血に染まる月と巫女3
巫女の登場により、ダークネスだけでなく悪魔側の者達も動き出してしまえば今までよりも苦戦を強いられるだろうという結論に三人は今後の戦闘について考えた。
三人で戦っているが、他のグループは四人で動いているのに対して僅かに不利な状況となっている。
せめて一人くらいどうにかならないかと悩む夜は、周りが自分自身に抱いている感情を想像し諦めに近い答えを出す。
どんなに頼んでも了承は得られないだろう。
「正直、僕達だけでは対処しきれない部分が出て来ている」
那智の言葉に二人は深い溜息を吐く。
「それに、婆達は巫女を俺達に押し付けようとしているのが問題だ」
ただでさえ、厳しいのに巫女の護衛を託されるなんて冗談じゃないと反論しようとしたが潤の話は終わっていないらしく黙って聞く事にした。
「守らせるという意味で押し付けるんじゃない、巫女の力を引き出す為に俺達が必要らしいんだ……利用しているって感じで了承したくは無かったが、特に夜の力を巫女が真の力を発揮するのに使おうとしている」
夜は無言で左目の眼帯に触れる。
眉を潜め目を閉じると拳を強く握り締めた。
しばらく静かになる部屋の中に小さな舌打ちが響いたかと思うと夜が立ち上がり部屋から出て行こうと扉に手を伸ばす。
伝え方が悪かったかと潤が弁解しようとするが扉を開けるのが早く、出て行ってしまった。
残された二人は気まずそうに視線を合わせると脱力する。
「兄さんの力は、婆様の為にあるんじゃない」
「分かってる、分かってるけど逆らえねーだろ?」
那智と潤は、やはり怒った事に困った表情で言葉を交わす。
昔から好き勝手に利用される事が嫌いなのは知っていたが、命令されたら拒否は出来ない事を理解して欲しいと心の中で文句を言う潤。
仲間から嫌われ、恐れられているのが辛いのも分かるが少しは大人になって欲しいものだと溜息を吐く。
「本当にガキだよな」
幼馴染でもある三人だが、長い付き合いでも理解しがたい事や不満もある。
「戦闘着は着用しない、エネルギー切れは起こす、気に入らない事があれば一人になりたがる……いい加減大人になれっての」
文句を言っていると那智が小さく笑みを浮かべて立ち上がった。
よくある流れだからか、何も言わずにスケッチブックを開く。
描き途中のダークネスの絵を完成させようと鉛筆を持つ。
「八咫、兄さんの監視をお願い」
スケッチブックから目を離さずに言うとどこからともなく姿を現した八咫烏は那智の指示に頷いて部屋を出ていく。
そっとしておきたい気持ちが無いわけではないが、勝手に動くと婆達が五月蝿いので八咫烏に監視を頼んでいる。
追いかけなくとも自分の住処に戻っているだろうと予想はつくがちゃんと婆の命令を実行しなければ後がめんどくさい。
八咫烏の眼を通して行先を確認して目を見開く。
「……兄さん、巫女と接触してる」
今回の戦いの報告書を書いていた潤にスケッチブックを差し出して言う。
受け取りながらため息を吐くと追いかける様に指示を出した。




