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闇色~DARKNESSCOLLAR~  作者: 春樹ン★
第一章 悪魔狩り
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血に染まる月と巫女

金木犀の匂いがした。

程よい冷たさのある風が全身を吹き抜けていく。

幼い少女の歌声が風と共に流れ、草木が揺れる。

長い髪を揺らして立ち上がる少女はニッコリと笑って小指を差し出した。


「約束だよ?絶対に待ってるから」


いつの間にか子供の姿に戻っていた夜も小指を差し出して頷く。

太陽に照らされて光る金色の髪に少女が目を細めた。

小指と小指が絡み合い、上下に揺らされると同時に当たりが真っ赤に染まる。

焦げた臭いと幾多の叫び声が轟く中、少女の小指が離れて泣きそうな声が聞こえて来た。

遠くに引っ張られる少女に手を伸ばすも届かない。

名前を呼ぼうにも声が出なかった。

追いかけようとする足には何かが絡みついて離れない。


「タスケテ……シニタクナイ……なりだぐなぁぁぁぁぁぁぁい!」


ダークネスになりかけている大人が助けを求める様にしがみつく。

少女を助けたい、でも大人も見捨てられない。

どうするべきなのか戸惑う夜の耳に少女と大人の声が交わる。

それは不協和音となり身体を蝕んでいく。

どっちを選ぶべきなのか。

自分はどうすればいいのかと迷いに迷った。

すると少女と大人の声が消えて真っ暗な世界に変わる。


「……夜が決められないから……みんないなくなっちゃったんだよ?」


悲しげに立ち尽くす少女の両目から真っ赤な涙が溢れた。

パズルの様に崩壊していく少女の身体。

鈍い痛みに夜は自身の手を見る。

ボロボロと崩れていく手に目を見開くと同時に激しい痛みが襲う。

声にならない悲鳴を上げると誰かの大きな声が鼓膜を震わせた。


「夜!おい、夜!」


ハッと目を開けると二つの顔が夜を見ている。

一つは潤でもう一つは弟の那智だった。

何が起きたのか理解出来ずにいると那智が何かを投げ寄越す。

横になっていた夜の身体に落ちた物を掴むと食べ損ねたハンバーガーと同じ物がそこにあった。

違うのは新しく用意された事。

ポケットにしまったハンバーガーを取り出すと下敷きになったのか潰れていた。

どうやらエネルギー切れを起こしたらしい。


「それ食ったら帰るぞ」


親しみのある味を堪能していると潤が呆れた様に言う。

申し訳ないと苦笑いをして思い出す。

ダークネスに襲われていた少女は何処かと見渡していると八咫烏が頭に着地して一声鳴いた。

那智は理解したのか頷いて二人に報告をする。


「さっき夜が助けた少女は無事に本家が保護したそうだよ」


ちゃんと助けられた事に一安心するとハンバーガーの包みを丸めて立ち上がった。

黒い忍者の姿をしている人物に何かを話している潤を待ちつつ、指に絆創膏を貼る那智の姿を見ていると気付いたのか険しい顔をして指を隠される。

咄嗟に目を逸らすと夜は問う。


「切った、って事は使ったんだよな?」


古びたスケッチブックを一枚一枚、確認しながら頷く姿に小さく言葉を返して空を見上げる。

ダークネスが現れる時に視えるもう一つの赤い月が消えているという事は、既に存在していないという事になるが今回は何故かいつも以上に多い気がした。

普段はエネルギー切れになるまで戦わないのだが、余りの多さに失敗したと反省をしていると話し終わった潤が戻って来る。

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