシくん。
「そっか。明日ソフト中止になったの知っているか?」
「うん。」
「俺ら、スタンプ集めて、まだだったら明日、一緒にラストの『城イベント』行こうかと思って…」
「マジかっ⁈⁈」
ウシくんの嬉しそうな声が響く。
「でかっ!お前の声でかいよ。」
「……マジか。」
「…それと、実は俺ら『夏のイベント』断念してる。」
「え?」
「北の塔の『翼竜のカード』知らなかったから、城前の『樹海』で力尽きちまった。だからお前がカード取ってきてくれたらリベンジ出来る。」
「わかった。『翼竜のカード』だな。」
「うん。カード化出来るアイテムを渡す。」
そう言って原野がウィンドウを操作する。
ーーーーーーピコーーーーン‼︎ーーーーーー
ウシくんのウィンドウにプレゼントとして、アイテムが届く。
「あざっす!」
「じゃあ頼むな。」
「おぅ!」
「その前に……」
いままで静かだった野崎が声をかける。
「「……?」」
「友達登録を。」
「「あっ!」」
2人の声がハモった。
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ウシくん[牛原]→剣士[焔]レベル22
セツエイ[原野]→戦士[地]レベル51
エッジ[野崎]→魔法使い[水]レベル48
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「実は、牛原にゲーム始めた話しを聞いた時。ちょっと調べてみたんだけどサ……」
「うん。」
「ハロウィンイベントは、だいたいレベル20くらいで挑戦出来るようになっていて、ラストの城イベントは一番低いレベルのヤツに合わせてくれるんだと。」
「うん。」
「だからそれは問題ないんだけど…」
「けど?」
「城イベントは4人パーティプレイで、前2人、後2人が基本らしい。なんで後1人後衛が足りない。」
「うん。」
「なので明日、牛原のフレンドから魔法系の人を1人頼んでほしい。」
「わかった!ログインしてからな。」
「それから『大イベント』の挑戦レベルは50くらいなんで、牛原が50になったら挑戦。って事で。」
「うす。」
「これくらいか……」
「あ。原野たちは時間。大丈夫なのか?」
「時間って?」
「『時間テント』9時と3時の。」
「え?夜9時のでクリアするつもりだけど?」
「同じく。」
「え?マジか。いいな…」
つぶやくウシくん。
「「……?」」
「俺、夜9時就寝。」
「辛いなそれ…」
と、そこで
「「ただいまーーーー」」
ウシくんの母親と姉の結が一緒に帰って来た。
「げげっ⁈」
2人が帰って来た時点で時刻は夕方5時。ウシくんはそれから慌てて『水』のボス攻略に走り、なんとか晩ご飯の6時前に『水のスタンプ』をもらう事が出来たのだった。
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ーーーーーーーー次の日ーーーーーーーー
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「『ハンバーグ』と『ナポリタン』どっちがいい?」
ウシくん達3人は、助っ人を頼んだマノヤさんに、そんな質問をされていた。
「え?」
「……?」
「それは、どういう?」
ウシくん。原野。野崎の頭の上にハテナマークが飛ぶ。
「うん。あんまり知られてないけど、戦闘前に『料理』を食べるといろいろ効果があるみたいで。有名なところでは『コーヘル牛』って知っているかい?」
「「「あ!」」」
そこは3人共ハモった。
「うん。僕も知らなかったんだけど、昨日の二次会で『コーヘル牛』の話しになって、なんで、職業で『料理人』や『パティシエ』があるのか?の話しになって、試しに『洞窟探検』で検証してみた結果。
だいたい『肉料理』でHPが、『スイーツ』でMPが減りにくくなる効果がある事がわかったんだ。『パスタ』はたぶん素早さに関係していると思うんだけど……
まだまだ、このゲームは未知の部分が多くて。新しく加わった『料理図鑑』を開くと……」
マノヤは楽しそうに説明を続ける。ウシくん達3人は呆気にとられてマノヤを見守る。
ここは、ソルト大陸。リインブルク城前。『大イベント』は3人共クリアしていない為、北の塔の『守り人』に話しかけると、
『本編ストーリー』か
『ハロウィンイベント』か
どちらに進むか尋ねられ。『ハロウィン』を選択すると、リインブルク城前に飛ばされる仕組みだった。
そうして4人は『超おいしい天使のハンバーグ』を食べてイベントに臨んだのだった。
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『おお……諸君らは冒険者か?いきなりじゃが、余の頼みを聞いて貰えないじゃろうか?実は余の大切な王子が消えてしまったのじゃ!
まだ幼い赤子じゃというのに城中どこを探しても見つからないのじゃ、余はもう心配で心配で……』
王様の切羽詰まったお願いに『YES』と答えるとイベントの世界へと転送される。何も無いオレンジ色の世界。
『あにゃ?お前たち冒険者かにゃ?』
どこからか可愛い声。いつの間にか羽根のはえた黒猫が目の前に浮かんでいる。
『おいらはケット・シー。時間の狭間に暮らす妖精猫にゃー。冒険者にゃら『王子様を探す』道案内をするにゃー』
ハロウィンイベント最後のお城のクエストが始まった。




