悲しき運命7
諦めてしまうのか。
残念な気持ちのまま、潤は黒陽から離れる。
もう少し、骨のある男だと思ったが期待が外れた。
別室に行ってしまったのに気付き、拳を握る。
双子が生まれると災いが起きると言い伝えのある村に暮らしていた黒陽。
話を聞いてもらいたいと深呼吸をして別室の扉を開けた。
傷の治療が終わったのか眠っている那智の姿に申し訳なさを覚える。
夜に睨まれているが、気付かないふりをして全てを話す事を伝えた。
「俺と白月は、もともと双子だった」
村人に気付かれないようにと隠して育てられた白月は、外の世界を知らずに時の流れに身を任せていた。
しかし、不憫に思った父親が母親に内緒で夜中に外へ出してしまう。
気付いた黒陽が止めようとしたが、侵入者が入らない様にと見回りをしていた村人に見つかってしまった。
家族は捕えられ、黒陽と白月の目の前で両親が殺害され残った二人は崖に連れて行かれる。
深い崖の前に立たされ、死を覚悟した二人は手を繋いで押される前にと飛び降りた。
強い衝撃と焼けつくような痛みを感じつつ、白月を探す。
星空が目の前に広がるのを見ていると、泣きそうな顔の白月がいた。
偶然、黒陽の上に落ちて助かったらしい。
そこで、息絶えてしまったはずだが何故かこうして生きている。
記憶が抜け落ちているのだと話した。
「それって、多分……白月君の今を考えるとなんだけど」
話を聞いたみつきがある事例を口にする。
悪魔に身を売った人間は、一つだけ願いを叶える代わりに身も心もダークネス以上の悪魔に変わってしまう。
願いは、強い思いに反応して叶えられる為に本人が気付かない所で願いが叶っているらしい。
「昔の記憶……巫女として力を授かった時に与えられた知識の一部に過ぎないんだけど過去にそんな事例があったの」
巫女の記憶を語る姿に夜は感心した。
戦闘の時も使いこなしている所を見ると結構な数の修業をしてきたのだろう。
と、話からずれている考えをしていた。
「じゃあ、俺は……」
「つまり、白月の願いが作り上げた……生きる屍だ」
やっと分かった正体に黒陽は頷く。
辻褄も合う事で、覚悟は決まった。
問題は、監視の中でどう動くか。
さすがに会わせてはもらえないだろう。
「お前はどうしたい?」
夜に聞かれ、正直に答える。
「白月を、闇から救いたい」
「でも、お前の事を信じていない」
「それは……」
「……ううん、あの子は気付いているよ」
四人は一斉にベッドを見た。
眠っていたはずの那智が身を起こして黒陽の腕を掴む。
深々と刻まれた傷。
そう、崖から落ちた時に二人に付いた物。
「これを見て気付いたみたい」
「そうか、これは誰にも教えていない傷……これがあれば」
「じゃあ、作戦を考えよう」
乗り気な潤がそう言って皆を近くに呼ぶ。
小声で伝えると全員は頷く。
しかし、監視はどうするのかという質問を黒陽がした。
「監視は俺だ」
潤が任されていると言い、全員が安心する。
婆様に対しての忠誠心が大きいのもあって都合のいい状況に、感謝した。
次の赤い月までに準備をしようと決め、今回は解散となる。
それぞれの部屋に戻る途中。
潤の携帯が着信を知らせた。
ディスプレイに表示されている名前は、紫苑。
何かあったのかと別室から自室に戻る那智に謝り、適当な場所に移動した。




