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闇色~DARKNESSCOLLAR~  作者: 春樹ン★
第一章 悪魔狩り
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復活の時

―っと、そうだ、夜ちょっと変わってくれ。


フィルディスの声に夜は立ち止まる。

何事かと思いつつも交代してやると潤に背負われている那智に声を掛けた。

小脇に抱えて少し離れた後、顔を真っ赤にした夜と八咫烏の羽で飛ぶ那智が戻ってくる。


「妖力の返し方を教えてから、返してもらいたかった……」


「何があったの?」


「聞かないでくれ」


ショックを受けている夜に質問をするみつき。

しかし、答えは教えてくれなかった。

遊んでないで先に行くと潤に言われ、三人は進む。

扉の出口を探すも一向に見つからない。


「なぁ、潤はさ……あいつの事どう思う?」


「白月か?」


問いかけに対して聞き返すとゆっくりと頷かれた。

しばらく考え、眉を寄せる。


「……正直、俺は完全に敵と見ている……兄貴を殺すほど闇に落ちたらもう」


「違う、違うよ!」


那智の声に三人は振り返った。

悲しげな表情で目を伏せる姿に顔を見合わせる。

なにが、違うというのか。


「あの子は、闇に囚われているだけなんだ……逃げても逃げても捕まってしまうくらいに深い闇に……」


白月と最後まで一緒だった、だからすべてを知っているといわんばかりの顔で意見を否定する。


「似てるんだ、あの子は僕と……どうしようもない悲しみと怒りのせいで戻れなくなってしまったんだよ」


兄を失った悲しみと、村人への怒りや憎しみによって生まれてしまった闇。

人を傷つけるうちに帰れなくなってしまった。

そう、伝えると助けだしたい気持ちを三人に言う。

潤は思った。

闇にいる白月を否定してしまったら、紫苑も否定することになってしまうと。

二人に違いはない。

原因があって闇に身をゆだねている。


「そうだな、俺達はここまで来てしまった以上は助けられる人間は助けないとな」


全員で頷くと先を急ぐ。

奇抜な色と形の扉を見つけて立ち止まる。

この扉を進んだら何が待っているのか。

慎重に開けると、大量の人形が置かれている部屋に出た。

レースのかかった椅子の上に誰かがいる。


「……待ってました、潤さん」


漆黒のドレスに身を包んだ紫苑がゆっくりと立ち上がり、無表情で言う。

狙いは潤だけなのか、指を鳴らして扉を出す。


「ほかの人には用はないですので……この部屋から数えて二つ目に半身の肉体が眠る部屋があります」


夜達は覚悟を決めた表情の潤を横目に先へ進んだ。

閉じる音が聞こえ、二人は静かに近付く。

スカートのすそを撮んで膝を少し曲げて挨拶をする紫苑。

指先に光る糸を通じて人形が動き出す。


『さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!これからとある少女の一生が始まるよぉ』


『闇の姫、紫苑はどうして闇に身を染めたのか!』


『それは、悲しい出来事のせいなのですぅー……えーん、えーん』


人形が話を始めた。

紫苑と同じ髪型の人形が大人の人形に虐められているシーンから始まる内容。


『やめて、お父様!お母様!』


悲痛な声を上げる人形を無視して殴り続ける。


『この悪魔憑きが!気味の悪い』


『人形を自在に動かすなんて、化け物よ!』


特殊な力を持っているせいで嫌われていたのか、大人人形だけでなく子供人形までもが暴力をふるっていた。

泣き叫んでいた人形は倒れ、動かなくなる。

その場で静かに泣いていると黒い靄が近くに現れて人形たちが歌いだす。


【悪魔と呼ばれた少女は嫌われていた

友達は人形だけで人間は敵

誰も愛してくれないせいで愛を知らない

闇だけがくれた愛情 人間なんてみんな悪

悲しいことなんか忘れてみんなみんな赤に染めちゃえ

逃げる人間なんて哀れなのかしら

忌み嫌う目が恐怖に染まる

あぁ滑稽ね愉快だね

愛情は闇だけがくれたのさ

すべては闇の王の為に真っ赤な世界を作ればいい

だけど……だけど?

人間にも愛情をくれる者がいた

どんどん気持ちが変わっていく

こんなの私じゃない!

「私はどんな生き方をすれば幸せなの?」

幸せなんてどこにある?

人間を信じて幸せになれるわけがない!

全部偽りだ!

こわせこわせこわせこわせ】


一斉に潤を睨む人形。

紫苑を惑わせる悪と認識しているのか。


「私は、もう……人間は信じたくないの、だからごめんなさい……終わりにしませんか?」


紫苑の言葉。

潤は何も言わずに立っていた。

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