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幸運値

『フッフッフッ…よくここまで辿り着きましたね。私の名はテラ。大地の申し子。ハロウィンスタンプが欲しければ、私とバトルし勝利を収める事ですね。』


「…なんか…イメージと違う…浮いてるし。」


姉のゆいがそう指摘する。もちろん、それは当のウシくんも思っている。背中にコウモリの翼。大地のボスというより、まるでドラキュラのような姿で宙に浮いているのだから。


ーーーーーー『始め‼︎』ーーーーーー


両側にいる、審判の声。続いてテラの魔法攻撃

岩石投下ロッククロー』の声。

とたん空中に現れた大きさの違う無数の岩が、ウシくんめがけてランダムに落ちてくる。


回転斬スピンソード‼︎」


ウシくんは焔の剣で技を繰り出す。紅い焔が、落ちてくる岩石をその高温の熱で瞬時に消し去る。

けれど横斬りで焔を纏うこの技では防御は出来ても、宙をふわふわと浮いているテラには攻撃が出来ない。


「う……」


どうすれば…と、心の中で呟くも頭の中に何も浮かんでこないのだった。


「ね?貰った剣。使えないの?」

結の素朴な疑問。


「あ。」


すぐに画面停止。ウィンドウを開く。ソロイベントだからか操作出来るのが、有り難かった。

パーティバトルでは、こうはいかない。ウシくんは『グリーンソード』に持ち替え画面を動かす。

そのままーー


回転斬スピンソード‼︎」


風の加護の剣を振り回した。すると剣からは立ち上がる透き通った萌黄色もえぎいろの風が現れ。

それは次第に大きくなって、やがて竜巻のような姿に。

テラの繰り出す魔法岩を巻き込んで回転を早める。


シュタッ‼︎


と、剣を振り下ろすと風に巻き込まれていた、全てのものが地面に叩きつけられる。

それは宙に浮かんでいた大地のボス、テラさえも。それを目視したウシくんはテラに向かって思いっきり剣を振り上げる。今度は縦斬りで。


「行っけえぇぇーーーー‼︎」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『勝者!挑戦者ウシくん!』


審判の声が響く。


『おめでとう。貴方に大地のスタンプを授けましょう。』

そう言って、審判の方が用紙にスタンプを押してくれる。


『フッフッフッ…素晴らしい!貴様にこれを授けよう!』

ボスのテラからコインと大地の宝石。そしてほんのりオレンジ色の『スキルキャンディ』をひとつずつ貰った。


「やったーー!」


ぐっ‼︎と握り拳を作って喜ぶウシくん。


「よかったね。」

何故か棒読みの結。


「あ。そうだ。マノヤさん、まだ居るかな?」


そう言うと、ほんの近くにある道具屋方面へとウシくんは走り出した。

「あ。」

ちょうどマノヤはお客様らしき人と手を振って別れようとしているところだった。


「マノヤさんっ‼︎」

ウシくんの大きな声。


「うん?」

振り返るマノヤ。


「マノヤさんのおかげでハロウィンテントひとつクリアしました。本当にありがとうございますっ!」


深々と頭を下げるウシくん。


「そうか。それは良かった。」

嬉しそうなマノヤ。


「マノヤさんは分かっていて、あの剣をくれたのですか?」

「え?どういう事だい?」


不思議そうなマノヤにウシくんは剣を替えて勝てた事を説明した。


「いやいや、いくらなんでも、そこまでは僕も読めなかったよ。」

両手を前に首を振るマノヤ。


「そうなんですね。でも、物凄くラッキーでした!」

「ラッキー…」

「はいっ!」

「そうか…ひょっとしたら君は『幸運値』が凄く高いのかも知れないね。」


「幸運値…?」


「ステータス画面を開けてごらん。」

「はい。」

「右下に表示があると思うんだが…」

「はい…『幸運値』250。」


「それは凄い!最高値が300だからね!」

思わず手を叩くマノヤ。


「マノヤさんはいくつなんですか?」

「僕は300だよ。」

「やっぱりマノヤさんの方が凄いじゃないですかっ‼︎」

「あはは…」


笑いながら、少しのんびりと受け流すマノヤと、ストレートに感情が出てしまうウシくん。2人の会話を結はそうっと離れた場所から楽しそうに聞いていたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『幸運値』

このゲームでは『攻撃力』『防御力』『俊敏』『幸運値』等のステータスの振り分けは全て自動振り分けです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーー次の日 学校への道ーーーーーー


「うん。もう2〜3日で退院出来るって。たいした事無くて良かったよ。」


「そっか。」

「ほーーっ…」


野崎がそう報告すると、ウシくんこと牛原と原野は安堵の声を出した。3人のうち野崎は背が高く1人目立っているけれど、牛原と原野の2人はどんぐりの背比べという感じであんまり差は無い。

3人共ソフト部に入っているので髪は短め。牛原のみ5分刈り。といったところか。


「それでさ、俺‼︎」


思い切ったように話しだす牛原。


「「……?」」

他の2人は不思議顔だ。


「なんと!ついに!やっと『レべリングライフ』始めたんだ‼︎」


嬉しそうにそう伝える。


ーーーーーーしばらくの間ーーーーーー


「「あーーーーーー……」」


と、何故か2人の反応は薄い。


「あれっ?」


今度は牛原の方が不思議顔。


「実はさ…」

頭をカキカキ原野が喋る。


「夏のイベントの後。ほとんどやって無いんだわ、あのゲーム。」

「え?」

目が点になる牛原。と、気を取直して…

「野崎は?野崎も?」


「うん。ごめん。やって無い。」

片手で謝る仕草。


「マジかーー‼︎」


両手で頬を支え、悲しそうにそう叫ぶ牛原だった。










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