説明回
「レイネス軍の飯はうまいことで有名なんだ 期待しと...どうした? やっぱり気分が悪いのか?」
「あ、うん ちょっと」
ここが異世界だと知ってから寒気が止まらない。
どうする?言うべきか?言うとしてもどう伝えるんだ?正直に「俺、異世界から飛ばされたみたいなんすよ〜」なんて言うのか?信じてもらえないだろ。きっと馬鹿にされるか変人と思われるのがオチだろう。
「無理すんなよ? あ、そういやお前こっちの世界に来たばっかだったな いろいろ説明するからいったん医務室に戻るぞ」
は?
「え、今なんて」
「同じこと言わせんな 医務室に戻るぞ」
「いや、それじゃなくて世界に来たばっかって」
「それも教えるから 一人で歩けそうか? なんなら肩かすぞ」
「...いや 歩けるからいい」
えぇ...何それ。知ってたなら最初に言ってくれればいいのに。腑に落ちないけど黙って歩き出した少女の背中を追う。
数分歩いてまた医務室。歩いてる最中に会話はなく、道も俺が歩いたとこを戻るだけだった。と言うか話す話題を思いつかなかった。この少女は俺が異世界からやって来たってのを知ってたのか?もし知っていたのなら彼女が俺を異世界へ召喚(?)したのか?違うなら誰が、何の目的で?などと聞きたいことが山ほど浮かんできてまとまらなかった。
そうこうしてる間にいつの間にか医務室に着いていた。
「座れよ キツイんなら横になってもいいぞ」
扉を開けた少女は長机のそばに置いてあった丸椅子に座りベッドを顎でしゃくった。
俺は扉を閉めてから少女と向かい合うようにしてベッドに座る。心を落ち着かせるように深呼吸をしてから口を開く。
「...質問していい?」
「わざわざ聞くなそんなこと いいぞ、私が知ってる範囲なら答えてやる」
「それじゃバッサリいくぞ 俺を異世界へ召喚、もしくは拉致したのはあんたか?」
「やっぱり疑うよな 信じてくれないだろうけど、私がやったことじゃない」
「じゃあ次だ 誰がやった知っているか?」
「心当たりなら、一つある 私がお前が異世界から来たんじゃないのかって思ったのは推測なんだけどその様子じゃ当たってるぽいな」
少女はなぜか苦い顔をしてそう言った。
「勇者召喚ってやつがあるんだ 連合の巫女が一生に一度使えるすげー魔術なんだけどな そいつで召喚する勇者ってのが揃って異世界から来たって言うんだ」
「じゃあ、その巫女ってやつがやったのか?」
「まぁ、だいたい合ってるな でもちょっとだけ違う 勇者召喚は陣を引いてやるらしいから陣の上に召喚されるんだ ただ...」
「ただ?」
「召喚した時に稀に近くに居たやつを巻き込むらしいんだ 帝国側で発見された奴に話を聞いてみると勇者と同じ世界から来たってわかった」
「うわぁ、なんだそれ」
「信じらんねえだろ? しかも巻き込まれた方の召喚位置は強い魔力のすぐ近くってのは決まってるらしいけど召喚の度に変わるっぽい」
「迷惑だな」
「あぁ、ほんとに迷惑だ おまけに勇者ってのも厄介なんだよ 記録にある勇者は一人で巡洋艦を堕としたりしてるしな」
「勇者ってのは強いんだ」
「そうだな、あいつらすばしっこいし硬いし火力あるし正直言って反則だ」
少女の話によると俺は勇者召喚ってのに巻き込まれてこの世界にやって来たらしい。
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