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#11 天墜つる誅罰の星

 俺の宣言を聞いた三条院は一瞬あっけにとられ、それから、大笑いした。


「ぶっ……ははははははは! 『お前を倒す』……だってぇ!?

 レベル6のお前がどうやっ――」

「≪雷撃符≫!」

「なっ!?」


=====


 ≪雷撃符≫


 いかずちは 輝き轟き 魔を祓う

 かしこかしこみ 聞こし召されよ


-----


 対象を追尾する札の形を借りてナノマシンへの命令を飛ばし、着弾点に雷を発生させます。

 対象1体に中ダメージを与えます。

 さらに対象に帯電状態蓄積を与えます。


 属性:[投擲][雷]


 威力:Lv1/5

 効率化:Lv3/5


 消費:14NP


=====


 俺の手の中に何の脈絡も無く、墨跡鮮やかに文字の書かれたお札が現れる。

 オンキリキリなんたらかんたらソワカ!!


 投げつけられた札は雷の軌跡を残してホーミングミサイルのように飛び、余裕ぶっこいていた三条院を直撃した。

 虚を突かれて腕で防御する三条院。

 雷が爆ぜる!


 正直、あんまりダメージ受けてるようには見えなかった。

 全然ノックバックとかしないし疵も残ってないんだもの。

 一応≪雷撃符≫は上級クラスのスキルなんだけど、レベル差とか装備の差とかパッシブスキルの差とか、そういうの諸々合わせたらまあこんなもんだ。


 だが……これでいい!

 ダメージは微妙だったが、ビリビリと電撃のエフェクトが三条院を取り巻いていた。

 帯電状態。状態異常の一種で、一部のハイテク機器系アイテムが使用不可能になる。重症化すると麻痺も併発する。

 さっきスズネが雷レーザーをしつこく撃ってたお陰で、ノーダメながら追加効果である帯電状態フラグは潜在的に蓄積していた。そこに俺が≪雷撃符≫をぶちこんだからついに帯電状態を発症したわけだ。

 これであいつの対レーザー防御は剥がされた。もちろん俺はレーザーガンなんて持ってないから、そのことで三条院が警戒した様子は無い。帯電状態なんて気にしてもいないようだ。余裕の笑みを浮かべている。


「……へっ、効かねえなあ、レベル6のステータスで撃たれても。

 しかしレベル6のお前がなんでこのスキルを使える? てめえ……チーターか?」

「いいや? 俺はちゃんとルールを守ってる、始めたばっかの初心者だ!」


 ≪雷撃符≫を習得できる陰陽師インヤンマスターは上位クラス。俺のレベルでは絶対に就けるはずがない。

 それで三条院は俺をチーターだと思ったみたいだ。


 でも別に警戒した様子じゃない。ただ不思議がって不審に思ってるだけだ。

 そりゃ大したダメージじゃなかったもんな。未だにこいつは俺を舐めてる!

 帯電状態はあと何秒だ!?

 ≪ベルセルクハート≫の後遺症で回復不能なのはあと何秒だ!?

 とにかく、その間に決める!


「≪エイミング≫!」


=====


 ≪エイミング≫


 もしレーザーガンで背教者を処刑したいなら、後頭部に銃口を突きつけてから引き金を引けば良い。

 しかし、もっと手軽なやり方もある。……撃つ前に、よく狙いを付けるのだ。


-----


 体内のナノマシンに働きかけて神経を強化し、射撃精度を上げます。

 15秒間、自身が[射撃]を行使する際に自動で命中補正が掛かります。


 威力:Lv1/5

 効率化:Lv1/5


 消費:5NP


=====


 スキルを発動すると、俺の視界にチープなロックオンマークが浮かぶ。

 狙うは三条院、ただ一人!

 残りNPはたったの1%になっちまったが……関係無い!


「俺が何だろうと、今、ここで!

 俺はお前を許さない!!」


 ……これは、何だ? この気持ちは。

 俺は何が許せないんだ?


 孝行娘を殺されたことか?

 それは確かに、物語ゲームの中の出来事だけど。


 謂われ無き悪意を向けられたことか?

 いや、そりゃムカつくけど許せないって言うよりもう関わりたくないって方向だし。


 ()()()()()()()()ことか?

 それだと八つ当たりくせぇなって気もするけど。


 分からない! 知るか!

 それでも俺は!

 ここで負けたくない!

 こいつには自分がしたことの報いを受けさせなきゃならないんだって、俺はどうしてもそう思うんだ!


大魔晶石アドミンコンソール管理結線マスターパス、方舟八号棟メインサーバーに接続。

 脳波及び遺伝子照合、オールグリーン。接続者を第23代『神』・マサルと承認。

 第7211群粛正武装、安全装置解除アンロック


 隣でホログラムのお姉様がそれっぽいアナウンスを読み上げる。

 ただのスキルとは違う。身体の延長を動かすような独特の感覚があった。


 俺の額に埋め込まれていた魔晶石コンソールが輝く。

 一応リアル素顔を隠すため、俺は顔を覆っていたけれど、それでも額の光はもう隠せない。

 点滅なんてレベルじゃなく、目も眩むほどの光を放っていたからだ。


「なに……?」


 唖然とする三条院。

 俺はただ、俺の中に渦巻く怒りを、命令信号としてこの世界に叩き付けた!


=====


 ≪天罰≫


 は神の権能。

 全ての背教者を焼き尽くす誅戮ちゅうりくの光。


-----


 方舟各所の天井に配置されたレーザーガンを操作し、銃撃を加えます。

 大範囲の敵に対して莫大ダメージを与えます。

 さらに対象のカルマ値が一定以下の場合、追加で大ダメージを与えます。


 属性:[射撃][レーザー][エネルギー]


 威力:Lv1/5

 効率化:Lv1/1


 消費:捕捉数×100ストーリーポイント


=====


 俺が右手を振り上げると、空が輝いた。

 都市の明かりが無い山奥からみた星空のように、無数の光が空に灯る。

 赤く。紅く。朱く!


「天・罰・覿てきめん!!」


 ZAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAP!!

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