血に染まる月と巫女2
朝日が登る前に解散となるのだが、今日はまだ話があるらしく場所を移動することとなった。
恐らく、やけに多かったダークネスの事なのだろうが場所を移動する必要があるのかと首を傾げて後を付いて行く。
適当な壁の前に立つと潤が那智に目を向けると何も言わずに貼ったばかりの絆創膏を剥して血の滲む部分を歯に当てて傷口を広げた。
線を引くように流れる血に夜は目を逸らす。
壁に鳥居に似た印を描くと人差し指と中指を立てて小さく呟く。
「開門」
短い言葉に印が反応すると淡い光と共に扉が開いた。
本来は「陰陽師」か「エクソシスト」しか使えない術だが、夜のチームにはどちらも存在しない為に術を知っている那智が特別に許可を得て使っている。
一枚一枚開いていく扉を進むと赤と青の炎が三人の姿をくまなく観察するかのように動いていた。
『悪魔狩り二名、式神使い一名の通行を許可する』
青い炎が言うと赤い炎が大きくなり、三人に入るように言う。
炎の中に入ると本家と呼ばれる場所に繋がっており、大きな屋敷が現れた。
ダークネスからの攻撃を避ける為に作られた空間にある屋敷には様々な式神や精霊などが警備にあたっている。
大きな建物の隅にある半分くらいの大きさの建物に移動すると直衣を着た者や純白のコートを着た者が一斉に視線を向けて嫌そうな顔をした。
「なんであいつが」
「仏や神にそぐわない奴が来た」
ヒソヒソと夜に対して陰口を言う者達を無視して奥へ進む。
この屋敷は陰陽師とエクソシストと悪魔狩りと呼ばれる者達で部屋が分かれており、その名にふさわしい作りの部屋が備えられている。
畳が敷かれた部屋は陰陽師。
タイルが敷かれた部屋はエクソシスト。
フローリングの部屋が悪魔狩り。
となっているが、式神使いの那智はどれにも当てはまらない事から潤と同じ部屋を使用していた。
夜は周りの人間を見て分かるように同じ屋根の下で暮らす事を好まない者の配慮と群れでの生活を拒否した為、特別に与えられた今は使っていない山奥に立つ建物の中で暮らしている。
見た目は廃ビルだが、中身は普通に暮らせる夜にとっては都の様な建物だ。
幼い時からそこで暮らしているので不満など無い。
「さて、早速だがお前達に話したいことがある」
部屋に入るなり、潤は椅子に座って話を始める。
自分の椅子に座る那智と窓辺に座る夜はなんの話なのかと真剣に聞いた。
「今回の戦いで分かっただろうが、ダークネスがやけに多く出現したのを本家の婆共が疑問に思って調査した所……夜、お前が助けたあの女に原因があったらしい」
確かに複数のダークネスに襲われていたが、人間を喰う事が奴らの目的なのだから少女が原因とは言い切れないと夜は答える。
腕を組んだ潤は小さく首を振るとそれだけでは無い事を説明した。
本家の婆が言うには数年前の戦いで行方不明となった巫女が関わっているらしく、その巫女を狙ってダークネスが大量に現れたのではないかという予想が挙げられている。




