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闇色~DARKNESSCOLLAR~  作者: 春樹ン★
第一章 悪魔狩り
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過去の闇

小さい頃からずっと母と兄の三人で暮らしていた。

母は金色の髪が似合っていて容姿も美人で、人間とは思えない程の雰囲気を持っている。

それもそのはず。

夜達は悪魔と呼ばれる生き物なのだ。

人間と違う世界に生きる者として忌み嫌われていた。

だが、夜だけは何故か人間の遺伝子が混じっており周りからはハイブリッドと呼ばれからかわれる。


「ナイトを苛めんな!」


兄は夜に暴力を振るう悪魔から守ってくれていた。

自分の存在が嫌で母にも申し訳なく思い、下を向く。


「ナイト、下を向いていたら見える物も見えないわ」


顔を上げる様に言われておずおずと顔を上げる。

夜空に広がる星と大きな月。

綺麗な物が広がる空に夜は歓喜の声を出す。


「貴方は、夜のように暗い中から誰かを助ける騎士のナイトなの……騎士が弱気じゃ誰も守れないわ」


「でも、人間から悪魔を守るなんて僕には荷が大きいよ」


「ううん、貴方は悪魔も人間も守ってほしいの」


その意味を理解するのはだいぶ後だが、母の言う人間を守るという言葉が引っかかった。

悪魔なのにどうして人間を守るのか。

自分が半分人間だからなのか。

夜には分からなかった。

双子である夜と兄を平等に愛してくれた母。

笑顔で名前を呼ぶ母。

ある日、母は闇の王と呼ばれる者に殺された。


「母さん!兄さん、母さんが!」


兄を呼ぶも姿を見せない。

冷たい目で見下ろされて固まる。

男は目の前に何かを投げた。

血塗れの兄が横たわっていて動かない。


「人間を愛してしまった母を恨むんだな」


男の言葉に唖然とする夜。

人間も守れるようにと言った母の言葉が分かった気がした。

ずっと存在を知らなかった父。

父は人間なのだと。

だからこんな身体なんだと。


「ハイブリッドか、奇妙な……お前も直ぐに楽にしてやる」


気が付いたら一人になっていた。

痛む身体を引き摺って母と兄を見る。

もう冷たくなっていて動かない。

一人になってしまった。

ズキンと眼帯に隠れた眼が痛む。


―大丈夫だ、俺は此処にいる……お前は一人じゃない。


兄の声が聞こえて涙が溢れた。

これからどうすればいいのか。

なにをすればいいのか。

生きる為には一人で全てやるしかない。

母を、兄を殺した悪魔が憎い。

歯を食いしばっていると夜の影に誰かの影が重なった。

大人の影。

振り返ると何処か懐かしい雰囲気を出す男がいた。


「とうさん?」


無意識に出た言葉。

この優しそうな人物が夜の父なのか。

父は、母と兄を見て目を細める。


「お前は、ナイトか?」


そう尋ねられて頷く。

嬉しそうに父がしゃがむと会いたかったと言って抱きしめられた。

また眼が痛む。

ハッとすると小さな手が父の首を掴んでいた。


「あ、ゴメン、なさ……」


「大丈夫、ナイトのせいじゃない」


へラッと笑う姿にまた涙が溢れる。


「泣くな、お前は強くならなければいけない悪魔に殺された二人の為にも」


悪魔という言葉にまた怒りが蘇った。

そうだ、強くならなければいけないんだ。

弱虫なんて直ぐに死んでしまうのだから必要ない。


「……俺は、強くなって悪魔をぶっ殺す!母さんと兄さんを殺したあいつを!」


復讐に満ちた目を見た父は夜を抱きしめる。

小さく聞こえた謝罪の言葉。

父に連れられて今まで暮らしていた家を離れる事になった。

家族として迎え入れてくれると言われて嬉しかった。

弟が出来ると言われてドキドキした。

だが。

これは悲劇の序章にもならない。

本当の闇は此処からだ。


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