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ショート・ショート(11〜20)

SS18 「年上の彼女」

「初体験は年上のお姉さんとしたかったな」

 何気ない口調で彼が言った。

「……そうなの?」

「そうそう。相手は綺麗なお姉さんで、何も知らない俺は優しく手解きを受けるんだよ」

「へえ?」

「で、お姉さんは何だかんだで凄くエロくて、あんなことから、あ~んなことまで」

「あんなことって?」

「あんなことだよ。……怒った?」

「別に?」

 まあ、私の膝の上に頭を乗せながら言うことじゃないかなって思うけど。

 私が膝を動かしたので、ずり落ちた彼は小さく悲鳴を上げた。

「で、実際はどうだったの?」

「何が?」

「初体験……年上だったの?」

「どうだったかな? 風俗だったから年齢はイマイチわからなかったから……まあ、時間内は優しくしてもらえたよ。プロ意識って大切だよね」

 何やら真剣な顔で彼は頷いた。何を考えているのやら。

「その後も色々と想像していたんだよな。お姉さんに手解きを受けた後は強気な幼馴染とか、慕ってくれる可愛い後輩とか、メガネの図書委員とかとキャリア・アップ」

「いたの?」

「いや、いなかった。あ、でも慕ってくれる後輩はいたよ」

「貴方、男子校じゃなかったっけ? 中高一貫の」

「だから、色々と想像していたんじゃないか」

 彼は口を尖らせた。

「しかし、人生は想像どおりにいかないものなのかもな」

「当たり前でしょう?」


「だから、君に出会えたのかもな」

 彼は私の頬を撫でた。君みたいな人に会えるとは思わなかった、と。

「……また、そんなことをいう」 

 私はため息をついた。彼は笑いながら目を閉じる。


 彼は私よりかなり年上だが、性的な経験や知識は私の方が上だ。

 ただ、私の経験は身の丈以上のものを求めて、貪欲に快楽を貪った結果に得たものだ。

 気がついてみると私には何も残っていなかった。

 その空虚を埋めてくれたのが彼だ。

 彼は飾らず、求めるよりも与えることを自然に行える。


「貴方って本当に・・・・・・」

「何?」

 何も言わず、彼の頬を撫でた。きょとんとした表情で私を見上げる。

 その顔があまりに子供っぽくて私は微笑んだ。


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