悲しき運命5
那智からの連絡を受けた夜は、待機している潤に伝える。
黒陽がどんな関係なのかは知らないが、面倒なことにならないで欲しいと願う。
「もしも、来たら守ることは難しい」
険しい顔で言われ、夜も頷く。
真っ赤になった月が闇の中で怪しく光る。
これ以上の負担は避けたい。
なんの力もない大人が来ても邪魔なだけだ。
「とはいえ、今日も出血大サービスで困るな」
「私、やれるかな?」
不安げな表情のみつきに二人は大丈夫と言って頷く。
両手首に銀色のバングルをはめると気合を入れるように小さく拳を握る。
周りに集まったダークネスは、三人に気づいて威嚇した。
本体はどこだと探しながら攻撃をする。
「みつき、頼んだぞ」
桃色に輝く陣の中で呪文を唱えるみつき。
バングルに付いた石に陣が吸い込まれる。
それを合図に下がる二人。
片手を上に伸ばすと同時に石が光った。
「天の裁きを闇の者へ与えよ」
光が降り注ぎ、消滅させていく。
少なくなったダークネスの中に暗い表情で立つ子供を見つけた。
怖がることもしない子供は恨めしそうに三人を見る。
「パパとママを返して……お前たちのせいでいなくなった……返せ」
闇が子供を包む。
黒いクラゲのような姿のダークネスになり、全身に纏わりついた触手を伸ばして地面を抉る。
威力の高い攻撃に三人は警戒心を高めた。
「はぁい、僕の作品に怖気づいちゃってる間抜けな人達!今回は最高の闇を与えて見ましたぁ!あははははっ」
耳障りな声に夜は舌打ちをする。
白髪の少年は悪さを思いついた子供のような表情で笑っていた。
「アルビノ野郎!」
「はぁ?僕はそんな名前じゃありまっせーん」
「白月!」
白月が名前を言おうとするが、別の声が名前を呼んだ。
全員が声のした方を見る。
そこには黒陽が息を切らして立っていた。
「あいつ……」
潤が舌打ち交じりに言うと白月はジッと見つめたまま動かなくなる。
気づいたみつきは二人の関係がなんなのかと考えた。
黒陽は嬉しそうに笑う。
クラゲが動くと黒陽の足元に触手が突き刺さった。
唖然とする表情を赤い目が睨む。
「あんた、誰?」
「俺だ、黒陽だよ!ずっと探してたんだお前を……一緒に帰ろう!」
白月は怒りに震え、クラゲに合図を送る。
二人の事で気を取られていた夜と潤は触手に身体を封じられ、流れてきた電流のダメージによって動けなくなった。
みつきが回復に回ろうとすると氷の刃が行く手を塞ぐ。
「黒陽?嘘だ、黒陽は死んだんだ……僕が兄さんを殺したんだから間違いない!」
両手を向けて攻撃をしようとする姿に夜は立ち上がり、邪魔をしてくるクラゲと戦う。
その隙にと潤が白月に向かって走った。
触手を切り裂き、攻撃出来ないようにするも生え変わってしまいきりがない。
「ボクノパパとママをカエセ!」
クラゲの叫びに夜は意識を集中させる。
子供の闇に触れようと手を伸ばした。
あの時は、みつきを助ける為に助けることが出来なかったが今度はちゃんと助けたいと思い触れる。
公園で倒れる両親と、それを見つめる子供。
夜は、悲しみを覚えた。
返せと言っていた子供の声。
だが、もう両親は帰って来ない。
殺されたのだ。
「お前の両親はもう、帰ってこない……あいつが、白月が利用する為に殺した」
クラゲの中にいる子供が涙に濡れた目を震わせる。




