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ハロウィンイベント&サプライズ計画

ーーーーーー水曜日ーーーーーー


「さぁ!頑張るか!」


ウシくんは張り切ってゲームの起動ボタンを押す。


実は前日の火曜日と、あと金曜日は塾に通っているので、ゲームは出来なかったりする。

7月半ば、期末テストの成績が悪かったのでゲームが出来ない事を学校で話した時、原野が誘ってくれた格安の塾へと一緒に通う事になったのだった。


その塾の先生は元は学校の先生。定年退職をされてから自宅で数人の勉強を見る塾を始めた。

学校の黙々と単語を書き写すだけの宿題も、先生がいると何故かはかどるような気がしたのだった。

塾には、ちゃんと高田塾という名前があったのだけど、そこに通う生徒はみんな『じいちゃん先生のとこ』と呼んで、きちんと休まずに通っていたりするのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『わっはっは。俺はイグニス。焔の神の申し子だ。ハロウィンスタンプが欲しければ、俺とバトルし倒してみるんだな!』


丸い円形状のスタジアム。周りは炎に包まれ、両側に審判が立っている。

ここは、はじまりの南の町。ウシくんは3人の弟子を倒して、焔のボス。イグニスの前へと立っているのだった。


ーーーーーー『始めっ‼︎』ーーーーーー


審判の声と同時に、イグニスは右手人差し指をクイックイッと動かす。と、特別スキルが発動する。


「えっ?動かない⁈」


ーーーーーー特別スキル『挑発』が発動しました。ーーーーーー


「挑発ってなんだよ?」


ウシくんは闇雲にボタンを押してみるが、やっぱりキャラクターが一切動かない。それはまるで蛇に睨まれたカエルのように。


『わっはっはっ!』

イグニスは笑いながら大剣と一緒に焔系の技を連続で繰り出してくる。

『ファイヤーボム!フレイムボム!』


「うーーーー」

同じ焔系なので一発での致命傷は避けられているが地味にHPヒットポイントが削られてゆく。

ウシくんは時々ウィンドウを開いて『回復薬』を使うくらいしか手がないのだった。


「うーーーーどうすれば…」


悩むウシくん。と。以前マノヤさんに貰ったアイテム『ハロウィンクッキー』が目に止まった。

『一定時間無敵』瞬間ウシくんは『食べる』を選択した。

パシッ‼︎と体から光が散り、オレンジ色に全身が輝いた。


「行っけええぇーーーー回転斬スピンソード‼︎」


『挑発』の解けたウシくんは妖精の加護。グリーンソードを持って、イグニスへと突っ込んでいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『勝者!挑戦者ウシくん!』


審判の声が響く。


『おめでとう。あなたに焔のスタンプを授けましょう。』

そう言って審判の方が用紙にスタンプを押してくれる。


『よし!これも受け取るが良い!』


焔のボス。イグニスから、コインと焔の宝石。そして透き通った薄いピンク色のスキルキャンディを貰った。


「よし!2つ目、ゲットだぜ‼︎」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、次のテントは西の町だったよな…」


ウシくんは西の町へとワープを使って移動する。


「あれっ?」


西の町の道具屋の前。なにか見覚えのある2人のプレイヤー。


「マノヤさん?ソラさん?」


ウシくんの呼びかけ。


「「⁈」」


驚いて振り返る2人。


「お2人、知り合いだったんですか?」


驚くウシくん。


「君か…」

少し微笑むマノヤ。


「えっ⁈えっ⁈えっ⁈」

あきらかに驚きを隠せないソラさん。


「「?」」


「えええええーーーーっ⁈ウシくんって小学生だったのーーーーっ⁈」


思いっきり高い声で叫ぶソラさん。思わず耳を塞ぐウシくん、マノヤ。


「……中学生です。」


「だって、だって、最初に会った時、キーボードで敬語使っててサイケなアウトローだとばっかり思ってた‼︎」


「…サイケ?」


「あーーなるほど、カスタマイズの友達フレンド…」


「なのに小学生の男の子だなんて!ホントびっくり!」


「だ、か、ら、中学2年生だってば!」


「あはは…」


「ウシくんは小学生みたいな、本当は中学生で、マノヤさんはのんびり過ぎる冬眠間近のくまみたいで……」


「くま?」



「それを言うなら、ソラさんは『ぶっとび女子高生』だし!」


「えっ?」


「うちの姉ちゃんにそっくり!」


ーーーーーーバシッ‼︎ーーーーーー


途端リアルにウシくんの頭に教科書の束がヒットした。


「てっ‼︎何すんだよ‼︎」

「だれが、ぶっとびなのよ‼︎」

「そのものじゃんか‼︎教科書で叩くなよ‼︎」

「あらーーっ!フライパンの方が良かったかしら?」

「やめろーー‼︎」


ウシくんと姉のゆいの攻防は続いている。ソラさんとマノヤには、マイクを通して、その一部始終が手に取るように分かるのだった。



「……」


「……」


「楽しそうですね…」


「楽しそう。って発想は私には無いわ。」


ーーーーーーしばらくの沈黙ーーーーーー


「…とりあえず、さっきの話しを…」


「そうね…とりあえず貸して欲しいのは、ハロウィン当日に『馬車』を一台貸して欲しいです。」


「了解しました。」


「結婚式なので、馬車の前で記念撮影会をしたいです。」


「「⁈」」


「わかりました。では白の王宮用を貸し出し。と言う事で。」


「「結婚式⁈」」


瞬間、ウシくんと結の攻防が止まる。


「…うん、ハロウィンの日。結婚式をやるから…ウシくんも来る?」


「結婚式って、ソラさんとマノヤさん?」

ウシくんの素朴な質問。


「そんなワケないでしょ!」


「あ…」


あんまり意味は無いけれど、ソラさんの言葉に少し傷つくマノヤ。


「ここ(ゲーム内)で知り合った友達フレンド。月夜さんと、ラトシアさんの2人のよ。」


「…うん?」

首をひねるマノヤ。


「…なに?知ってる人?」


「…いや…なにか、引っかかったんだけど…思い当たる人はいないから気のせいか…」

呟くように考えるマノヤ。


「ゲーム内で結婚式出来るんですねー」

感心するウシくん。


「なぁに?誰かいい娘でもいるのー?」

ちょっとニヤッと笑うソラさん。


「え?いやいやいや。」

焦りながら、ウシくんの頭には、アイラちゃんのウエディング姿が浮かんでいたりするのだった。







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