復活の時10
氷の刃が降り注ぐ中、結界の中で戦闘を見守る六人。
潤と黒陽は戦えないみつき達を守るべく構えたまま目で追う。
夜とフィルデスの動きが鈍くなる。
魔力が無くなっているのか、苦戦する二人。
白月はチャンスとばかりに巨大な氷を作り出す。
夜は逃げるよう叫ぶも一瞬で地面にぶつかり、氷の礫が襲う。
「あははははははははははっ!しんじゃったぁ?」
地面に倒れる姿に笑い声を上げた。
もう、魔力は残っていない。
助ける事が出来ずに終わってしまうのか。
夜とフィルデスは力の入らない身体を動かして戦おうとする。
まだ、やれる、まだ。
二人の前に影が現れ、ハッとした。
みつきと那智が立っている。
怪我が無くてよかった。
「ナイト、魔力を補充して!白月君を助けよう!」
本当は、傷付けたくない。
それなのに、身体が勝手に動く。
白い肌に尖った歯が食い込む。
鉄の味しかしないはずの血液は甘く、力が戻って来る。
契約者の血だからだろうか?
「……っ、私は大丈夫だよナイトの力になれるなら」
本望だと言われ、嬉しくなった。
口の端から流れる血を拭い、白月を睨む。
「兄貴、いけるか?」
フィルデスを見ると、夜は目を丸くする。
何故か那智と取っ組み合いをしていた。
「いいから飲みなって!」
「いいって言ってんだろ!」
「普段は無理矢理、噛みつくくせに!」
「何やってんの?」
呆れた表情で様子を伺うが、お互いに譲ろうとはしない。
白月も攻撃するのを忘れて唖然としていた。
苛立った那智は、指を二本立てて提案する。
「自分で飲むか、口移しか選んで!」
「口移しで!」
「阿保言ってねぇで、さっさとしろよ糞兄貴!」
思い切り後頭部を蹴り、怒鳴ると仕方無さそうに口を開けた。
ムスッとして肩を出す。
骨ばった肩に噛みつき、血を吸う。
「なんで素直に飲まないのかね、変な意地張っちゃってさ」
終わるのを待ちつつ文句を言うと、フィルデスは目を細める。
生き返ったばかりで負担を掛けたくなかったのだろう。
ゆっくりと肩から口を離して噛み跡から流れる血を舐めた。
「……ありがとうな」
「はいはい」
待ちくたびれた態度の白月は、やっと戦えると笑顔になる。
行って来るとみつきと那智に背を向ける二人。
早速、闇を祓う準備をしようと腕輪に視線を落として気付く。
氷が腕輪を包んでいて力が使えない。
冷汗が流れる。
「やっと気づいてくれたね、下手に使われたら僕は負けちゃうし?」
これでは、闇を祓えない。
どうすればいいのか。
良心は泣きそうな顔で睨む。
「……やってくれたな」
潤が呟く。
夜は別の対策を考えるが、浮かばなかった。
焦りと絶望が広がる中。
フィルデスは那智を見る。
「さて、どぉするのかなー?」
ケラケラ笑う白月は、そっと頬に触れた手に気付き笑うのを止めた。
「闇に堕ちた者に光の加護があらんことを」
「んんっ!?」
唇と唇が合わさる。
皆の視線は白月と那智に集まっていた。
急な行動に言葉を失っていると唇が離れる。
なんのつもりかと口を開くと同時に心臓が強く跳ねた。
胸を抑え、呻く。
開いた片手から闇が漏れ出す。
「お前、何を……」
恨めしそうに言うが、苦しいのか声が掠れている。
「油断したな、浄化が使えんのは巫女だけじゃねぇんだなこれが」
フィルデスが笑って言うと悔しそうに顔を歪め、唇を噛みしめる白月。
力が戻りきっていないのか、少し顔色が悪くなっている那智。
「浄化する方法が方法だからやりたくなかったけど、仕方ないよね?」
思わぬ逆転に全員は、気を取り直す。
闇が消えていく身体を抱きしめる様に跪く。
消えるのが怖いのか震えていた。




