復活の時7
木槌が夜の鎌とぶつかり合う。
結晶が砕け散る様子に白月は眉を下げる。
初めてここに来た時の事を思い出す。
肉体を失った心である存在だったが、姿を認識されてやっと肉体に近い存在になれた。
認識してくれたのは、見つけてくれたのは。
「牛頭のおじさん、待って!これ以上戦ったら結晶が壊れちゃうよ!」
牛頭と夜の動きが止まる。
白月が走って牛頭の前に立った。
「駄目だよ、ここはみんなの魂が戻ってくる場所なんでしょ?帰る場所がなくなっちゃうし、この人達は家族を迎えに来ただけなんだ」
地面に落ちている破片を見て木槌を降ろす。
ゆっくりと座り込み、手を伸ばして拾った。
―The place where the soul lies here
「そう、おじさんが教えてくれたじゃない……魂がちゃんと帰ってくれるように見守っているんだって」
―Is it the family who came to pick up a soul?
「魂じゃないけど、ここに眠っていた人の家族だよ」
―not an enemy?
「うん、敵じゃない」
牛頭は理解したのか、申し訳なさそうに頭を下げた。
咳払いをして姿を変える。
筋肉質な男性に戻った牛頭。
「すまなかった、結晶に眠る魂を喰らいに来た敵と勘違いをしてしまった」
胡坐をかいた足の上に白月を乗せて再度謝る。
「えっと、あんたは結晶を守っているだけの番人ってこと?」
闇の主が放った敵でないことを確認し、ため息をつく。
無駄な戦いだったらしい。
黒陽も白月を殺そうとしている敵と勘違いしていたのか何とも言えぬ表情で立ち尽くす。
「だから、やめてって言ったのに聞いてくれないんだもん」
「お前がちゃんと説明しないからだ」
「したっていつも興奮して聞いてくんないじゃんか!」
言い合いをする二人に三人は顔を見合わせる。
「どういう関係で?」
気になって聞くと牛頭が答えた。
心のみで彷徨っていた白月を偶然見つけて拾っただけの関係だと。
泣き声を耳にし、戻ってきた魂が結晶に入れなくなって困っているのかと確認したが見つけたのは捨てられた心だった。
理解した途端に姿が見えて懐かれただけと話す。
「じゃあ、お前が消えなかったのはこの人が認識してくれたおかげってわけか」
「そう、だからこうしてお兄ちゃんに会えたんだよ」
残るは闇の主に奪われた体を取り戻すだけ。
どうやって戦うか作戦を立てていると扉が開き潤と紫苑が顔を出す。
「潤!と……えっと?」
「紫苑ちゃんだよ」
みつきは嬉しそうに近づいて闇の力から解放されたことを喜ぶ。
敵であったにも関わらず、何も言わずに受け入れてくれていることが嬉しい紫苑は泣きそうな顔で謝る。
「夜、紫苑から聞いたんだが白月と戦う前に良心を探さなければいけないらしいんだ」
真剣な表情で伝えると夜はある場所を指さす。
男にピッタリとくっついている白月を見て目を丸くした。
「え?」
「あれが良心だ」
普通に存在していることに対し脱力する。
探す手間が省けたのはいいが、納得がいかない。
あとは、那智とフィルデスが戻ってくれば次へ進めるがいまだに帰って来ない。
心配しつつ、状況を伝えていると扉が開く。
漆黒のローブを被った男が現れ、面倒くさそうに手招きをする。
「俺は、死者を迎えに来た死神だちょっと呼んでくるように言われたから一緒に来てくれないか?」
訳も分からずについていくと、那智が戦っている部屋にたどり着く。
扉を開けるとそこには動かない身体を抱いて俯くフィルデスがいた。
「え……?」




