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俺とアノムの同居生活  作者: 漆月零
1話 同居、始めました
1/9

1-1「もうこの時点でダメだな」

「あー、空から美少女とか落ちてこないかなー」


 俺好みの子でお願いします。

 と、俺は住んでいるアパートの側で呟いた。久しぶりのアイスを食べながら。

 とかフラグを立ててみるけどありえねーよな。だって、空からだぜ?上にヘリコプターやらなにやらが見えていたらそこからって想像つくけど、それすら見えない場合は宇宙からって事になる。絶対大気圏で燃え尽きるな。流星と化すよ。それでも落ちてくるっていうんなら、そいつ何で出来てんだよ。少なくとも生物じゃ無理だな。いや、待てよ・・・・・・?大気圏突入用の何かしらの機械に乗って大気圏を越えて、その後そっから出れば行けるんじゃないのか?・・・・・・まず、そんな回りくどいことする奴がいないよな。それに落ちてきた場合、そこに主人公がいるから助かるわけだけど、いなかったら即死だしな。

 つか、あちー。六月じゃねえよこれ。そういやニュースでも言ってたな、七月中旬並って。これが地球温暖化の影響なのか。気をつけねーとな。今のところ何もしてないが。ちなみに暑いのに外にいるのは、外の方が涼しいから。このアパート、家賃安いし、家賃に合わない広さですげーありがたいんだけど、冷房?なにそれ知らない状態だから困る。まあ、風は通るからいいんだけど、それでも暑い。フリーターが贅沢言うんじゃねえとか言われそうだが、マジで死ぬ。冗談抜きで熱中症になる。こうしてアパートの影で風を受けながらうちわ仰いでる方がよっぽど涼しい。

 でも、流石に戻ろう。もう既に三十分は経過してる。暑いのは皆同じなんだから。・・・・・・やばいな。暑さで喋ってることが繋がらなくなってきた。

 部屋に戻ろうと歩き出す。そして、階段の前で立ち止まった。

 ────なんで俺の部屋は二階なんだ。階段を登らなくちゃいけないじゃないか。まあ、一階が空いてなかったから二階にしただけなんだが。

 なんて考えつつ階段を登りきり、ドアを開ける。鍵はかけてない。盗まれて困るものなんてないしな。こんなボロアパートから盗むバカはいないしな。もしいたらそいつは頭おかし


「やっほー」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 いとしか思えないな、じゃなくて誰だこの美少女。空き巣か?


「不用心だよ?部屋の鍵も閉めないで」


「えっと、あなた誰です?」


「神」


「な、なんと?」


「だから、神」


 神?苗字かな?


「神さんですか。な、なんで俺の家にいるんです?」


「いやー、天界から見てたら君の生活がつまらなそうだったからね、来てみた」


 頭おかしいのだろうかこの人。天界って・・・。

 それより追い出さなければ。


「出てってください。俺の家です。警察に通報しますよ」


 このセリフって軽く脅しだよな。


「無駄だよ?私姿消せるし」


「姿消せるって、厨二病長引いてるんですか」


「いや、事実」


 尚更厨二病じゃないか。


「んなわけで、私ここに住むね」


 にしても、この人可愛いな。アイドル以上だぞ。ふーん、ここに住・・・・・・。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」


 いやいや。


「どこが『んなわけ』なんですか。住む?新手の詐欺ですか?」


「違う違う。ああ、大丈夫だよ。食費とかいろいろの費用はかからないから。いやでも、娯楽に関してはかかるかな・・・・・・?」


 話通じてねー。

 だれかに通訳をお願いしたい。この人と会話できる気がしないんだ。


「そうだねー。私はこの辺で寝るよ。うわ、見た目より薄い」


 この辺って、俺の布団じゃないか。あと硬いって余計なお世話だ。


「この枕低反発だー。いいよね、低反発。低反発マットレス買いなよ」


「なんであなたのために低反発マットレス買わなくちゃいけないんですか。突然押しかけてきて住むとか言い出した人にかけるお金はありませんよ」


「つれないなー。まあ、君の生活見てると結構苦しそうだから無理強いはしないけど」


 余計なお世話だ(二回目)。

 この人ストーカーか?僕の私生活覗かれちゃってるんだけど。


「てや!」


「ぐへうッ」


 軽い腹パンを食らった。何でだよ。


「どう?腹パン」


「どう?ってなんですか。突然腹パン放つ人の態度じゃないです」


「むー。そういう反応してるから友達いないんだよー」


「余計なお世話だ(三回目)」


「おやおや、カッコまで丁寧に声に出しちゃって。三回目ってことは心の中で二回言われたんだね」


 なんなんだこの人。

 はっきり言おう、ウザい。顔が可愛くなければぶん殴ってる。


「じゃあ住むから。決定。神の決定には逆らえないよー」


「どんな権限持ってるんですか。逆らえますよ」


「逆らってごらん?無理だから。あと、世界を操る権限を持ってる」


「じゃあ、追い出しますね」


 とりあえずベッドから起こさなければ。

 手をつかもうとすると、手は通り抜けた。へ?


「え?いや、でも、へ?あ、あれ?」


 どういうこと?


「面白いぐらい動揺するね」


 笑うな。え、どういう事だ?


「いまねー、君以外に見えないようにしたんだよ」


 は?見える見えないじゃない。触れるか否かだ。


「つまり、実体を無くした。実体をなくした状態では君以外には見えないんだよ。そういう風にしてあるからね」


「な、何言って」


「まあまあ、落ち着きなよ。私の能力を実感して感動に震えるのは分かるけどさー」


 いや全然感動してない。どちらかというと恐怖だ。


「あ、か、神って」


苗字じゃなくて、


「神様のこと・・・・・・?」


「今更かい」


 神、さま?た、確かに納得出来なくもないけど。いやまず神様がいることが納得できない。


「飲み込みが遅い!」


 頭にチョップを食らった。


「もっと臨機応変に。人生成功の秘訣だよ?」


「で、でも」


「うろたえない」


「────」


「いい?うろたえない。臨機応変に。状況をよく把握して、落ち着くんだ。いいかい?今君の前には美人の神様がいる。それが同居を求めているんだ。こんな美人が。いや、美少女と言った方がいいかも。まあ、胸はないんだけどね。でも君は好きでしょ?背が小さめで貧乳、けれどロリではないというこの見た目が」


 なんで俺の好み知ってん・・・・・・。

 おっと勘違いするなよ?俺はそんなロリコンじゃないからな?あくまで貧乳が好きなだけだ。


「まったく、奇跡的だよね。君の好みと私の見た目が完全に一致しているなんて」


「自分褒めすぎだろ。自分で自分美人とか言うな」


「敬語なくなったし。神様に敬意ってものはないの?」


「ない」


「言い切られた・・・・・・」


 そうだ。そうだよ。よく考えろよ。夢にまで見た美少女との同居生活だぞ。しかも完全に僕好みだ。もういいじゃないか、詐欺でも。いやよくないか。


「はあ、心配性だなー」


「心配症で優柔不断なのは軽く気にしてるんです。ほっといてください」


「お、敬語に戻った」


 あれ?僕も意識してないのに敬語になってる。神の威厳的な何かか?

・・・・・・いや、ないな。


「いいねーいいねー。その調子で私に跪いてみてよ。ドMの徹くん」


「ドじゃない。ていうかホントに威厳ないな」


「Mなのは認めるんだー。変態だなー徹くんは」


「M=変態という考えは止めましょうよ。その考え方、失礼ですよ」


 僕はその考えが気に入らない。だって本当に失礼じゃないか。あと少なからず傷つく。


「あと、泊まりに関しての件ですが」


「お、許可してくれるのかい?」


「・・・・・・一晩だけなら」


「なんか背徳的なセリフ」


 確かに。さっきのセリフって本来男女逆だよな。じゃないじゃない、テンションがおかしいな、俺。


「にしても一晩かー。せめて1年で」


「いきなり三百六十五倍を求めるな」


「わかった。君はツッコミの時にのりに乗ると敬語がなくなるんだね」


「のりに乗らないで、ノリに乗って」


「もう敬語使う気ないじゃん」


「あーはいはい分かりました。敬語に一貫しますよ。あと一晩なのは確定です」


 それ以上は本当に危ない。俺の理性が。


「フッフッフッ。ならば仕方あるまい、君を私なしでは生きられない体にしてあげるよ。あ、想像より変態的」


「あんた俺の理性をぶち壊したいんですか」


「もし壊れたら実体を消して逃げるね」


 あー、安心と落胆が同時に心に・・・・・・。


「んー、腹減った」


「食費かかんないって言ってたじゃないですか」


「嘘だよ。減ってるのは君でしょ?」


 まあ、減ってるのは事実だけど。だって昼食買いに行こうとした時に押しかけてくるんだものな。


「あー、今から買い物行くんですがあなたはどうするんです?」


「どうしよっかなー。あと呼ぶ時はアノムでいいよ」


「あ、アノム?」


「うん。私の名前」


「なんか神っぽい・・・」


「なんで嫌そうなの」


 こいつが本当に神であることが実感出来てきた気がする。いや、実体を消された時点でめちゃくちゃ実感してるけど。


「買い物に行くっていうんなら私も行くよ。実体は・・・・・・そうだね、消してく」


「え、なんでです?」


「君が逮捕されるのを防ぐため」


「いや女性と一緒にいるだけでは逮捕されませんよ。もっとこの国の法律を学んでください」


「そうじゃなくて、君が少女を騙して一緒にいるって思われかねない」


「俺そんなに悪人面してますかねえ!?」


 それに少女って・・・・・・。まあ少女に見えるけどさあ。


「じゃ、行こうか♪」


「ノリノリですね・・・・・・」


「そっちはテンション低いね」


 俺と女神の同居生活は、こんなゆる~いやりとりから始まった。もうこの時点でダメだな。

こんにちは、漆月零です。しちつきれいと読みます。この物語は伏線やら何やらのないゆるいお話ですので、ゆるくお読みください。更新はゆっくりですが、よろしくお願いします。

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