復活の時11
「なんで、僕が消えなきゃいけないんだ!」
苦しみながら叫ぶ。
悲しそうな表情で、悔しそうに。
白月は、怒り狂っていた。
「たった一人の家族を殺されて……目の前に現れた奴は黒陽だって偽って、許せるかよ!お前達は人間だけしか見てない、悪魔の気持ちに気付いた事はあんのかよ!」
悔しくて堪らない。
そんな感情を爆発させて全員を睨み付ける。
水槽を指差して怒鳴った。
「こいつらを見てみろ!家族や恋人を失った悲しみに付け込んで、こんな姿にさせられた人間がやったんだぜ?笑えんだろ?」
「お前だって同じ事してただろ?人間をダークネスに」
「先にやったのはお前等だろうが!悪魔と融合?ふざけるな、俺達だって生きてんだよ!」
白月の手から氷の刃が生まれる。
那智は咄嗟に刃を掴んで首を振った。
「駄目だよ、暴力で解決するのは駄目」
「だから最初に」
「そう、君が同じ事をしたら駄目だ、あいつらと同じになってもいいの?」
目を見開いて刃から手を離す。
「お前、まさか」
一瞬、視えた兎。
目の前に立つ人物も水槽の仲間と同じ匂いがして怒りが静まる。
「……なぁ、そこのハイブリッド」
落ち着いた声で呼ばれた夜。
抜ける闇に抵抗するのを止めて座る。
疲れたように息を吐いて問う。
「もしも、お前が世界を変えるとしたら何をする?」
「……まだ、分かんねぇよ、敵だと思ってた悪魔が被害者だって……母を殺されたんだ、守れる自信なんてない」
「いいことを教えてやる、そこの死にぞこないを名乗っている奴も聞け」
白月は語った。
母を殺した真犯人を。
「お前等を、母を襲ったのは人間だ」
言葉が出ない。
記憶にあるのは、確かに悪魔だ。
人間だと言うのなら、父は知っていたのか?
みつきは不安げに夜を見つめる。
「な、にを?」
心臓を掴まれた思いのまま、声を出す。
フィルデスも息苦しそうに立ち尽くしている。
「人間は、お前達を肇の息子だと知って襲わせた研究によって生まれた悪魔にな」
その場にいた者達も愕然とし、声を発する者はいなかった。
しかし、みつきは笑みを浮かべると口を開く。
まるで誰かが代わりに話しているかのような奇妙な感覚に夜は気付いて振り返る。
「そこまで知っているとは、流石ですね闇の王」
ケタケタと笑って白月を挑発した。
違う、みつきでは無い。
警戒する夜の方を向いて白い歯を見せた。
「ここまで我らの為に戦ってくれて、感謝してますよ?ですが、貴方達は反逆者として追放しましたから」
「は……?」
「我等は、そこの死にぞこないを殺せと命じたのに生きているという事は反逆もを同じ」
那智は唇を噛みしめて睨む。
「ふざけんなよ、糞婆!こいつは俺のもんだ、好き勝手に殺されて堪るか!」
「ふふ、悪魔ごときが偉そうに」
白月と良心がムッとした顔でみつきに視線を送る。
胸に氷の刃が刺さり、膝から崩れ落ちた。
夜は身体を支えて声を掛ける。
息をしている事に安堵し、溶ける氷を横目に再び警戒した。
「ちっ、逃げたか」
婆の気配を失い、舌打ちをする。




