1-7.5「パンツ!」
オマケです。
「はあ、サッパリした」
浴槽から出て、こんな風に呟いた。
言っている内容の割には溜息が出ているが。
お風呂で入っている間、アノムに覗かれたりしたが、きちんと隠しておいた。来ると思ったのでタオルを持ち込んでいたのだ。予想通りだったぜ。
お風呂の洗い場で体を拭き、腰にタオルを巻いて脱衣所へ出る。てっきり待ち伏せでもされているかと思ってタオルを巻いていたのだが、考え過ぎだったようだ。
予め用意していたパンツを履く。ズボンも履いて、脱衣所のドアを開け・・・・・・、ちょっと待て。あいつ、服着たのか?ここを開けたら全裸で立っていたとか冗談じゃ済まないぞ。冗談抜きで犯罪者だ。タオルの時点でも危ないが・・・・・・。一応訊いておこう。
「おーい、アノムー、服着たかー?」
「着たよー。安心して出てきて」
そう言われるとかえって怪しいな・・・・・・。まあでも、着てなかったら着てなかったでいいか。ラッキースケベって事で。
そう思ってドアを開ける。するとアノムは服を見せびらかすようにポーズを決めていた。
左手を頭の後ろに回し、右手は腰に。顔は若干上を向いており、目線はこちらを見つめている。右足に重心を傾け、左足は膝が軽く曲がっている。
端的に言うとモデルのようなポーズだった。
モデルと違って背は低いし胸もないのだが。
「どう?」
「いや、どうと言われても・・・・・・」
ひとつだけ問題がある。その服装だ。
きちんとTシャツを着てはいる。いるのだが、異常にサイズが大きい。おかげで手が完全に隠れ、裾は太股まである。しかし問題はそこではない。問題は、
「お前、そのTシャツの下って、ズボン履いてるのか・・・・・・?」
そう、その下である。
太股まであるTシャツの下は、何も見えないのだ。この状態では、Tシャツしか着ていないように見える。果たしてその下には、ズボンを履いているのか。或いはパンツなのか。はたまた何も履いていないのか。そのどれなのかによって、俺の理性に多大な影響を与えるかどうかが決まる。もし何も履いていなかったら俺は逃げる。きっとそのまま一緒にいたら俺は本当に犯罪者になってしまうから。
なんて思っていると、
「さあ?どうなんだろうね?」
とか言ってきた。
馬鹿なのかコイツは。その言葉が男の心をどれだけ揺さぶると思っているんだ。襲うぞコラ。
「とりゃー」
「え」
と言うことでTシャツを捲ってやった。
Tシャツの下から出てきたのは、
「パンツ!」
なんと!パンツだと言うのか!ズボンでもなく裸でもなくパンツ!しかも純白だと!?清楚さ!そして程よいエロ!それらを兼ね備えた純白のパンツ!しかもただ白いのではない!細かい刺繍がしており、オシャレさを兼ね備えている!完璧だ!完璧に俺好みだ!
「へ、へ、」
「へ?」
「変態ーー!!!!」
顔を真っ赤にして叫ばれた。耳まで真っ赤だ。
今の声、絶対他の部屋に届いてるよな。通報されないだろうか・・・・・・。
「い、いや、お前が誤魔化すからなんとなく捲っちゃって」
「なんとなくでパンツ見ないでよ!」
「じゃあズボン履けよ!」
「ぐーーーー!」
「がーーーー!」
傍から見れば確実にアホだな、俺達。
まあ、この後何事も無かったように仲直りするのだが、そこは割愛しよう。
ふう、やっぱりアホだな。俺ら。